休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ローレム/協奏曲集

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20150810(了)
ローレム/協奏曲集
Ned Rorem(b.1923)/Concertos
 
(1)Pilgrims(1958)① 7:14
 
(2)フルート協奏曲(2002) 31:21
  ②The Stone Tower 7:48 ③Leaving-Traveling-Hoping 7:57
  ④Sirens 4:43 ⑤Hymn 3:15 ⑥False Waltz 2:29
  ⑦Résumé and Prayer  5:09
 
(3)ヴァイオリン協奏曲(1985) 24:07
  ⑧Twilight 3:54 ⑨Toccata-Chaconne 3:50
  ⑩Romance Without Words 2:46 ⑪Midnight 6:09
  ⑫Toccata-Rondo 2:43 ⑬Dawn 4:45
 
  ホセ・セレブリエール指揮/ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニック
  管弦楽団/ジェフリー・ケーナー(Fl.(2))/フィリップ・クイント(P.(3))
  録音:2005年6月、英、リヴァプール、フィルハーモニック・ホール、(1)(2)初録音
  2006年/CD/現代音楽/協奏曲他/Naxos 8.559278/輸入/Net
 
  <★★★☆>
アメリカの作曲家では好きな部類に入ります。
 
(1)「巡礼者」:
この「巡礼者」という訳語を見て即連想したのが、映画「偉大な生涯の物語」。
アルフレッド・ニューマンのサントラの音楽。妥当かどうかはよくわからないけ
ね。
分厚い弦の非常に美しい音楽。
 
(2)②で時々打楽器がボン!とかドカン!と鳴るのが、ミヨーを連想。多くの
交響曲でこんな音をたくさん聴いた・・・。この打楽器のほうはミヨーよりものも
のしさがある。管弦楽全体はミヨー独特のとんがり方と違って、包容力がある。
③は木管中心のアンサンブルが美しく、その中でフルートが一応中心だよ、
という感じ。裏側にバーバリズムが潜んでいるぞ、というかのごとき抑えた雰
囲気もいい。
④こりゃ‘サイレン’じゃなくて‘海の精’のようなものかな。⑤ピアノの出だし
がいかにもフランス近代。たいそう美しい。⑥短い。太鼓、そしてワルツ少し。 
⑦レジュメと祈り? 何のこっちゃ。ティンパニの連打や二本のフルートなどの
導入から、わりと大きな音量に達するも、静かな終わりまで、あとはほとんど
盛り上がらない。静謐な調子が続いて、勿論静かに消えゆくように終わる。
フルートの技巧を楽しむというよりは、フルートが活躍する管弦楽組曲とでも
いうべきもの。
知っている管弦楽曲である3つの交響曲とはかなり違った印象で、ラヴェル
やミヨーなどのフランス系の影響が、かなり濃いように思う。
 
(3)これも6つの楽章に分かれている。
フルート協奏曲とは違って、管のアンサンブルのセンスを聴かせる、みたいな
ものはあまりなくて、でも全体に品のある抑えたコンチェルト。 ヴァイオリンは
ときには激しく弾かれるけれど、ヴィルトゥオーゾぽいところはほとんどない。
地味。ソリストには面白くないかもしれないが、聴く方はそうでもない。
先のフルート協奏曲よりは、交響曲に近いかもしれない。もっとも、ティンパニ
はよく鳴るものの、規模感はない。オケは小さ目だと思う。
いや、フルート協奏曲がつまらないと言っているんじゃありませんヨ。どちらも
良かった。
 
この方、歌曲の作曲家として知られるんだそうだが、歌ものはまだひとつも聴
いたことがない。歌はワタシ、好きになれるものがなかなか見つかりませんの
で、(というか、たいてい音としてしか聴かないので)無理して探す気はないの
ですけどね、ちょっとだけ気になる。それより、ピアノ曲なんか、どうなんだろう。
 
 *Cover Image: Ned Rorem at the piano by Jean Cocteau ですって。