休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

キュッヒル真知子/青い目のヴァイオリニストとの結婚

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20160309(了)
キュッヒル真知子/青い目のヴァイオリニストとの結婚
 
   はじめに
  第一章 姑
  第二章 世界一のコンサートマスター
  第三章 私の暮らすオーストリア・ウィーン
  第四章 オーストリアと日本人
  第五章 出会い
  第六章 家庭の運営
  第七章 私の生い立ち
  第八章 ビジネスの世界
   あとがき
   参考文献
 
   2013年/エッセイ/新潮文庫/単行本2012年「青い目の夫」改題
   <★★★☆>
 
 
朝日の夕刊に昨年2週間ぐらい連載された、ライナー・キュッヒルさんの
インタヴューを面白く読み、切り抜いて残した。ブログに感想文あり。
2015年8月でウィーン・フィル/ウィーン国立歌劇場管弦楽団の第一コン
サートマスターは本来なら退任されているはずだが、いや、一年延長だ
ったか。そうすると、もうあと数か月というところ。
 
そのキュッヒルさんの奥さんのエッセイ。普通の本屋さんで見つけた。
いきなり不倫から始まってしまい、読むこっちがどぎまぎ。
読んで楽しいもんやろか・・・
自分の期待する面白さ(もちろん、勝手なものですな)を得られるやろか
・・・ そりゃ考えまっせ。
そんなもの、映画やTVドラマで厭になるほど観ていて、そこいらじゅうに
あることだとはわかっていても、エッセイをお書きのご本人だと、どうな
の? 許せるの?許せないの?
 
すぐに姑との確執が書かれて行き、その重さが上記を結果的に中和で
もするかのように、あるいは掻き消しでもするかのように記述が進んでい
く。
この自己中の姑のすさまじさは、記述は全体から見ればわずかな分量
なんだが、すでに夫キュッヘルさんにも、舅にも、きっとムチャクチャ大き
な影響があったのだろう。
夫キュッヘルさんの演奏時の硬い表情にだって、表れているんじゃない
かとつい思ってしまう。
で、結婚生活へと記述は続く・・・
 
はい、間違いなく夫ライナーさんは○○○ン!
まあ、それもそうだけれど、青い目の夫は超有名人としては絶句もの。
ヴァイオリン馬鹿の驚くべき浮世離れ。
よくまあそれで、世界一有名で忙しいコンマスを務め上げてこれたもの。
あの、めったなことでは笑わない、厳しくインテリっぽい風貌からはまるで
想像がつかない。
‘そんな方’だったの!
よくもまあ結婚するようなことになったもんだ。
(上記インタヴュー記事からはまるっきり匂わなかった。)
もうこれはいちいち書くようなもんじゃない。
‘あきれる’ほどケッタイ。
そんな旦那さんだから、40年近く連れ添っている奥さん/著者のサポート
の徹底ぶりは見事。そりゃこうでないと(夫婦として)続かない。
 
「音楽ファンとして期待外れ」だとか「ここまで赤裸々に書くか!」
などなどとあって、あまりいい感じのレヴューがなかったのは残念。
最初の‘赤裸々’に度肝を抜かれたのは、確かだけれど、ワタシは逆で、
ぶっ飛んで面白く、期待値を軽く超えてましたねえ。
いささか自慢げな調子のなんとなくオバハンっぽい文章もかえってよろ
しい。音楽家にも商売人にもなれなかったが、見上げた根性。日本人と
してなんだか誇らしい。
この薄い文庫本の半分近くを占める第一章と第二章に重点のある本で
した。