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あまり身持ちがいいとは言えないかもしれない、色気があってけっこうけば |
けばしさのある中年の女。失敗続きだが、施設に入れてある息子のことだ |
けをひたすら気にかけている。成功の名残か、郊外のけっこういい一軒家 |
に住んでいる。 |
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施設から受けだされる15歳の息子は多動性障害(ADHD)で、それゆえ病 |
院に入れられていたわけだけれど、法律のせいもあるのか母親が受け出し、 |
彼は上記母親と一緒に暮らすようになる。ごく普通というような尺度からす |
ると、知能や体力は十分なんだが、精神上の発達がついて行っていない。 |
全く落ち着きというものがない上に、すぐ切れて凶暴になる。 |
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この母親にしてこの子あり、みたいなところからスタートし、お向かいの訳あ |
りの吃音の先生を加えた三人が、どんなふうに過ごして行くのかが描かれ |
る。「成長」してゆくのか、行かないのか、といえば、明らかに人と人との関 |
係性も、この子の精神も成長はしてゆくし、お向かいの先生によって勉強す |
ら進んでゆくのだが、さて最後に母親がする判断は・・・。 |
もう危なっかしくて痛々しくて、たいへん。 |
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画面はほとんどが真四角。おしまいのほうで母親が見る白昼夢のシーン |
でだけ普通の横長の画面。この真四角の画面は観念的で、どこか堅牢な |
檻のようでもあるし、映画の冒頭で述べられる‘法律’というものの枠のよ |
うでもあるけれど、意図はよくわからない。 |
※「2015年、架空のカナダで新政権が問題児を抱える親は法的手続きな |
しで子供を施設に放り込んでいいという、実際にはあり得ない法案を可 |
決したことにして」いる。 |
レベル高く、非常にわかりやすい、でも苦しい(≒息苦しい、≒生き苦しい) |
映画でした。 |
ワタシは好きではありませんし、興味深かったとも言えません、ダーウィニ |
ズム的に解説して、さっ次!と行きたいところですが、認めます、その「母 |
性」の表現。ま、心穏やかに観ることはできませんな。 |
次にはおバカなものを観たくなる。そらもう、しょうない。 |
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これ、フランス語? |
ちゃんとフランス語らしいところもところどころあったのだけど、大半はフラ |
ンス語っぽいなにか別の言語(英語とのちゃんぽんだけでない、オランダ |
とかベルギーとか、似て非なるもの)のようにも聞こえました。 |
音楽は主張のない現代音楽系‘環境音楽’。 |
(2014年・第64回カンヌ国際映画祭コンペティション部門 審査員特別賞受賞) |