| 贅沢ですがほぼ新刊書です。 |
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| (カバー惹句) 大阪など西日本の都市ではクマゼミが著しく増えており、 |
| 同時に分布域も東へ北へと拡大している。クマゼミの増加の原因は、温 |
| 温暖化にともない冬の寒さが緩和されたせいなのか? はたまた乾燥が |
| 進んだことが原因なのか? 地道な調査・実験から温暖化との関係を明 |
| らかにする。科学的真理を探究する過程の奥深さと楽しさを味わえる一 |
| 冊。 |
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| 大阪の状況からスタートするのが嬉しいじゃないの。 |
| この先生ワタシより少し若いけどね、似た感慨を持ってる。 |
| 小さいころは、こんなにクマゼミなんていなかったし、捕まえると名誉(自 |
| 分で勝手に’名誉’にしていたきらいはあるけど)だったもんね。 |
| だいたい、サクラやケヤキの上のほうで一頭でぎゃあぎゃあ鳴いていた。 |
| 少なかったんだよ。だから捕獲するのはけっこう難しかった。 |
| それがどうよ、その後60年もたってみたら、今や樹の下の方から鈴なり |
| 状態の時期まであって、その辺のちっちゃい子供にまで獲れちゃう。大 |
| きめの小鳥が楽しそうに追いかけてやがる。 |
| あの名誉は明らかにもうない。 |
| いつごろからこんな感じになってしもたんや・・・ |
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| 地球の温暖化に関しては、一通りみっちり説明してくれました。それなり |
| にページ数を喰ってしまいましたけどね。しょうがない。 |
| それから、研究の気の長いこと!!!! |
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| 7章から後が、ずばり読みたいところでした。 |
| 結論は、これだ!というようには述べられていないが、まあこれで決まり |
| に近いというものは提示されています。が、ここでそれを書いてしまって |
| はまずいと思う(ミステリーなのですから!)ので、考え方のさわりをちょ |
| っとだけ。これすら‘違反’ですけどね・・・ |
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| ・・・大阪における近年のクマゼミの増加の原因として、以下のことが |
| あきらかになりました。 |
| ・まず、温暖化により冬の寒さが緩和されたことによってクマゼミの卵 |
| の越冬中の死亡率が低下してクマゼミが増えたのではありません |
| でした。 |
| ・次に、都市化、温暖化によって乾燥したことが卵から孵化する時の生 |
| 存率に影響してクマゼミに有利に働きました。 |
| ・そして、都市化、温暖化にともなって乾燥し、地面の清掃が行き届い |
| た上、踏み固められて土が硬くなったことが、一齢幼虫が土に潜る |
| 際に、他のセミではうまく潜れず、硬い土にも潜れるクマゼミに有利 |
| に働きました。 |
| ・最後に、温暖化によってクマゼミの卵の発生が速くなり、一齢幼虫の |
| 生存に好適な梅雨の時期に孵化できるようになったことによって、一 |
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齢幼虫の生存率が上昇したと考えられました。
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| 大阪市内のクマゼミの異常増加とヒートアイランド現象あたりから説き起 |
| こされた研究は、上記を経て先生の結論に近づくのですが、ほかにも実 |
| はたくさんの条件が考えられ、たくさんのデータとともに考察されている。 |
| 標高差のこととかはもう少し詳しく知りたかった。 |
| 森や林などの樹の塊り具合、要するに空が開けている必要性なんかは、 |
| 確かにそうだったなあと思い当たる。 |
| あれで、鳥からの逃げ方は、アブラゼミよりかなり上手なんだって・・・ |
| (知ってました?) |
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| 学術書じゃないのだけれど、ワタシには十分。 |
| あのスズナリの蝉の見方が、広がったことは確かです。 |
| 夏の夜長に是非!(岩波なので、多分今だって返品利かない?) |
| 小学生にはちょっとしんどいかもしれないけど、虫に少しでも興味があれ |
| ば、中学以上、年寄りまで、「へえー、そうなのか!!!」 |
| この文、読んでくださった方なら感じるでしょうが、ワタシ子供のころは非 |
| 常な虫好きで、その部分は中身が成長しないまま大人になった。夏でな |
| くても(!)、樹の幹などの膨らんだところを見ると、蝉に見えたりする。そ |
| ういった面はジジイになってもまだいろいろあります・・・ |
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| だいたいセミなんて、人類から見て何の益するものも害するものもない。 |
| (≒わかっていない) |
| クマゼミにしてからが、産卵から地上に再び出てくるまで7年8年かかる |
| し飼育も容易じゃないのだから、実験には様々なアイデアが必要。良い |
| 仲間に恵まれて、それをこなしての成果がこの本だけど、その前にも1 |
| 冊ものしている。その古い方の本ではわからなかったことがわかり、考 |
| え方も変わったとのこと。研究費、大変だったろうねえ。 |
| 関係ないけれど、解剖学者の養老孟司さんの「ゾウムシ」だとか、「ファ |
| ーブルの昆虫記」を訳したフランス文学者の‘虫取り’奥本大三郎さんな |
| んかはあくまでディレッタントなので、これでは研究費なんぞ論外。お仲 |
| 間らしい池田清彦先生のように広く‘ちゃんと生物学の先生’でないとい |
| けない・・・最近、池田先生、くだらないバラエティ番組に出ているのをた |
| またま拝見した。それも、池田先生に喋ってもらうようなものでは全然な |
| い番組。(司会者がかなり嫌いなやつなんで、観つづけませんでしたけ |
| ど、、、もう先生、かなり暇なのか。) |
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| 一齢幼虫が孵化して土にもぐる過程は分かったけれど、クマゼミが枯れ |
| 枝に産卵すること、それが落ちて地上で孵化すること、についてはけっこ |
| うショックだった。 |
| え? 枯れ枝に産卵? |
| それに、、、枝が落ちなかったらどうするんだい? |
| だいたい、枯れ枝になんか産卵しているようには見えないよ。 |
| とすると産卵する時点で、もう相当産卵自体の歩留まりが落ちてしまっ |
| ているように思うが、そんなもん目じゃないヨ、という増え方・・・ |
| それと・・・ |
| 広がっていく方法も、もうすこしはっきり知りたかったな。樹の根っこにく |
| っついた土の中にいて運ばれるか、土そのものの中いるのが土として |
| 運ばれるか、自分で‘平地’を移動してゆくのか・・・ |
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