| (読書好きは多いから、アホなことは書きにくいんだけれど・・・) |
| のっけから、並みの書き手でないことが伝わってきましたねェ。 |
| 選んでいる言葉のバランスが崩れることがなく、雰囲気の持続が心地よい。 |
| 滋賀県の二つの町・・・ でもちょっとかわった環境・・・ |
| テレビはもう普及していて、「ララミー牧場」なんてのを放映しているころなん |
| だが、まだ馬を使っているところがあって・・・、宣教師や外国語の学校なん |
| かがある雰囲気は・・・、戦前からの雰囲気が少し残っている。 |
| そんなちょっと古臭さがへんてこりんな環境にいる5歳の女の子が、ある市 |
| からある市へ引っ越す道中から、話は始まっていく。 |
| この導入(の文章)に早くもほっこり。 |
| 早い話が、作者の語り口が好みなんだと思います。 |
|
| 分量が3倍4倍ともなれば、ビルドゥンクス・ロマーンなんて言ってもいいか |
| も知れないけれど――そんな形を採ってはいるんだけれど、それじゃいか |
| にもオーバー。ほんのちょっとだけ成長譚ふうな連作短編集。 |
| あるいは、犬と(時に猫と)うまく喋られない女の子のクロニクル・・・ |
| 成長しているかどうかっていうと、あやしいかもね。 |
| 犬や猫の配しかたが、最終章がやたら濃いのを除けば、さりげなく、しかも |
| 捉え方がバッチリで、なんたってかわいい・・・ 犬好きがよくわかる。 |
|
| そしてその当時テレビでやっていたアメリカ製ドラマのタイトルを、各章のは |
| じめに掲げて、時に内容を絡めたりしつつ、時代は進む。その配しかたが非 |
| 常に楽しい。ある種の風俗小説という言い方が正しいんじゃないか。 |
| 下の2つ以外は知っているドラマ。もっとも、それを見ていたころの自分なん |
| て、ほとんど覚えてないや。 |
| *「ペチコート作戦」は昭和30年代から40年代にかけてのTVドラマ。い |
| かれた潜水艦もの? ふーん、知らんかった。*1959年;B・エドワーズ |
| 監督/ケイリー・グラント/トニー・カーチス・・・の映画ではなく。 |
| *「ブラザーズ&シスターズ」なんて、ごく最近のものでしょ。 |
|
| テクニカルではあるけれど、この小説世界はやはりこの作者独特。とても静 |
| かといっていい。‘尼さんの妄想’を妄想。 |
| なのに、なんと言っても、リーダビリティ抜群! |
| 「ハルカ・エイティ」のような境地に進んでいくのだろうかと思いつつ読み進 |
| んだ。色恋沙汰は意図的に描かれないけれど、どこか共通点を見たような |
| 気がした。 |
| 男が納得できる女性性の描き手と思ったりもしたが、まぁそんなひっかかり |
| はどうでもいい。言いたいのはテクニカルではあるけれど、作者に沁みつい |
| た感性のようなもの、つまり自伝的な部分、あるいはその周辺世界なのか |
| なぁということ。 |
| もっとも、中に作者と同じ「姫野」という姓の男性キャラが出来るのには、ど |
| ういう意図があるのか、読めそうでわからない・・・ |
|
| 出版社は「文学性の高い静謐な作品で、読み手にリテラシーを要する面が |
| あった」なんて書いている。これでリテラシー云々というなら、読めないもの |
| がやたら存在する、みたいなことになってしまうから、オカシイだろ!こんな |
| に読みやすいのに。それともオレも読めていないってこと?(かもね) |
| とまあ、どうでもいいこと書きすぎました。 |
| これで直木賞を獲って、記者会見にジャージを着て現れたんだった。 |
|
ついでに短評を表にしたものを添付してみる。
|