休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

映画『おみおくりの作法』

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20150909(了)
映画『おみおくりの作法』
   STILL LIFE
   監督&脚本:ウベルト・パゾリーニ//エディ・マーサン/
          ジョアンヌ・フロガット他
   音楽:レイチェル・ポートマン
   2013年/英・伊映/87分/DVD/レンタル
   <★★★★△>
この映画、朝日新聞の別紙「GLOBE」に紹介記事があって(今年の1月)、
チェックしていたもの。苦心のタイトルやね。借りてみて正解。
ロンドン南部のケニントン地区の民生係(と言っていた)である公務員、40
歳台の実直、糞まじめな男。決して情が濃いというわけではない! 彼は
追いやられたように一人だけで狭い部屋をあてがわれて仕事をしている。
その仕事というのは、身寄りのない死人が出ると、事務的にこなせばい
いものを、葬儀を行う前に遺品を整理したり、出来る限り人生を調査した
りして身寄りや知り合いを探し、葬儀参列を促し、だめなら彼だけが立ち
会ってようやく葬儀、埋葬するなんてなことをやっている。仕事は丁寧極
まりないが、経費がかかりすぎて非効率だということで、懸案を残したま
ま彼は理不尽にも解雇になってしまうのだが・・・ と、ここまでにします。
あとは観てほしい。
日本の「おくりびと」を始めは予想したところ、切り口が若干違うものの、
人の尊厳に対する感覚みたいなものは、国が違っても共通するもは多い
んなんだなあ、なんて、こんなオッサンが改めて思うのも変ですけどね。
かなり前に「ラブド・ワン」という葬儀を扱って猛烈にブラックなどたばた映
画があったのも思い出した。(モノクロ。トニー・リチャードソン監督でしたっけ) 
こっちは捉え方は違えど、むしろ世界としては「おくりびと」に近いが、あっ
けにとられる大脱線、人の尊厳なんて糞くらえのきわめて強烈な戯画で、
まだ少し覚えている。確かえらく鼻白んだ。
さて戻りまして、孤独死を扱いつつも、いたって淡々としたものだったので、
落ち着いて観ていたところ、結末に思いがけない仕掛けがあって不覚をと
ってしまった。
幸いカミサンもオフクロも顔を出さなかったらね、ラッキーだった。
時々涙腺を緩めないと健康に悪いっていうし、、、(んなことないか)
孤独死の問題自体はとりあえずおいておいて、(ハイ、最後の仕掛けが利
いてというだけではいささか弱いけど・・・)高得点。ワタシは推薦。
  ・パゾリーニ姓の監督さん、あのピエール・パオロ・パゾリーニゆかりの
   かたなのでしょうか。(おっと、小津安二郎の影響を受けたと書いて
   ある。そうか、、、これは、、、読まなきゃよかった!)
  ・N・ポートマンの音楽、別途聴くことはほとんどないが、実にぴったり。
   こういうペーソス系には相性抜群みたい。もっとも、ふと思ったけど、
   「ジムノペディ」何曲かの組み合わせのようなのでもいいなあ。・・・
   けっこういい案かもよ。
  ・「ラブド・ワン」、リチャードソン監督は英国人だが、映画はアメリカ。ア
   メリカ人気質を皮肉ったものだったようです。もう40数年前に観たんだ
   ・・・四国のある町の名画座的なところで。