この嫌味ったらしい御仁のコラムをまとめた本は、長い間にたぶん10 |
冊以上は読んだろうと思う。数はわからない。 |
どれを読んでも面白いから、知らない方には是非読んでごらんと言い |
たい。 |
でも、一篇ごとは短いので、いちいち覚えてられない。 |
今回のは、なんとなく読んだことがあるものが混ざっている気がする。 |
編集ものということになるんだろう。いや、同じようなことを書かれるこ |
とが多いから、単に似ていただけかもしれない。 |
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おそらく始め10数枚20数枚と書いたものを、削りに削ってここまで短く |
しているものだから、いい文章なのかどうかは異論もあるかもしれない |
ものの、中身が濃い。 |
中には濃すぎてどうしてもわからん、説明がほしいというものも、ワタシ |
なんかには少なくない。 |
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明治大正昭和、中でも戦前の昭和にはこだわりがあって、人がどれだ |
け安易に忘れてしまっているかを、ねちねちブツブツと責める、嗤う。そ |
の理屈がいかにももっともである。 |
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ベースは、文学、政治、男と女、雑誌の編集や経営、そしてご自分の |
来し方。タイトルによる括り方はいたって便宜的なので、括りになって |
いない。さてさて・・・何を書いたらいいものやら・・・ |
どのジャンルも面白いのだが、男と女の関係と、有名人(政治家だろう |
が文豪だろうが有名俳優だろうが)の悪口は絶対的にオモロイ。 |
いやいろいろメモったが、アップすることもないでしょう。 |
「なんだい、そりゃあ、感想文じゃなかろう!」でしょうが・・・ |
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彼や彼のコラムに親しい人たちの一部・・・、石井英夫、辻まこと、藤 |
原正彦、阿川弘之、鴨下信一、久世光彦、幸田文、竹田米吉、植田 |
康夫、寒川猫持など。 |
久世氏はワタシファンでしたが、亡くなってしまった。幸田文さんの逸 |
話はかつて読んだ気もするのに、ズンときました。 |
ラス前の安部譲二の篇など、珍しくおかしく、かつしんみり。ちょっと受 |
けを狙いすぎじゃない? |
そしてラストの「寄せては返す波の音」は、山本翁のまごう方なき‘総 |
まとめ’。 |
約70篇。 |
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ワタシ、明らかに山本翁(はヘンか、もう亡くなっているんだものな)の |
文章を読むと、真似てしまうときがある。いや、読んだ後だけじゃない |
な、普段でも時々やらかす。はっきりと特徴があるからね。 |
書いていて気づくことがある。気づくとオカシイ。 |
この人の読者は多かれ少なかれ、この傾向あるんと違う? 周りに翁 |
の読者がいたことはないから、笑いあえたことはないけど。 |
翁の魅力は、ひょっとするとこの「文体自体に凝縮されている」という
ことになるのかもしれない。
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