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(カバー解説) 元渡世人にして名医と評判の宗哲のもとには、患者だけ |
でなく時に厄介な相談事が舞い込む。人宿に奉公の口を探しに来た女 |
りゑは、将来を言い交した男が思わぬ借金を背負ってしまったため、売 |
女奉公をしたいという。ところが証文を交わした夜、人宿の二階でりゑ |
が突然苦しみ始めた。請われて往診に出向いた宗哲は薬を処方した |
が、よくならないばかりか、事態は思わぬ方向に流れて・・・。円熟の腕 |
が冴えわたる人気シリーズ第2弾。 |
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この著者は、資料を漁るのが一番好き、という方なんじゃないか。 |
たぶん当たっていると思うけれど、それでもストーリーは、面白い。 |
もっとも、どの話もスカッと終わるということはほとんどない。 |
このシリーズの一冊目よりこなれてきた感じ。 |
医者のくせに元渡世人という、危なっかしいはずの立ち位置が絶妙で、 |
群雄割拠の状態のやくざの中にあって、“もうオラァ縁を切ったんだから、 |
関係ねえ!”といわば強引に宣言して(ケツをまくって)、ラッキーなこと |
になんとなく認められている雰囲気。にもかかわらず、本人 からして、か
つて関わりがあったやつらのことは一応気にかかって仕方がない。事件
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があるとそわそわしている。 |
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今回は当時の蘭方と漢方の共存、併存の状況も興味深かった。 |
大雑把には、外科的にはすでに蘭方が進んでいたのだが、逆に内科で |
は、まだまだ断然漢方だったなんてこと。 |
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カバーの写真は、解説の話を表している。確かに一番印象に残ったよう |
な気がする奇妙なお話。
右の腕組みをしているオッサンが宗哲ということになるのだな。 映像化
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