休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

「クマゼミから温暖化を考える」/沼田英治 著

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20160721(了)
クマゼミから温暖化を考える」/沼田英治 著
      はじめに
第1章 近年にみるセミの変化
      大阪におけるクマゼミの増加/変化したクマゼミの分布
第2章 クマゼミが引き起こした問題とは
      セミによる食害/騒音の問題/光ケーブルの切断
第3章 今、起こっている温暖化とは
      地球温暖化とその原因/都市の温暖化とその原因
第4章 温暖化をめぐって
      なぜ温暖化の問題は難しいか/温暖化の問題点を誇張する
      考え/温暖化の問題はないという考え/温暖化をめぐる複
      雑な背景/わたしの考え
第5章 温暖化と昆虫の変化
      温暖化が昆虫に与える影響/温暖化による分布の変化
第6章 セミの研究を始めた経緯
      都市問題研究に採択/セミの生活史/一年でもっとも危険
      な時間
第7章 冬の寒さとクマゼミの増加の関係
      冬の寒さの緩和/卵の寒さに対する耐性/野外に置いた
      卵の孵化
第8章 夏の乾燥とクマゼミの増加の関係
      都市の乾燥化/乾燥条件下での孵化
第9章 土の硬さの影響
      セミの分布と土の硬さ/幼虫が土に潜る能力
第10章 梅雨に孵化するために
      右記に孵化する重要性/温暖化と梅雨の時期/過去の
      孵化時期の推定
第11章 クマゼミから見えてきた温暖化 
      クマゼミの増加と温暖化/温暖化以外の要因/今後の
      予想/おわりに― わたしが強調したいこと
     もっと勉強したい人のために
     あとがき
     2016年6月/岩波ジュニア新書833/Net
     <★★★★>
 
贅沢ですがほぼ新刊書です。
(カバー惹句) 大阪など西日本の都市ではクマゼミが著しく増えており、
同時に分布域も東へ北へと拡大している。クマゼミの増加の原因は、温
温暖化にともない冬の寒さが緩和されたせいなのか? はたまた乾燥が
進んだことが原因なのか? 地道な調査・実験から温暖化との関係を明
らかにする。科学的真理を探究する過程の奥深さと楽しさを味わえる一
冊。
大阪の状況からスタートするのが嬉しいじゃないの。
この先生ワタシより少し若いけどね、似た感慨を持ってる。
さいころは、こんなにクマゼミなんていなかったし、捕まえると名誉(自
分で勝手に’名誉’にしていたきらいはあるけど)だったもんね。
だいたい、サクラやケヤキの上のほうで一頭でぎゃあぎゃあ鳴いていた。
少なかったんだよ。だから捕獲するのはけっこう難しかった。
それがどうよ、その後60年もたってみたら、今や樹の下の方から鈴なり
状態の時期まであって、その辺のちっちゃい子供にまで獲れちゃう。大
きめの小鳥が楽しそうに追いかけてやがる。
あの名誉は明らかにもうない。
いつごろからこんな感じになってしもたんや・・・
地球の温暖化に関しては、一通りみっちり説明してくれました。それなり
にページ数を喰ってしまいましたけどね。しょうがない。
それから、研究の気の長いこと!!!!
7章から後が、ずばり読みたいところでした。
結論は、これだ!というようには述べられていないが、まあこれで決まり
に近いというものは提示されています。が、ここでそれを書いてしまって
はまずいと思う(ミステリーなのですから!)ので、考え方のさわりをちょ
っとだけ。これすら‘違反’ですけどね・・・
  ・・・大阪における近年のクマゼミの増加の原因として、以下のことが
  あきらかになりました。
 ・まず、温暖化により冬の寒さが緩和されたことによってクマゼミの卵
  の越冬中の死亡率が低下してクマゼミが増えたのではありません
  でした。
 ・次に、都市化、温暖化によって乾燥したことが卵から孵化する時の生
  存率に影響してクマゼミに有利に働きました。
 ・そして、都市化、温暖化にともなって乾燥し、地面の清掃が行き届い
  た上、踏み固められて土が硬くなったことが、一齢幼虫が土に潜る
  際に、他のセミではうまく潜れず、硬い土にも潜れるクマゼミに有利
  に働きました。
 ・最後に、温暖化によってクマゼミの卵の発生が速くなり、一齢幼虫の
  生存に好適な梅雨の時期に孵化できるようになったことによって、一
  齢幼虫の生存率が上昇したと考えられました。
 
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大阪市内のクマゼミの異常増加とヒートアイランド現象あたりから説き起
こされた研究は、上記を経て先生の結論に近づくのですが、ほかにも実
はたくさんの条件が考えられ、たくさんのデータとともに考察されている。
標高差のこととかはもう少し詳しく知りたかった。
森や林などの樹の塊り具合、要するに空が開けている必要性なんかは、
確かにそうだったなあと思い当たる。
あれで、鳥からの逃げ方は、アブラゼミよりかなり上手なんだって・・・
(知ってました?)
学術書じゃないのだけれど、ワタシには十分。
あのスズナリの蝉の見方が、広がったことは確かです。
夏の夜長に是非!(岩波なので、多分今だって返品利かない?)
小学生にはちょっとしんどいかもしれないけど、虫に少しでも興味があれ
ば、中学以上、年寄りまで、「へえー、そうなのか!!!」
この文、読んでくださった方なら感じるでしょうが、ワタシ子供のころは非
常な虫好きで、その部分は中身が成長しないまま大人になった。夏でな
くても(!)、樹の幹などの膨らんだところを見ると、蝉に見えたりする。そ
ういった面はジジイになってもまだいろいろあります・・・
だいたいセミなんて、人類から見て何の益するものも害するものもない。
(≒わかっていない)
クマゼミにしてからが、産卵から地上に再び出てくるまで7年8年かかる
し飼育も容易じゃないのだから、実験には様々なアイデアが必要。良い
仲間に恵まれて、それをこなしての成果がこの本だけど、その前にも1
冊ものしている。その古い方の本ではわからなかったことがわかり、考
え方も変わったとのこと。研究費、大変だったろうねえ。
関係ないけれど、解剖学者の養老孟司さんの「ゾウムシ」だとか、「ファ
ーブルの昆虫記」を訳したフランス文学者の‘虫取り’奥本大三郎さんな
んかはあくまでディレッタントなので、これでは研究費なんぞ論外。お仲
間らしい池田清彦先生のように広く‘ちゃんと生物学の先生’でないとい
けない・・・最近、池田先生、くだらないバラエティ番組に出ているのをた
またま拝見した。それも、池田先生に喋ってもらうようなものでは全然な
い番組。(司会者がかなり嫌いなやつなんで、観つづけませんでしたけ
ど、、、もう先生、かなり暇なのか。)
一齢幼虫が孵化して土にもぐる過程は分かったけれど、クマゼミが枯れ
枝に産卵すること、それが落ちて地上で孵化すること、についてはけっこ
うショックだった。
え? 枯れ枝に産卵?
それに、、、枝が落ちなかったらどうするんだい?
だいたい、枯れ枝になんか産卵しているようには見えないよ。
とすると産卵する時点で、もう相当産卵自体の歩留まりが落ちてしまっ
ているように思うが、そんなもん目じゃないヨ、という増え方・・・
それと・・・
広がっていく方法も、もうすこしはっきり知りたかったな。樹の根っこにく
っついた土の中にいて運ばれるか、土そのものの中いるのが土として
運ばれるか、自分で‘平地’を移動してゆくのか・・・