休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

アーナルデュル・インドリダソン/湿地

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20170223(了)
アーナルデュル・インドリダソン/湿地
  Arnaldur Indriðason/MÝRIN (訳)柳沢由実子
 
  2012年/ミステリー小説/単行本/東京創元社/ⓒ 2000/中古
  <★★★★>
 
 
(「BOOKデータベースより) 雨交じりの風が吹く、十月のレイキャヴィク。北の
湿地にあるアパートで、老人の死体が発見された。被害者によって招き入
れられた何者かが、突発的に殺害し、そのまま逃走したものと思われた。
ずさんで不器用、典型的なアイスランドの殺人。だが、現場に残された三
つの単語からなるメッセージが事件の様相を変えた。計画的な殺人なの
か? しだいに明らかになる被害者の老人の隠された過去。レイキャヴィク
警察犯罪捜査官エーレンデュルがたどり着いた衝撃の犯人、そして肺腑を
えぐる真相とは・・・
 
本文中に、ストーリーの骨格をうまくとらえたところがあるけれど、写すのも
面倒なので、上ので我慢。レイキャヴィク、2000年ごろ。
 
「このミス2013」誌で、気にはなったが、どうせ読むまいと思っていたところ、
ブックオフで見つけて、つい買いこんでしまったもの。わりと積読期間は短
かったかな・・・、なんとなく読み始めた。
なんたって、この作家の名前。語呂の馴染まないこと甚だしい。で、‛読み
たい’リストにメモった後、時折頭の中で繰り返していたら、とうとう覚えて
しまった!
ついでだから例を書き出してみると、登場人物だって言いにくい。
  エーレンデュル(主人公の捜査官)
  エーリンボルク(上記の女性の同僚)
  シングルデュル=オーリ(上記の男性の同僚、長いヨ)
  コルブルン(自殺した女、これ女性っぽくない)
  エットリデ(受刑者)
なんてな調子。これは苗字じゃなくてみな名前。この国では苗字はあまり
使わず、名前で呼び合うのが習慣だとか。作者の苗字だって、インドリー
家だかインドリダ家だかの息子というような意味、つまり、大したもんじゃな
い、名前のほうが重要なんだということなんだな。
北欧ったって、音の感じがスカンディナヴィアのほうとは確かにかなり違う
気がする。
そういや、巻頭言にこんなのがある。
「この話はすべてが広大な「北の湿地」(ノルデュルミリ)のようなものだ。」
                         (主人公エーレンデュルの述懐)
‘なんとかデュル・・・なんとかデュル・・・’、このお話の印象にもきっと影響
あるかも・・・、実際そう思うなあ。
 
火山や氷河、寒々とした岩ゴロの土地、牧畜と漁業・・・レイキャヴィク以外
の町の名前は知らない。おっと、去年だったか、羊飼いのヘンテコリンな映
画を観たっけ・・・てなもんです、アイスランドの知識なんて。
そうそう、先日の‘ナショナル・ジオグラフィック’で、男女格差が最も少なか
ったのがそういえば、ダントツでアイスランドだった。その感覚ってのは、住
んでみりゃあすぐわかるというようなものなんだろうか、、、
上記映画でもこの本でも、そのあたりはよくわかったとは言えない。
この本では、さしづめ“湿気”なんてものが加わったか。
 
で、ミステリーには触れないで来れました、OK、OK。
一つとても印象深いのは、疲れた捜査官エーレンデュルとその娘の関係。
これぞ警察!という少々陰気ながらも雰囲気最高、王道ミステリーじゃない
でしょうか。今やミステリーなどたまにしか読まない怠惰な遅読人間の感想
です。