休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

佐藤雅美/やる気のない刺客 町医北村宗哲

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20160702(了)
佐藤雅美/やる気のない刺客 町医北村宗哲
  おもん婆さんの頼み事
  十一年前の男
  手にしそこなった軍資金千両
  修験竜閑院の正体
  やる気のない刺客
  縄張り争いの潮目
  死んだ振り黒門の逆襲
  明暗さまざまだった良順の一言
  2010年12月/時代小説(連作短編)/角川文庫/中古屋
    <★★★☆>
 
(カバー解説) 元渡世人にして名医と評判の宗哲のもとには、患者だけ
でなく時に厄介な相談事が舞い込む。人宿に奉公の口を探しに来た女
りゑは、将来を言い交した男が思わぬ借金を背負ってしまったため、売
女奉公をしたいという。ところが証文を交わした夜、人宿の二階でりゑ
が突然苦しみ始めた。請われて往診に出向いた宗哲は薬を処方した
が、よくならないばかりか、事態は思わぬ方向に流れて・・・。円熟の腕
が冴えわたる人気シリーズ第2弾。
この著者は、資料を漁るのが一番好き、という方なんじゃないか。
たぶん当たっていると思うけれど、それでもストーリーは、面白い。
もっとも、どの話もスカッと終わるということはほとんどない。
このシリーズの一冊目よりこなれてきた感じ。
医者のくせに元渡世人という、危なっかしいはずの立ち位置が絶妙で、
群雄割拠の状態のやくざの中にあって、“もうオラァ縁を切ったんだから、
関係ねえ!”といわば強引に宣言して(ケツをまくって)、ラッキーなこと
になんとなく認められている雰囲気。にもかかわらず、本人からして、か
つて関わりがあったやつらのことは一応気にかかって仕方がない。事件
があるとそわそわしている。
今回は当時の蘭方と漢方の共存、併存の状況も興味深かった。
大雑把には、外科的にはすでに蘭方が進んでいたのだが、逆に内科で
は、まだまだ断然漢方だったなんてこと。
カバーの写真は、解説の話を表している。確かに一番印象に残ったよう
な気がする奇妙なお話。
右の腕組みをしているオッサンが宗哲ということになるのだな。 映像化
するときには田中泯さんなんてどうだろう・・・