休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

カステルヌオーヴォ=テデスコ:ヴァイオリン協奏曲

イメージ 1

20170227(了)
カステルヌオーヴォ=テデスコ:ヴァイオリン協奏曲
   Mario Castelnuovo-Tedesco (1895-1968)
(1)ヴァイオリン協奏曲 第1番ト短調「イタリア協奏曲」Op.31(1924)
 ①I. Allegro moderato e maestoso 15:33
 ②II. Arioso                8:33
 ③III. Vivo e impetuoso         7:32
(2)ヴァイオリン協奏曲 第2番「預言者Op.66(1931)
 ④I. Isaiah: Introduzione - Allegro appassionato
 ⑤II. Jeremiah: Espressivo e dolente
 ⑥III. Elijah: Fiero e impetuoso (ma sostenuto e ben marcato il ritmo)
   楊天堝(ティアンワ・ヤン) (ヴァイオリン)
   バーデン・バーデン&フライブルク南西ドイツ放送交響楽団 
   ピーテル=イェレ・デ・ブーア  (指揮)
   録音: 11-15 November 2012, 
       Rolf Bohme Saal, Konzerthaus, Freiburg, Germany 63:05
   CD/Ⓟ&ⓒ2015年 Naxos Rights US.Inc. (8.573135)/輸入盤 
   <★★★★>
(帯紹介文) 日本では「ギター曲作曲家」として認知されがちなイタリア近
代の作曲家カステルヌオーヴォ=テデスコ(1895-1968)ですが、最近彼の
管弦楽曲や協奏曲が相次いでリリースされることで、その風向きも変わっ
てきたようです。もともとは優れたピアニストであった彼ですが、1924年
最初の管弦楽作品「イタリア協奏曲」を書くことを思いつきました。彼の友
人のヴァイオリニスト、マリオ・コルティはこの当時発表されたシマノフスキ
の「神話」を参考にするようにと提案しましたが、彼が最終的に取り入れた
のは17世紀から18世紀にかけての作品…ヴィヴァルディを思わせるスタ
イルでした。もちろんかなりモダンな味付けがされていますが、なかなかス
テキな作品となっています。ハイフェッツに委嘱された「協奏曲第2番」は良
く知られた作品で、題材は旧約聖書ユダヤ教典礼から取られており、
彼自身もユダヤの血を引いていることから、当時蔓延していた 「反ユダヤ
主義」をはねのけるほどのパワーと輝きを持つ力作となっています。いま
や飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍する若きヴァイオリニスト、ティアンワ・ヤン
のパワフルなソロは、厚みのあるオーケストラの音色から一歩抜きん出る
輝きを放っています。
(1)シマノフスキなんぞ参考にしなくてよかったね。ワタシ、シマノフスキ
大好きですけど。でも、ヴィヴァルディも感じない。
あでやかでロマンティック。非常にメロディアス。
バロックよりは完全にロマン派の音楽で、メンデルスゾーンのようじゃない
か。もうはじめっからメロディアスなのに、第2楽章になると、ほとんどべた
べたに甘い。でもやっぱり南のほう、かな。
そうそう、第1楽章のヴァイオリンの入り方が予想外。ちょっと変わってい
ると思う。
(2) 1番をもう少し分厚く規模感を増し、ほの暗く、現代的になっている。
と、これでは大雑把か。旧約やユダヤ教典礼に基づくなんてことはまる
っきりワカランものの、イタリア的な明るさの上に、中東やアラブのにおい
が降りかかっているような気がする。ちょっと前にいろいろ書きつけた「シ
ェエラザード」ふうなヴァイオリンも聞こえる。やはり第2楽章!
ところで、実は基本的にはアメリカの作曲家だと思っていたところ、アメリ
カに渡ったのはやっと大戦直前。ユダヤ系だとは知らなかった。
ずっとアメリカだと思っていたのは、映画音楽のジェリー・ゴールドスミス
先生だったことを知っていたから。で、Wikiを覗けば・・・
  ヘンリー・マンシーニジェリー・ゴールドスミスジョン・ウィリアムズ
  やアンドレ・プレヴィンらの、年下の映画音楽作曲家に対する影響
  は大きい。自作に対する映画音楽からの影響を否定したが、オ
  ペラがヨーロッパの芸術形態であるように、映画は本質的にアメ
  リカ的な芸術形態なのだと割り切っていた・・・
とか、この曲については・・・
  ユダヤ系の血統への自負や、作曲者自身の言を借りると 「昔日
  の輝き」を表現した
とか。
第3楽章は、第1第2楽章を回想しつつ、華やかに締めくくる。冒険映画の
エンドタイトルみたい。と、どうも映画に傾いでしまうワタクシメ・・・
共に、まだアメリカには渡っていない頃の作品とは思えない。もちろん今
から見れば(聞けば)古風もいいところだけれど、いわゆる映画音楽っぽ
い!評論家が時代錯誤だとか俗っぽいとかなんとか言おうと、二曲とも
とても演奏映えも聴き映えもする曲じゃないだろうか。
映画には多く関係したらしいが名は出さなかったので、作曲者としてはほ
とんど残っていないみたい。なんだか残念。
いい機会だ。この作曲家の管弦楽曲シェイクスピアの戯曲にインスパイ
アされたいくつもの「序曲」のCDを2枚持っている。車に持ち込んで聴きな
おしてみた。あまり精度のあるオーケストラではないけど、珍しい録音で、
十数曲中、1曲を除いて初録音。案外いい買い物していたかも。
  「段段よくなる法華の太鼓」 ・・・昔麻雀をやっているとき、上司が
  この文句をよく言ったなあ。この頃こんなことが多いもんで思い出した。
質、量ともに、これらのヴァイオリン協奏曲を凌駕する美しいメロディと曲
想の豊かさ!聴くほどに楽しい。これらはさらにさらに映画音楽っぽい。
インプレッション系なのか付随音楽系なのか、ま、ちょっと難しいところだ
けど、映画があったらエンドタイトルなんかにぴったり。
そんなこんなで、うれしい鑑賞になった。
ピストンに続いて‛当たり’のヴァイオリン協奏曲。
イメージ 2