休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ルトスワフスキ:管弦楽曲集 - 7

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20150226(了)
ルトスワフスキ管弦楽曲集 - 7
Witold Lutosławski(1913-1994);Orchestral Works Vol.7
(1)3つの後奏曲  (1958-63)16:44
 ①Postlude №1 3:59
 ②Postlude №2 5:22
 ③Postlude №3 7:22
(2)13の独奏弦楽器のための前奏曲とフーガ (1970-72)35:24
 ④Prelude 1 2:22
 ⑤Prelude 2 1:37
 ⑥Prelude 3 3:32
 ⑦Prelude 4 2:28
 ⑧Prelude 5 2:05
 ⑨Prelude 6 2:24
 ⑩Prelude 7 3:58
 ⑪Fugue   16:58
(3)ミニ・オーバーチュア ⑫ 3:09
 
(4)ルイヴィルのためのファンファーレ (1985)⑬ 1:10
 
(5)CUBEのためのファンファーレ (1987)⑭ 0:25
 
(6)G.S.M.D.のための前奏曲 (1989)⑮ 1:49
 
(7)ランカスター大学のためのファンファーレ (1989)⑯ 0:28
 
  アントニ・ヴィト指揮/ポーランド国立放送交響楽団
  録音:①1996年、その他2000年、ポーランド、カトヴィツェ
  1999年/CD/現代音楽/管弦楽/NAXOS/輸入/中古
  <★★★★>
(帯紹介文) 20世紀の作曲家としては破格の演奏機会に恵まれたルトスワフスキ
ですが、この第7集は珍曲揃い。しかし内容はさすがの一語に尽きます。1の冒頭
の美しさは、凡百の作曲家たちを遥か遠くに引き離します。「前奏曲とフーガ」はル
トスワフスキ作品中でも特に演奏時間の長い大曲。「小序曲」は、かの有名なフィ
リップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルの委嘱作。選曲で特に目を引くのは、晩年
の3曲のファンファーレですが、実際に祝典の現場で演奏されたら正直言って迷惑
かも、と思えるほどに充実した現代音楽になっている(しかもあっという間)ので、
ファンにはたまりません。
(1)‘前奏曲’の前に‘後奏曲’ってのもなんだけど、そもそも後奏曲って何?
この管弦楽曲集6のCDの最後に①が入っていて、物足りないと書いたんだが、
②③と長くなり、3つ揃うとなかなか重々しい。
でも、どういうふうに表現したらいいのかよくわからない管弦楽曲だなぁ。
ドスが利いていて、かつ技巧的。
たとえば3つ揃えて(揃える意図があるとかないとかは、知ったこっちゃないんで)
シンフォニエッタといったふうに言えそう。形の上では緩徐楽章はなくても、③が
さまざまな曲調を含んでいるんで、ちょうどいい。終わり方はわりと余韻がある。
(2)それに比べると、前奏曲のほうは、うんと懐かしくも現代音楽っぽい感じの楽曲
が大半で、落ち着いて(?)色々楽しめる。⑪のフーガのみ極端に長く、曲想も多い。
苦渋に満ちた感じが続くが、エンディングは急転直下、がらっとひっくり返すように
一転、明るく終わる。
(3)は金管四重奏、(4)はフルの吹奏楽、(5)は金管五重奏
(6)はオケ、(7)は吹奏楽。いずれも短い用途限定の委嘱作のよう。落穂拾い。
民族主義的なところからスタートして評価が高まった、みたいな書かれ方をしてい
るが、ワタシにはその辺はあまりわからない。
第6集に入っていた「ヴェネツィアの遊び」(1960-61)あたりから、ガラッと作風が
変わったらしい。少しさかのぼってみると、民族色が濃いし、ペーソスなんかは確
かに漂い暖かさや明るさも多く感じる。きらきらとファンタジックな音色が、ワクワ
ク感ももたらしてくれる。(第2集の前半なんて特にそうだった。)
それでも、ワタシの感覚としては、強烈さがすごかったりするのに、決して熱くな
らない、実に冷静に凝集力の強い、またバランスのとれた曲を作る。引き出しが
実に多く、特にオケでは際限ない。ただし、ないものもあって、例えば‘とろけるよ
うな甘さ’とか‘軍靴’をリアルに思わせるものがないのではないか。知らないだ
けかもしれないけど。
(最後の第8集も手に入れられそうだ。)