休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

昆虫はすごい/丸山宗利

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20180207(了)
昆虫はすごい/丸山宗利
     はじめに
第1章 どうしてこんなに多様なのか
     ◆昆虫の多様性
     ◆昆虫ってなに?
     ◆多様性の秘密
第2章 たくみな暮らし
     ◆収穫する
     ◆狩る
     ◆着飾る
     ◆まねる
     ◆恋する
     ◆まぐわう
     ◆子だくさん・一人っ子
     ◆機能と形
     ◆旅をする
     ◆家に棲む
第3章 社会生活
     ◆社会生活を営む昆虫
     ◆狩猟採集のくらし
     ◆農業する
     ◆牧畜する
     ◆戦争する
     ◆奴隷を使う
     ◆アリの巣の居候
第4章 ヒトとの関わり
     ◆ヒトの作り出した昆虫
     ◆昆虫による感染症
     ◆嫌われる虫と愛される虫
     おわりに
     参考文献一覧
     2014年8月/光文社新書/中古
     <★★★★△>


ご本人も最後に書かれているが、より抜きの面白い話題をぶちこん
で、初心者や関心を持ってくれそうな人のために、分類学者としての
枠を超えて作ったそうな。
上のように章の下の括りも写し取ってみたけれど、具体的にはもっと
細かい。
だから、一つ一つは1ページとか2ページレベルが多い。
へぇーという話がぞろぞろ出てくるので、ページの端っこを折っていた
ら、本が膨らんでしまった。こういうのよくやってしまいます。
もう一度読めばいいんでしょうね、きっと。
特に語っておきたいものについては、すでに何冊か上梓されてます。
それらもまた機会を見て読めたらいいな。
特にアリはご専門のようで、極端なほど深い。
社会生活~‘寄生’のところの説明なんて、ぞわぞわ感を簡単に飛び
越して仰天してばかりのとんでもない内容がザクザクと出てきました。
そうそう、アリはハチの仲間だというのは聞いた気がしますが、シロア
リはアリではなくゴキブリの仲間だってのは知らなかった。
カバーに養老先生の名がありますが、先生が特にご執心のゾウムシ
もちゃんと出てきます。
別にどれだっていいようなものなんだが、‘へぇー’な話を一つだけ;
  時間の旅
   ユスリカ科というカのなかまがいる。カといっても血を吸うものでは
  なく、人には害はない。幼虫は「アカムシ」と呼ばれ、魚の餌になる
  ことでも知られる。
   そのなかに、アフリカの乾燥地帯に生息するネムリユスリカという
  種がいる。この虫がとんでもない能力を持っているのだ。
   その幼虫は、乾季になって生息地の水たまりが乾くと、水分3パー
  セントの乾燥した状態で無代謝のまま休眠を行うことができるので
  ある。そして、水を与えると復活する。
   人工の環境下ではあるが、十七年間ずっと乾燥状態だったものを
  水に戻し、再び動き出したことが確認された。まさに時間を旅する昆
  虫である。
   また強い耐性を持ち、摂氏百三度に一分、摂氏零下二百七十度
  に五分、そのほか、無水エタノール放射線にも耐えることができ
  るという。
   どうしてこのようなことができるかというと、水に代わってトレハロー
  スという糖を体内に蓄積し、生体成分を保護することができるから
  である。水たまりが乾いて、だんだんと環境が厳しくなると、体にトレ
  ハロースが蓄積されていく。
   最近では宇宙ステーションに乾燥した幼虫が運ばれ、そこで復活
  させる実験が行われたといういう。ネムリユスリカは宇宙を旅した昆
  虫でもあるのだ。
ワタシは小学生のころには、虫取りのために、親には言えないずいぶん
と危険なことをやった口。長じても虫好きのレベルは高くなることはなか
ったものの、好きである気持ちは変わりませんでしたから、この本など
ははじめっからワクワクもので手に取りました。
読了後は、むしろ虫嫌いの人に読んでほしい気がしました。
口絵以外の中の写真がすべてモノクロだったのは残念!
ベストセラーになったのもむべなるかな、その多様性にくらくらしますよ、
きっと。このところの寒さしのぎにもなったかもね。
でもこれは、ドーキンズの「利己的な遺伝子」の考え方から説き始めら
れる、生物学のほんの入り口、ここから始まる昆虫の世界、ということ
です。