休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

FRENCH BASSOON WORKS

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20170614(了)
FRENCH BASSOON WORKS
ガブリエル・グロヴレーズ - Gabriel Grovlez (1879-1944)
 ①② シシリエンヌとアレグロ・ジョコーソ (1930) 5:59
アレクサンドル・タンスマン - Alexandre Tansman (1897-1986)
 ③-⑤ ソナチネ(1952) 7:38
シャルル・ケクラン - Charles Koechlin (1867-1950)
 ⑥-⑧ ファゴットソナタ(1918-19) 8:58
ガブリエル・フォーレ - Gabriel Fauré (1845-1924)
 ⑨ 小品 (1887) 3:05〈ファゴットとピアノ編/編曲;F・ウーブラドゥ(1920)〉
ロジェ・ブトリ - Roger Bountry (1932- 
 ⑩ アンテルフェランス I (1972) 9:16
ノエル・ギャロン- Noël Gallon (1891-1966)
 ⑪ レチタティーヴォアレグロ (1938) 5:44
アンリ・デュティユー - Henri Dutilleux (1916-2013)
 ⑫ サラバンドとコルテージ (1942) 7:41
マルセル・ビッチ - Marcel Bitsch (1921-2011)
 ⑬ ファゴット協奏曲 (Concertino)(1948) 7:29
ウジェーヌ・ジャンクール - Eugene Jancourt (1815-1901)
 ⑭ 夜想曲ジョン・フィールド風) Op. 124  4:16 〈初録音〉
ガブリエル・ピエルネ - Gabriel Pierné (1863-1937)
 ⑮ 演奏会用独奏曲 Op. 35 (1898) 5:35
クロード・ドビュッシー - Claude Debussy (1862-1918)
   (ファゴットとピアノ編/編曲:Bronislav Prorvich 1996年) 〈初録音〉
 ⑯ 前奏曲 第1集 - 第12番 ミンストレル(1910) 2:22
 ⑰ 子供の領分 第5曲「小さな羊飼い」 2:36
 ⑱ 子供の領分 第6曲「ゴリウォグのケークウォーク」 2:48
  カレン・ジョーヒガン - Karen Geoghegan (ファゴット)
  フィリップ・エドワード・フィッシャー - Philip Edward Fisher (ピアノ)
  録音:2008年11月,英国,Suffolk,Dunwich,Potton Hall 73:38
  2009年/CD/室内楽/Ⓟ&ⓒ Chandos Records/輸入
  <★★★★>
バスーン(フランス名 バソン)とファゴットの違い・・・
ワタシのような脳天気に聴くだけの素人人間にとっては、木管楽器の低
音部担当であって基本「同じ楽器」なんだけど、プロにとってみればシス
テムとして捉えることは必須で、とすれば「別の楽器」ということになる。
受け売りだがもう少し突っ込んでみると、バスーンは、音が溶け込みやす
ファゴットに比べ、ホルンに似て音色が非常に特色があり、音量がファ
ゴットよりかなり少ないというような点から「敬遠されがち」である。それが、
どういうものか技術的に「扱いにくいと思われがち」ということに繋がって
いる、、、かもしれないんだって。
ワタシなんざまるで気にしたことがなかったです、恥ずかしながら。
木管系の室内楽では当然だけれど、オーケストラでもやたら聞こえてくる
楽器ですし、例えば出だしだけとってみても、「春の祭典」や「悲愴」なん
て確かそうですよね。
単体で聴くと、爺さんの独り言みたいだったり、おっとり味やコミカルな味
のイメージが強い。
さて、ごく最近、ラジオでケクランのファゴットソナタの一部を聴いて魅力
を感じた。これまで興味を持ったことなんかなかったのに、どういうことな
んだろうな。この頃よく書くけどね、年齢のせいだろうか。
で、一枚手に入れてみたのがこれ。
これはまさに‘バソン’。ホルンに似るかどうかはよくわからないけれど、な
んと魅力的な音色。そりゃ音は低めだけれど、どんなメロディだって大丈
夫。‘爺さんの独り言’は言い過ぎた。
①② グロヴレーズ。朗らかで軽い。こんなにセンスいっぱい。この作曲家
初めてだが、参りました。
③-⑤ タンスマン。編曲者として知っているぐらい。これもたいそう素晴らし
い。軽快な楽章に挟まれた緩徐楽章の憂いのなんという心地よさ。
グロヴレーズは近代、タンスマンに至っては現代。ともに近い世界の(まあ
フランス近代の)音楽として、最高のセンスに満ち溢れている。
⑥-⑧ ケクラン。このCDのきっかけ。前の2曲に負けてないかとなぜか心
配した。作曲年はこの3つの中では最も古いが、印象派の系譜、かな。
以上3曲で満足しちゃった。あとは付録・・・てことはないけど・・・
 フォーレの原曲、わかりません。19世紀。とても美しい。
 ブトリ。知らない作曲家。現代もの。といっても尖った感じはない。始め
はちょっとタンゴっぽい感じ。美しい緩徐部分の後はストラヴィンスキのよう
なリズムや曲調。
 ギャロン、知りません。この方もほとんど現代ながら、近代から出てない
感じ。よく歌う曲で時代錯誤かもしれないが、美しい。
⑫ ファンのデュテイュー。戦中の曲。妙にほのぼのとした印象の前半で、
デュティユーらしくない。後半はややひねくれているが軽快。‘魔法使いの
弟子’ふう。まだまだ本領を発揮する前なんでしょうね。
 ビッチ。知らない作曲家です。年代的には現代だが、現代音楽作曲家と
しては扱われることはあり得ない。メランコリックで猛烈に甘ーいところと、
現代ものに使っては妙だけど「モダン」なところ。なかなかいい。
 ジャンクール。この人も知らない。このCDの中では最も古い。バスーン
演奏家だったよう。ロマン派初期の音楽という感じながら、ここに交じっ
て、ぜんぜん浮いていない。
⑮ ピエルネ。指揮者としてかなり新しいものを知っていたはずのピエルネ
だけれど、この曲は古臭い。ま、19世紀に書かれているわけだけれどね。
⑯⑰⑱ ドビュッシー。有名曲の編曲もの3つ。バスーンで全く違和感はな
い。“ゴリウォグのケーク・ウォーク”なんて、かわいい。
この女性奏者、技術的に非常にしっかりしたものがあるように思うが、とに
かく優しく品のある演奏だね。ぜーんぶ。
選び抜いて集められたというんじゃなく、さりげなく選んでみれば、こんなふ
なことになるんですよ、とでも言っているみたい。実際は選び抜いたに違い
ない。
バスーンによるメロディがこんなに美しく楽しいものだとは、考えもしなかっ
た。
いいものに当たりました。
そうそう、プーランクに、バスーンソナタなんていう曲はなかったなあ、残
念。オーボエソナタかフルート・ソナタを編曲するとか、無理なんやろか。
無茶かもね。
英語圏ファゴットを「Fagott」という綴りのつもりで言っても、「Faggot」と
いう同じ発音の意味にとられる可能性があるので、注意しなさい!なんてこ
とが書かれていた。Faggotは侮蔑的に使われる「オカマ」を意味するんだ
って。
英語圏では、つまり、違いには目をつむって、「バスーン」を使ったほうが無
難ということなんだ。