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時系列にあり、この国独自のユニークな作品が数多く生まれたことでも知ら |
れています。このロペス=グラサ(1906-1994)は20世紀を代表するポルトガ |
ルの作曲家で、若い頃はパリでシャルル・ケクランに作曲法と管弦楽法を学 |
び、新古典派の影響を受けつつも、ポルトガル独自のメロディを取り入れた |
興味深い作品を書いています。共産党のメンバーであった彼は、1926年に |
発生したクーデターでサラザール独裁政権によって、公式の地位の剥奪、作 |
品の出版禁止など様々な弾圧を受けました。しかし、党が再建されてからは、 |
少しずつ活動の幅を広げ、この弦楽四重奏曲を始めとした見事な作品を作り |
上げていくのです。この第1集には1960年代の3つの作品が収録されていま |
す。 |
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室内楽を聴くのは初めてのロペス=グラサ。 |
ケクランに学んだというのが聴き始めるきっかけでした。 |
解説にある文言『ポルトガルのクラシック音楽の歩みは、ヨーロッパとは |
違う時系列にあり』なんて言うのは大賛成です。フレイタス=ブランコやブラ |
ガ・サントスの名を知り、ぽつりぽつり。 |
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① 邦題はあとで知った。暗い想念を、ああでもないこうでもないと弄りまわ |
している風情。やりきれないわけじゃない。 |
一応現代音楽らしくほとんど不協和音だけなんだけれど、不快ではなく、ピ |
アノがいいバランスで絡んでいる。 |
うまく言えないもんだから、以前から、フラメンコ(≒スペイン)の‘眉間の皺’ |
とは違うんだと、ポルトガルの音楽に時々書いてきた。当たっているとも思 |
えないが、そう外れてもいない気がする。 |
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②-⑤ 上記ピアノ五重奏から、そのドロドロ感や力みが抜けた感じとでも |
言いましょうか。 |
暗さは強く残るも、陰気じゃない。民族色的充実感も美しさもある。 |
どこかにバルトークへの親和性が書いてあったはず。大雑把な話ですが、 |
それはあると思います。 |
さりげなく終わる。 |
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⑦-⑪ メランコリックな始まりながら、暗くは進んでゆかない。 |
前の2曲からすれば、むしろ明るさや朗らかさすら感じさせる。それは②-⑤ |
よりもはっきり民族舞踊風なファクターが加わることにもよる。ジャケットには
バルトーキアンなんて言葉が見えるものの、 バルトークの‘民族’とは当然
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違う、あんなに厳しくならないわけやね。それでも、けっこうぶっているこの |
音楽を好きかどうかというだけ。ワタシは好きになりそうです。 |
とても音楽的にバランスの取れたものじゃないでしょうか。 |
5つに分かれていて、いずれもごく短かく、さらっと聴き終えてしまう。 |
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ピアノの入った①と、後の弦楽だけの2曲とはたぶんまるっきり成り立ちが |
違うのでしょうね。 |
後の2曲はひょっとすると「対」のようなものかもしれません。 |
以上、はじめはあまり気が乗らなかったのですが、去年亡くなったかつて |
の上司が、昔、マージャンの時によく使っていた言葉、「だんだん良くな |
る法華の太鼓」ってのが、これにもちょうどいい。 |
Vol.2、いつか聴いてみたい。
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(麻雀で思い出しました。これを書いた直後、月末やね、学生時代には |
ワレワレの間でもかなりの有名人だったプロの麻雀士の小島武夫さん |
が亡くなったという記事を見たんでした。) |