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(映画.com解説) |
「マネーボール」「カポーティ」のベネット・ミラー監督が、1996年にアメリカで起 |
こったデュポン財閥の御曹司ジョン・デュポンによるレスリング五輪金メダリス |
ト射殺事件を映画化し、2014年・第67回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞し |
たサスペンスドラマ。 |
ロサンゼルスオリンピックで金メダルを獲得したレスリング選手マーク・シュル |
ツは、デュポン財閥の御曹司ジョンから、ソウルオリンピックでのメダル獲得を |
目指すレスリングチーム「フォックスキャッチャー」に誘われる。 同じく金メダリ |
ストの兄デイブへのコンプレックスから抜けだすことを願っていたマークは、最 |
高のトレーニング環境を用意してくれるという絶好のチャンスに飛びつくが、デ |
ュポンのエキセントリックな行動に振り回されるようになっていく。やがてデイブ |
もチームに加入することになり、そこから3人の運命は思わぬ方向へと転がっ |
ていく。 |
「40歳の童貞男」のスティーブ・カレルがコメディ演技を封印し、心に闇を抱える |
財閥御曹司役をシリアスに怪演。メダリスト兄弟の兄をマーク・ラファロ、弟をチ |
ャニング・テイタムが演じた。 |
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◆ |
「花よ蝶よ」と言わんばかりの‘お気楽・ノンシャラン・のんべんだらり’の鑑賞 |
記の中にあって、こういうタイプにはたびたびは出会いたくない、マイナス・イ |
ンパクト炸裂の作品。 |
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ある評にも書いてあったが、「カポーティ」の時にカポーティと殺人犯の気色の |
悪い関係を描いていた形に似て、ここではデュポン氏とマーク・シュルツのわ |
けのわからん関係を、執拗に描いてゆく。‘歪んだ相互依存関係’。 |
金がある故に許されるカレルのねじれて薄気味悪いキャラは、解説にある‘エ |
キセントリック’という言葉以上のイメージと言ってもよく、観ていて同情をほと |
んど感じない。言い過ぎかもしれんが、ほとんど‘ホラー’。 |
もちろんそれを狙っての演技であり、映画。したがって十分「成功」していると |
はいえる。 |
そして、彼に絡め取られるように、用意された環境にずぶずぶと入り込んでし |
まう朴訥で根暗なマーク・シュルツ(テイタムも怪演≒名演)もなかなかリアル。 |
実話とはいえ、マークの兄を加えた3人が迎える思わぬ運命というやつは言わ |
ぬが華。 |
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キャスティング。役者層の厚み。 |
有名俳優さんたちなのに、皆、胸板厚く太い腕。レスリングをやって、まるで不 |
自然でないのがすごい。一時的にしろステロイドのような「薬」も使うんだろうか。 |