休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

シューリヒト/ブラームス;Sym.3&4

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20180125(了)
COLUMBIA×TOWER RECORDS 「コンサートホール原盤」復刻シリーズ
Disc1)
ブラームス
 交響曲 第3番 ヘ長調 Op.90
    ①Ⅰ Allegro con brio 8:18   ②Ⅱ Andante 8:10
    ③Ⅲ Poco Allegretto 6:34   ④Ⅳ Allegro  8:16
 ⑤ハイドンの主題による変奏曲 Op.56a 17:53
ウェーバー
 ⑥オペラ《オベロン》序曲 J.306 9:12
 ⑦オペラ《オイリアンテ》序曲 J.291 8:44
Disc2)
ブラームス
 交響曲 第4番 ホ短調 Op.98
    ①Ⅰ Allegro non troppo 12:01 ②Ⅱ Andante moderato 10:33
    ③Ⅲ Allegro giocoso 5:58 ④Ⅳ Allegro energico e passionato 10:14
 ⑤悲劇的序曲 Op.81 11:46
  カール・シューリヒト指揮、
  南西ドイツ放送交響楽団(現バーデン=バーデン&フライブルクSWR交響楽団
    /Disc1 録音:1962年9月、バーデン=バーデン
  バイエルン放送交響楽団/Disc2
    /Disc2 録音:1961年9月、ミュンヘン
  2013年/CD/交響曲管弦楽/日本コロムビア/タワーレコード/2枚組/邦盤/中古
  Licensed for sale in Japan only
  <★★★△>

またまたシューリヒト最晩年の‘コンサートホール’へのステレオ録音です。
モーツアルトブルックナーの感想と、結局のところ同じことを言っている
ような気がしますが、まあ、乗りかかった船みたいなもの。締まりなく書い
てみます。
まずは3番。
宇野功芳さんが4番を評価して3番はしかとしたのに怒ったわけでもないの
ですが、そんなに変わらないってことを言いたい。寂しい録音ながらたいそ
う個性やインパクト演奏だよってのが、感想文の趣旨。
かわいいもんです。
ライブ感覚がやはり強いですね。緊張感があります。
それでも「え?これでオシマイ?録り直ししないの?」
音がお粗末。高音ガサガサ、低音ボコボコ。60年代に入ってこれでは寂し
い限り。2013年に新たにリマスターしたとあるも、元が悪いんだね。トスカ
ニーニ/NBCを一瞬思い出してしまった。この原盤の会社の力量。
ただ、この潤いの乏しい音が、かえってテクスチャーをしっかり見せるとい
うか、シューリヒトさんがこうやりたいと目指したものを、あられもなく見せる
ことになったという言い方もできると思う。
押し出しがいい第一楽章、テンポが細かく変わるがちゃんと流れる第2楽章、
よく歌って時々気持ちが盛り上がるも、妙に抑えて沈んだ調子の第3楽章。
そして第4楽章は一転、面目躍如のアゴーギグ大爆発で、吹きあれる激情
の嵐。いわば“燃える”という映画音楽で使う表現が近い。
4番のほうはむしろ3番よりはおとなしく、普通に聞こえる。オケも録音も少し
マシ。スピードもはじめはそれほどではないが、全体には徐々に上がってく
る。テンポの動かしは細かくあって、全体の印象は淡くても、感情が案外な
ほど豊かに駆け抜ける、その駆け抜け方が独特。こういうのが人によっては
たまらないのではないか。オケのばらつきには目をつむる・・・  
ハイドン・ヴァリエーション」も「悲劇的序曲」も、まあ同じような感じではあり
ますが、後者はどうしてももたもた感が残ってしまう曲なのに、この人の演奏
だと、ほとんどそんなことはなくなったものの、良くも悪くもコクがなくなっちゃ
ったかな。
ウェーバーの2曲は楽しい。特に「オベロン序曲」は曲が好きなので、つい聞
き耳を立ててしまった。この2曲、オケのアラは目立たなかったが、逆にフツ
ーになっちゃった。

細かくテンポを動かしたり表情付けをしたり、でも全体にはスピード感がある
という独特さ。これが全然やわでない、言ってみればとても男っぽい感じな
のね。
ブルックナーのところで書いたように、こういうたいして練習もせずにいきな
りいろんなことをやってくる指揮(者)に対応できるウィーン・フィルのような
オケでないと、誰にも受け入れられる演奏や録音にならないんじゃないの
かしらん。恐らくセッション録音は嫌いだったと思う。で、ライブ録音が発掘
され、ごく一部の好事家を熱狂させ続けているということでしょう。
曲の本質なのか指揮者の考える音楽なのか、残された音楽がこれで完成
しているのかそうでもないのか。いろいろ難しいところですが、時々無性に
聴きたくなる無二の‘個性’。
はっきり言って、あっちこっちの“部分”にはけっこう興奮します。本当です。
そんな聴き方でいいのかどうか。
彼がみんなウィーン・フィルベルリン・フィルのようなオケでちゃんと録音
をしていたら、もっと大掛かりに‘議論’がなされることになったに違いない
が、そうはならなかった(?)というわけです。
たまーに聴けばいいんだろうな。