休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

カーヴァー傑作選

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20160328(了)
CARVER'S DOZEN ― レイモンド・カーヴァー傑作選
   「カーヴァーズ・ダズン」のための序文  ウィリアム・L・スタル
 ① でぶ
 ② サマー・スティール ヘッド(夏にじます)
 ③ あなたお医者さま?
 ④ 収集
 ⑤ 足もとに流れる深い河
 ⑥ ダンスしないか?
 ⑦ 大聖堂(カセドラル)
 ⑧ ぼくが電話をかけている場所
 ⑨ ささやかだけれど、役に立つこと
 ⑩ 使い走り
 ⑪ 父の肖像(エッセイ)
 ⑫ レモネード(詩)
 ⑬ おしまいの断片(詩)
   レイモンド・カーヴァー年譜
   訳者あとがき  村上春樹
   1994年/短編小説集/単行本/中央公論新社/中古
   <★★★☆>
 
以前撃退されて印象のよろしくない、今や超有名作家(といってももちろ
ん故人だけれど)カーヴァー(1938-1988)の全集からの選集。
村上春樹の紹介によって日本でも読者が増えたんだろうなあ。この選集
も村上の訳&撰。
「でぶ」を読んでひとまず安心。
ああ、読める、読めるぞ・・・ 
(これでおしまいではまずかろうと、、、以下恥ずかしい蛇足)
偶然なんだけどね。今や、なにかと出てきては以前の撃退を思い出させ
る気になる名前だものだから、エエイ、ウルサイ、読めばいいんだろ読め
ば!てなもんで、、、積読から選択。
村上春樹さんを虜にしたこのカーヴァーという作家、もののみごとにひね
くれていて、素直に読めばいいのですと言う村上のレベルを遠く超えてし
まっている。
素直は無理でしょう、素直は。
詩人を含めた、文章や言葉のニュアンスや不可解な雰囲気にこだわる
書き手、読み手にしか受けないんじゃないか。少なくとも、メジャーなもの、
ポピュラーなものではない。
だから、「お前、これが楽しめないのか!」というやつがいたら、言われた
側の多くは、ああオレは鈍感なのかと思ってたいてい困惑することになる
んじゃないか。でもそう思う必要はないね。
また言い替えるけれど・・・
卑近な物事の中にいて、普通は行けるはずのない、ほとんど死後の世界
のような不思議な場所(あるいは別次元)に連れて行かれたかのような味
とでもいう変な作家。神経の繋がり具合、ズレ具合がヘン!  ホラーと紙
一重みたい。
後半は分かりよくなってしまったので、やっぱり特に前半の作品やね。
⑫の詩はいたって散文的で、村上の説明を読んでもこれが詩かどうかよ
くわからないが、短編小説は全体的には「詩的」かもしれない。ワタシは
詩のことはホントはよくわからないのだけど。
最後の‘チェーホフ’⑩なんて、同じ作家だとは思えない。
楽しんだのかどうか、よくわからない。
短編の「奇妙な味」系のアンソロジーは多いけれど、それにしても奇妙な
読書体験。人生の何を言っていることにもならないが、どれもこれも人生
の断片ではあると思う。
以前撃退され、今回は読めた。
どういうことなのか、やはり少しは気になりますな。年を取ったのか、アホ
になってきたのか。
こんな世界に入り浸っていると、「普通の生活」との乖離で危険かもね。
最初の「でぶ」で、読める読めると思ったワタシは、かなりずれた世界に
踏み出していたのかもしれないし、実際撃退された以前より「危ない」目
に近づいていたのかもしれない。
で、またまた言い替えると・・・
敢えていうなら、アル中のたわごと的世界、なんてものをものの見事に
掬い上げたものなんじゃないかなぁ。それが、村上に言わせれば「とて
つもない」こと(≒技量?)なんじゃないの? どうなんだろう。
各編ごとのメモは没にした・・・
印象に強いのは①②⑦⑧あたりですかね。
ああ、やっぱりバカにされるぞと思う自分がいる。
わたしゃ凡人、ドンマイだわ。
どっちが幸せか(こんな言葉使うか!)、書いたもん勝ちかどうか、わかっ
たもんじゃないし・・・