休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

映画/「裁かれるのは善人のみ」

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20160810(了)
映画/「裁かれるのは善人のみ」 Leviathan
  アンドレイ・ズビャギンツェフ監督//アレクセイ・セレブリャコフ/
  エレナ・リャドワ/ウラジーミル・ウドビチェンコフ/ロマン・マディアノフ
  2014年/ロシア映/140分/DVDレンタル
  <★★>
 
ロシアのバレンツ海に面した小さいさびれた町というから、コラ半島とノ
バヤ・ゼムリャ島との間の海岸ということね。
この海の北には、ロシアがその地下資源開発を請け負っているノルウ
ェーのスバールバル諸島があるんだった・・・
一族が何代か暮らしてきた家で自動車修理を営むある家族が、開発に
強引な方法を採るやくざな市長の策によって、こうむる踏んだり蹴ったり
などが描かれる。‘など’と書いたのは、他にもあるからで、それは観て
もらうしかない。
ただし、見ていると、なんでこんなのを観なきゃならんのかわからない。
人の営みの何もかもが、ほんとに何もかもが、くだらないと思える。それ
をやたら寒々とした景色とともに、ひたすらリアルに、上手に見せられる。
個別の事例であって、ロシアだからどうだこうだ、という見方でなくてもよ
いのかもしれないけれど、やっぱりこれは、ロシア社会の断面のある典
型だと考えていいんだろうな。
だから、表現したいという意思は感じる。社会主義リアリズムに通じる。
自分の楽しめるものでないとわかりそうなものなのに、オスカーの外国
語映画賞の候補になったなんてことを記憶していて、原題「リヴァイアサ
ン」を見かけて、つい手に取ってしまった。
同監督の『エレニの惑い』で懲りたくせに、また観てしまった。
こっちの失敗。
邦題、気に食わない。
これはエンタテインメントなの? そうだとしても、文字通り、その極北に
あるとでもいうしかない、って、ダジャレのつもりではないんだけどね。
 
音楽は同じフィリップ・グラス。前と後ろのタイトルのところのみ「音楽」で、
これがまるで面白くない。ほとんど気色悪い。途中は音楽と言えないよ
うな「音」、まあ通奏低音ふうなサウンドを流していただけ。これなら、前
後の音楽だって要らないんじゃないか。(この居心地の悪さには貢献し
ているのかも・・・いや、そういうことなのか。ミニマルのこういう使い方。)