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ロシアのバレンツ海に面した小さいさびれた町というから、コラ半島とノ |
バヤ・ゼムリャ島との間の海岸ということね。 |
この海の北には、ロシアがその地下資源開発を請け負っているノルウ |
ェーのスバールバル諸島があるんだった・・・ |
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一族が何代か暮らしてきた家で自動車修理を営むある家族が、開発に |
強引な方法を採るやくざな市長の策によって、こうむる踏んだり蹴ったり |
などが描かれる。‘など’と書いたのは、他にもあるからで、それは観て |
もらうしかない。 |
ただし、見ていると、なんでこんなのを観なきゃならんのかわからない。 |
人の営みの何もかもが、ほんとに何もかもが、くだらないと思える。それ |
をやたら寒々とした景色とともに、ひたすらリアルに、上手に見せられる。 |
個別の事例であって、ロシアだからどうだこうだ、という見方でなくてもよ |
いのかもしれないけれど、やっぱりこれは、ロシア社会の断面のある典 |
型だと考えていいんだろうな。 |
だから、表現したいという意思は感じる。社会主義リアリズムに通じる。 |
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自分の楽しめるものでないとわかりそうなものなのに、オスカーの外国 |
語映画賞の候補になったなんてことを記憶していて、原題「リヴァイアサ |
ン」を見かけて、つい手に取ってしまった。 |
同監督の『エレニの惑い』で懲りたくせに、また観てしまった。 |
こっちの失敗。 |
邦題、気に食わない。 |
これはエンタテインメントなの? そうだとしても、文字通り、その極北に |
あるとでもいうしかない、って、ダジャレのつもりではないんだけどね。
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音楽は同じフィリップ・グラス。前と後ろのタイトルのところのみ「音楽」で、 |
これがまるで面白くない。ほとんど気色悪い。途中は音楽と言えないよ |
うな「音」、まあ通奏低音ふうなサウンドを流していただけ。これなら、前 |
後の音楽だって要らないんじゃないか。(この居心地の悪さには貢献し |
ているのかも・・・いや、そういうことなのか。ミニマルのこういう使い方。) |