(映画.com解説) スペインの名匠ペドロ・アルモドバルがプロデューサーを務め |
たブラックコメディ。2014年・第67回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に |
出品され、第87回アカデミー賞ではアルゼンチン映画として外国語映画賞にも |
ノミネートされた。人生において決して押してはならないスイッチを押してしまっ |
たがために、絶望的な不運の連鎖に巻き込まれていく男女6人のエピソードを |
姿を描いた・・・
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テーマによる短編集。
英語のタイトルは‘Wild Tales’で、こういうのをWildっていうのかいな。
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このスイッチ、全て自分で押してしまうわけではないけれど、でも広い意味で言
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えば、まあ、自分が引き金になったといっていい。(邦題だから関係ないけどね) |
いずれの主人公も(まあ周りを引き込むケースもある)、とんでもない転落の連 |
鎖に入り込んで、落ちるところまでおっこっちまう。 |
えらくリアルで、悲惨で、嫌味で、ブラックなんだが、その‘これでもか!’のエ |
スカレート具合に、しまいには笑ってしまう。 |
‘人の不幸は蜜の味’みたいな言い方があるけれど、この映画じゃあ、そういう |
風にはならなかった。 (そもそも映画では、思い返せば、そういう感覚にはまり |
込むことにはならんね。) そして、ポスターのような‘爆笑’もできなかった。
それが普通なのか、ワタシだからなのか、よくはわかりません。
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最初の飛行機の話が、ちょっと毛色が変わっており、最後の結婚披露宴の話 |
がちょっと上向きで終わる。2番目から5番目までは、まさにズブズブもの。 |
コクのある映画作り、というのとは違うし、6つの話が関連付けられているわけ |
でもない。ただもう “ひでぇ”の連鎖。各エピソードは、余韻も早々に、ほとんど |
切れ目なく描かれる。 |
もっとも、想像だけれど、アルゼンチンの国民性の傾向 (不自然なほど誇り高 |
いというようなことなど) が見え隠れするような気もする。それがしつこい恨み |
や頑迷さや暴力につながる、とかさ。 |
政治的には、今は‘恐怖’が付くようなものではなくなっているんでしょ。知らな |
いけど。 |
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映画でなきゃならないとは思えないが、映画賞の関係者が喜んだとかいう話 |
は分からぬでもない。 |