休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

佐藤優の集中講義 民族問題

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20180821(了)
佐藤優の集中講義 民族問題
 第一講 なぜ日本人は民族問題がわからないか
    応用問題;スコットランド独立運動を沖縄の目で見る
 第二講 民族問題の専門家スターリン
 第三講 「民族」は作られるか
       ――アンダーソン『想像の共同体』批判       
    補講;シュライエルマッハー ナショナリズムと目に見えない世界
 第四講 ゲルナー『民族とナショナリズム』の核心
    応用問題;ヘイト本の構造
 第五講 民族理論でウクライナ問題を読み解く
    応用問題;エスノクレンジング
 第六講 民族理論で沖縄問題を読み解く
       ――アントニー・スミス「エトニー」概念から考える
 あとがき
    2017年(H29)10月/文春新書
    <★★★★>


この頃ボケが始まっている気がするものですから― よくはわかりません 
こんなもの読んでみました。気の利いたことは書けんが、そんなことはわか
りきっとるわね・・・

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上に貼付したカバー紹介文にあるとおり、‘民族オンチ’がひどいのは御同様。
正直毎日のようにこんがらがっています。ピッタリの本(だといいな)。
大雑把に二つの考え方があるんだそうで、はじめに詳しくあるんですが、おし
まいのほうのおさらいのところを・・・

  ・・・ひとつは原初主義。民族というものは古くからある。日本は神の国
  から、少なくとも2600年以上の歴史があって、日本固有の「日本民族
  が実体としてあるという考え方ですが、こういう考え方は学問的には完全
  に否定されています。「民族」という概念は、どんなに過去に戻っても18
  世紀の半ばよりも前に遡ることはできません。具体的に言うと、1789年
  のフランス革命以降に流行となった現象なのです。これは、さまざまな論
  者の間で細かな違いはあっても、共通に認められている認識です。
   そして、もう一つが道具主義。民族は想像された人工的なフィクションに
  過ぎず、エリートたちが自らの支配を確立するための道具としてつくってい
  る概念であるという議論です。


後者のことは、B・アンダーソンやゲルナーやA・スミスなどの学者先生の著作
を引き合いに出して、詳しく説明されて、だいたいは理解できた気になりました
が、作りものというか想像の産物だから、なんだかんだ言っていても結局、ワ
タシなんぞ原初主義的な考え方― 遡れもしない‘民族意識’―に、無益にも
つい戻っていってしまう自分がいるのですな。
ことはそんなに単純じゃない。そもそも‘民族という考え方’そのものが、まだ
若いものだといってもいいんだという。知りませんでした。

‘あとがき’を中身の梗概ふうに長々と貼り付けて(ごまかして)みます。

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スターリンが実際にはとても頭がよく、民族問題の押し付け方など実にクレバ
ーだったことや、ウクライナラトビアのことなどは、さすがにロシアの専門家と
いってもいい佐藤さん、説得力ありました。もっともウクライナ問題というのは、
民族意識’も絡んではいるものの、めちゃくちゃややこしい話。スターリンも亡
霊的に絡んでいるんじゃない? 東側にいるロシア語を話す地域をどうかすると
か、そこの人びとをどうかするとかいうことで解決するもんじゃない。覚えられな
いから人にだって説明できないや。
そして最後の沖縄のこと。佐藤さん、なんと沖縄に‘当事者性がある’。あの濃
いお顔はどうやら濃い血のせいだったみたい。
当事者性があるかたの一家言は重い。
 埼玉人?(ない!)
 京都人?(ないない!)
でも、、
 沖縄人?(あり!)
それでも、独立という選択肢はあるが、ダメだ・・・
佐藤さんの言い分は沖縄の人には通じるのかな。すくなくとも、「原初主義」に
基づくものではないんだというだけでも、わかってもらえるのかしらん・・・
このメモの直前に亡くなった翁長さんとは、考え方が近いと、佐藤さん書いてい
ました。もうすぐ知事選ですね。
沖縄のことは考えられていなかった「憲法」を思います・・・
ド迫力の『国家の罠』しか読んだことはありませんでしたが、こちらはいい教科
書であるように思えました。
読み直しが必要です。


       (あれ?記憶違いかな、佐藤さん、京都在住じゃなかったっけ・・・)