(帯紹介文) このアルバムにはクリストファー・ラウス(1949-)が作曲した4つ |
の世界初演作品が収録されています。ラウスはアメリカ出身でニューヨーク・ |
フィルハーモニーの「マリー=ジョゼ・クラヴィス記念コンポーザー・イン・レジ |
デンス」を2012年から2015年まで務めており(前任者はマグヌス・リンドベル |
イ)このアルバムの「プロスペロの部屋」「交響曲第4番」「odna zhizn」はオー |
ケストラとの共同作業となります。「現代における作曲家の中で最も重要な |
働きをするクリス・ラウスは、偉大な作曲家だけが成し得る方法で、音と音楽 |
の流れを形づくります」とアラン・ギルバートも絶賛するラウスの刺激的な音 |
楽、ぜひお楽しみください。 |
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(1)Odna Zhizn。何のことやらわからないが、“Life”を意味するらしい。 |
神秘感やファンタジーを喚起する聴きやすいサウンド。バーバリズム風なと |
ころやバーンスタインのリズム、冒険活劇のスペクタクルなどなど、とにかく |
盛りだくさん。 |
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(2)Sym.3。少し前に聴いたケヴィン・プッツを引きずっている気もするが、 |
音色のも内容にも類似点があるんじゃないか。 |
涼しい感じながら華麗なオーケストレーションがいきなり炸裂する。(1)と似 |
ている。マルコム・アーノルドの交響曲(5番か6番)を連想したが、確かプッ |
ツの時にも持ち出したんじゃなかったか。そういうのも長くは続かず、どんど |
ん曲想が変わっていく。連想も変わっていく。(プロコフィエフによる)とある |
のは、その2番と関係があるらしいこと以外はよくわからない。 |
時に現れる緩徐部分には、いろんな作曲家に聴かれるアメリカ的としか言 |
いようのない、乾い感傷がある。 |
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(3)Sym.4。(2)をもう少しドラマティックにした感じで、特に深みが加わると |
いうこともなく、とでもカラフルな表現。 |
今どきはやらない表現だろうが、映像的。 |
鮮やか至極な交響的作品だけれど、(2)同様シンフォニーというイメージで |
はない。いやそんなこと、べつに構わないんだけどね。それよりは「オーケス |
トラで“観る”一大ファンタジー」なんていうのはどうだろう。 まあこの表現は |
CD全体を通して言えるようですけどね。 |
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(4)プロスペロゥの部屋。 |
(3)をさらに外連味たっぷりにし、やや暗さも盛り込んでいる。といっても陰 |
気さとは無縁。 |
ポーの「赤死病の仮面」に出てくる‘王と七つの部屋’などを題材にしている |
とすれば、暗さや陰気さはもっとあっても、と思わぬでもないけれど、インパ |
クトはこの4曲のなかではピカイチ。 |
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現代音楽の技法としては、決して目新しいというものではないのだろうが、 |
耳に新しさはあるような気はする。様々な引用や影響があるように感じられ |
るものの、具体的にはわからないので、ワタシの言う新しさの程度などはエ |
エカゲンです。 |
とにかく心地よく楽しい、規模感のあるサウンドが身上の音楽。 |
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演奏は、さすがにニューヨーク・フィルハーモニック、安定感抜群。 |
日本にもたびたび来ているギルバートさんは、白人系の米国人と日本人の |
ハーフなのね、知りませんでした。アラン・タケシ・ギルバート。 |