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今年始めに読んだこの著者の長編ホラー『残穢』(山本周五郎賞)と怖さが似 |
ているようでそれならおもしろそうだと思っていたところ、見つけて買い込んで |
おいたもの。「遠野物語」の続きとして‘怪異譚’を選んだ。 |
怪談専門誌「幽」に連載されていたものをまとめたもので、まだ連載は続いて |
いるらしい。 |
次が出たらまた読みたいと思うかどうか。 |
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家に取りついているさまざまな状況の「霊」の話。実体を伴っているがごとくに |
リアルさを感じさせる幽霊だ。 |
『残穢』に出てくる「憑き物」は、独特のしつこさを見せるウイルスの増殖という |
か、どこか数学的とでも言えそうな広がりを感じさせる、いやーな怖さがあって、 |
ぞくぞくしてしまったが、ここではそんな「広がり」はほぼ見せない。一篇一篇 |
がこじんまりとまとまって完結している。 |
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で、ここに出てくる霊は、‘その後’は、たいがい、成仏させられたり、封じ込め |
られたりするんじゃない。簡単に言えば、実害がないのであれば、むしろ共存 |
の方向で(!)解決していこうというふうに進みがち(って、言い過ぎかな・・・)。 |
それが面白い。 |
その奇妙な方向性の仕事を、若い営繕業者が、なんともさりげなくやってのけ |
てしまうというお話のあつまり。 |
どちらの発想が先かはわかりませんが『残穢』とは兄弟分の関係でしょう。 |
いずれの話も出来不出来がないが、例えば、3つ目のものとか最後の篇など、 |
とりわけ印象深い気がする。 |
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小野不由美さんの本は、宗教談義が絡んで、かつ異常に怖い大長編『屍鬼』 |
を強烈に覚えている(といっても実はここに挙げた3作+1作ぐらいしか読んじゃ |
いません)のですが、この小ぶりで繊細なお話達も、素敵です。日常とともに |
ある身近な怖さの感覚は、癖になる感じ。 |
次のが本にまとまって、もし気が付いたら、まあ読むのは無理だとは思うが、 |
読みたくなるだろう。 |
(年齢のTPOなんぞに拘らない、悟らない‘じいじ’でおれますように・・・ )
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