休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ニコ・ミューリー:歌劇《マーニー》


<METライブビューイング2018-19>
ニコ・ミューリー《マーニー》 MET初演 2018年11月10日
   鑑賞;20190122、なんばパークスシネマ 18:30~21:30

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2012年か13年ぐらいから書かれ始め、METは初めてでも、完成後は何度
か上演しているようで、徐々に手を加えてきているそうな。
ヒッチコックの映画とまるっきり違っていた感じ。特にショーン・コネリーがや
ったあまり印象的でない役。全体としてはかなり単純化されてはいても、こ
のオペラのほうが原作(W・グラハム)に近いと、インタヴューされている人が
言っていた通りなんでしょう。
こういったオペラの舞台なんてろくに知らないワタクシメのことで、稚拙な感
想なんでしょうが、彼女の性格を表わすかのような4人のカラフルな衣装の
「影」風な女~歌いもする~が付きまとうこととか、グレー系のスーツに帽子
といういでたちの5人ほどの若いダンサー風男たちが、先の女どもと少しず
れるように出て来ることとか。この男たちはレヴューで女主役に付きまとうよ
うな男性ダンサーのような存在なんだけれど、実はしょっちゅう変わって行
く舞台――まあ、具体的といよりはワーグナーでよくある象徴的な舞台装が
中心ではあるのですが――の変更・設置係でもあるのね。ひとつの幕の中
でもしょっちゅう舞台が変わっていく、その工夫が面白い。
・・・てなことも印象に残りました。こういうのはよくある手なのかなぁ。
はじめて名を聞く作曲家。もちろんもっとも気にしていたのがその‘音楽’。
このニコ・ミューリーさんというかた「も」、映画「メッセージ」のヨハン・ヨハン
ソン(故人)と同じくポスト・クラシックと言われる作曲家らしいのですが、ポス
ト・クラシックという言い方では、まあなにもわからない、しょうがないからそ
う言っているだけ。別にいいんですけどね。
いろんなコラボレーションにチャレンジしている方で映画にも合いそうな感じ。
音としては、いわばドンシャリ。オーケストラなんでアコースティックなんです
が、低音はズンズン、中音はあまり感じられなくて、高音がシャカシャカ、せ
わしなくちょっとミニマルっぽい感じもありますが、それだけではない。 この
高音・低音の組合せがなかなか新しい感じで、荒々しくも繊細。オーケスト
ラルサウンドとしては、ものすごいってことはないし、いわゆる尖がった現代
音楽風でもないものの、なかなか魅力的でしたね。
映画版の音楽はヒッチコックものでもたくさん担当した大御所バーナード・ハ
ーマン。スコアのほうは忘却のかなたですが、“マニー・・・マニー・・・”と短く
合いの手のようにヴォーカルが入るところだけは印象的で、覚えてます。
ヒッチコックとハーマンがまだ喧嘩別れ(?)する迄に間があるころのもので
・・・ケンカしながら音楽をつけていたのかもしれません。スコアのほうもちゃ
んと聴いてみたいですね・・・
さてさて歌のほうは、マーニー役のイザベル・レナード(Ms.)の美貌と美声が
すごかった。(上の写真は写りが悪い!) そもそもこのオペラ、このレナード
さんのタイトル・ロールを前提に書かれたという。納得でした。
レナードさん、今回ワタシが楽しみにしている、シーズン最後のプーランク
カルメル会修道女の対話』(6月上映予定)でも主役を演られるそうで、こ
れも楽しみ。というか、(ラス前の「ヴァルキューレ」をパスしても)これこそ外
せない!(嗚呼、そんなこと書くと、パスがホントになりそうだなぁ)
マーク・ラトランド役のモルトマン(Br.)もゆとりのあるいい声でしたね。それか
ら、カウンターテナーも面白かったですが、会社の社長のような役の超大柄
で太ったテナー(巨体!)がいい声で安定感もあり、よかった。拍手も大きか
ったナ。
下に、タイムスケジュールをコピーして付けておきます。
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映画としては高いですけどね、と前回も書いたんでした・・・
貧乏くさいです。でも、その通りですからしょうがありません。
今回も楽しめました。
ただし、音楽は聴き直さないといけないでしょうねぇ、これだけでは残らない。
卑近な言い方をすれば、値段分は十分取り戻した・・・
次は2月に入ってから『椿姫』、新演出とあります。