休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

作家 北方謙三  語る ―人生の贈りもの―

20170905(了)
語る ―人生の贈りもの―
作家 北方謙三 ①~⑭
             朝日新聞(朝刊) 2017年4月24日~5月12日
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建築家・建築史家の藤森照信さんのつぎに切り取っていたもの。
特に理由はなかったんです。名前はよく知っていても、ご本人のことなん
ざほとんど知らない。でもね、同じ団塊の世代ですし・・・ ハハ。
前半の主な調子は、いかに純文学のほうに未練たらたらであったか、みた
いな感じ。
17年にわたって書き続けて、大水滸伝シリーズ(全51巻+読本)を終えた
あと、1年はぼーっと過ごして、次の「チンギス紀」にすでに取り掛かられて
いるようです。
  考えてみれば、50年間、男がいかに生きて死ぬかという話ばっかり
  書いてきたんだな。
という感慨がなかなか重たい。原作があるとはいえ、異常な量!
男っぽい方だろうとは思ってましたが、もっと嫌味な感じだろうとも思ってま
して、それが、まあほとんど覆っちゃったと言ってもいい。だからメモッてみ
る気にもなったんですが.ね。
⑪‘北方水滸伝’の途中での逸話が面白い。
上手く書けた人物が、原本と違った死に方をしたりする。そういうことは時々
起きてしまった。そういう魅力的な人物が死期を悟る(読んでいるものに感
じられる)ような具合になってきて、サイン会などで、読者(女性)が・・・
  目に涙をためて、「鮑旭(ホウキュウ)はもう死にますよね」という。答え
  を言いよどんでいると、「覚悟はできてます。ただ、病死だけはやめ
  てください」と訴える。
結局病死にはしなかった。病気をおして戦場に立ち、雄々しく死ぬことにな
ったんだとさ。
⑫ここで内藤陳さんや「深夜+1」、その客たちが出てくる。懐かしい。北方
が名作だという「満州国演義」(全9巻)をものした船戸与一とのエピソードに
はグッときました。
団塊の世代のこと。さんざん学生運動の参加していた割には、突き放した
見方をしている。感覚的にやっぱり近い気がする。
もっとも、、、落とし前を付けたとは思えないなあ・・・
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⑭‘水滸伝’の最中に、東日本大震災を半年前に奇しくも予見するような大
洪水を書いていて、それはいい出来だったが、実際に震災が起きて、体の
震えが止まらなかったそうな。17年の執筆中の唯一の嫌な思い出だって。
  10年にわたる純文学との苦闘
があったけれど、
  総じて面白い作家生活を送っていると思いますよ。
ワタシはハードボイルト系をたった一冊だけ読んだことがある程度。
水滸伝を一時読もうと思って、何冊か中古を買いためたものの、そのまま今
に至って、読んでません。51巻ともなるとね、そりゃあ論外。無理、無理。
でも、親しみがわきました。