休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

映画『タンゴ・レッスン』

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20170705(水)
映画『タンゴ・レッスン』  The Tango Lesson 
  監督&主演;サリー・ポッター//パブロ・ベロン
  音楽;フレッド・フリス、サリー・ポッター
  1997年/英・仏映/102分/DVD(デジタル・リマスター)/レンタル
  <★★★>


苦手にしている“映画のための映画”“映画をネタにした映画”なんだけど
ね、監督が奇妙な立ち位置にいる作品で、ヘンかもしれないが、違和感
のようなものに付きまとわれ、にも拘らず結局おしまいまで観てしまった。
 (映画.com解説から) 「耳に残るは君の歌声」「オルランド」などで知ら
  れるイギリスの女性監督サリー・ポッターが自身の経験をもとに、有名
  タンゴ・ダンサーとの愛の物語をつづった大人のラブストーリー。新作
  映画の脚本を執筆中の映画監督サリーは、気分転換に出かけたパリ
 の街でタンゴの舞台を見る。そこで出会ったアルゼンチンの有名ダン
 サー、パブロ・ベロンの情熱的なダンスに心を奪われたサリーは、パブ
 ロから1度だけレッスンを受けてタンゴの魅力にとりつかれ、自らブエノ
 スアイレスを訪れてレッスンを重ねていく。やがてサリーと再会したパ
 ブロは、彼女が見違えるほど上達していることに驚き、本格的なレッス
 ンを続けながらダンスのパートナーとしてステージで踊ることを提案。レ
 ッスンを通してパブロへの思いをますます募らせていくサリーに対し、
 あくまでもプロとしてのダンスを求めるパブロは2人の関係に境界線を
 引こうとする。ポッター監督と本作が映画デビューとなるパブロ・ベロン
 がそれぞれ本人役を演じた。97年製作・公開。16年、デジタルリマスタ
 ー版でリバイバル公開。
‘大人のラブストーリー’っていう表現は気に入らないが、この解説、その
ままじゃないか。というか、書きすぎな気がする。
時々カラーになる。作られていない映画の断片に当たるもの。
そのほか(大半)がモノクロであるせいもあるだろうが、カラーの部分が
異常なほど鮮やかに見える。網膜に残る。(嘘。脳に、だ)
ほとんどがモノクロである意味は、鈍感/無粋なワタシにはよくわからな
いが、自身経験とフィクションに基づく夢物語の芸術的再構築にはこれ
のほうがいいと思われたんでしょう。
こう言っては何だが、踊りとしてのタンゴってのはエロティシズムやそれ
にまつわる感情や状況などを、いわばソフィスティケイトしたようなもの。
基本、そう見せないように男性がリードするんやね。
それを女性の眼で。
この方でなければ考えつけない状況下での、たいそう技巧的な映画な
んじゃないか。
そうそう、監督の踊りのレベルは映画自体にもかかわっていて微妙な
ところが要求される。とはいえ踊りは(特訓されたろうが)もともとお上手
だったのですな。
シチュエーションこそが主役で、この映画内でのタンゴは音楽としては、
そんなにすごみはないし、踊りにについても多分そうなんだけれど、映
画には十分だったみたい。(ワタシは引っかかり続けていますが)
タンゴは結構好きな音楽ですが、ピアソラがいなければそうでもなかっ
たかもしれない。
なんとなく埋もれかけていたピアソラが、いろんなところで取り上げられ
るようになった。同時多発的、というのでもない、かなり時間はかかった
印象。
だからピアソラだけが功労者というわけでもないだろうが、ピアソラのお
かげで、タンゴによる表現のキャパがぐんと広く深くなり、世界中の人に
聴かれるようになった・・・(と思ってます)。