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(帯紹介文) ニューヨーク生まれの作曲家ギャラガーの作品集です。彼は |
カレル・フサ、ネッド・ローレムを始めとした錚々たる大作曲家たちの指導 |
を受け、管弦楽曲、合唱、室内楽、そして吹奏楽まで幅広い作品を書い |
ています。彼の音楽はどれも壮大でかつ抒情的な音色も有しています。 |
彼の作品は世界中で高く評価されていますが、とりわけ「子守歌」はその |
美しさでポーランドを始めとした各国のオーケストラで何度も演奏されてい |
ます。「ディヴァージョン」序曲はもともとシンフォニック・バンドのための書 |
かれた「ディヴァージョン」の素材を使ってフルオーケストラの作品を書き |
あげたものです。まるでハリウッドの音楽を思わせる雄大さがたまりませ |
ん。豊かな音色のシフォニエッタ、「哀歌」と名付けられていても、中間部 |
ではかなりの盛り上がりを見せる「1楽章の交響曲」とバラエティに富んだ |
選曲です。 |
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(1)Diversionはドゥヴァージャンなんてな発音で、そらすこと・転換・気晴ら |
シ・流用。 |
コープランドの抒情ふうにはじまり、西部劇ふうになっていく。制服組の姿 |
も見え隠れ。次はミヨーやヒンデミット・・・なんかがごちゃ混ぜに。抒情が |
いい。 |
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(2)この作曲家の有名曲。分りやすくしみじみ感がいい。子守唄そのもの |
でなく、そのイメージするもの。 |
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(3)弦楽合奏ファンにはなかなかたまらないものかも。 |
③バルトークふうに始まり、生き生き感がいい。甘さも悪くないけど。 |
④乾いた叙情。粋な和音というか音色というか。 |
⑤フラメンコっぽい。アンサンブルに不満はあったが、緊張感がいい。 |
⑥たいそう美しいパヴァーヌ。 |
⑦弦だけだがコープランドっぽく、かつ締まった最終楽章。かっこいい。 |
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(4)ハリウッド風とか映画音楽風とかいう表現でもいいが、それでは生ぬ |
るくて、むしろ、古今の映画音楽の巨匠の音楽からサウンドをいろいろい |
ただいちゃったんじゃないか・・・みたいな感じのほうが近いみたい。言い |
過ぎかもしれんけどね。この盛りだくさんの音色のるつぼがヨロシイ。そし |
てワタシ、こういうノーテンキ・サウンドもとても好き! |
ジェリー・ゴールドスミスがけっこう影響を受けたとか言われるストラヴィン |
スキやバルトークからいただいたようなサウンドもある。そしてちゃんと盛 |
り上がり、サスペンスフルでもある。このサスペンス、夜中、仕事の帰りに |
車の中で聴いていてふと思ったんだが、おしまいのほうはもろ「春の祭典」 |
を意識した音作りになっている。曲想はあまり似ていないんだけどね、こ |
れ案外当たっているんじゃないかなあ。そしてそのあとに‘サイコ’の知ら |
れたサウンドみたいなのがひょいと現れた。笑ってしまった。 |
哀調などはむしろ少ない。それに「哀歌」というようなマイナスの感覚では |
ない。どこか‘ラテン系の暗さ’とでもいうようなものの感じ。 |
タイトルなんか気にしてどうする! 別にかまやしない。この曲など「クラシ |
ック」にはなっていかないとは思うが、楽しく聴ければヨロシイ。そしてこの |
曲は実に楽しい。 |
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ただし、演奏には注文がある。 |
全体に生ぬるい。もっときちっとしたアンサンブルや強弱、テンポの動かし |
など、さまざま不足している気がする。指揮者かオケか、その両方か。映 |
画のサントラなら許されても、CDとして鑑賞するには、正直なところ、どう |
なんだろう。まあ緩い音楽ではあるけれど、それだからこそ必要な厳しさ |
があるべきで、、、なんてね。よくばりすぎか。 |
録音についても似たようなことが言えるように思った。 |
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前回アップのクセナキスからはだいたい30年ほどたっているのだけれど、 |
なんとも・・・厳しくない・・・音楽。でもどっちもOK。 |
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なげー・・・ |
「ハリウッドっぽくって楽しいオーケストラ曲でしたよー」で済んだかも。 |