休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

小野不由美/小説『残穢』

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20150225(了)
小野不由美/小説『残穢
 ①端緒 ②今世紀 ③前世紀 ④高度成長期 ⑤戦後期Ⅰ
 ⑥戦後期Ⅱ ⑦戦前 ⑧明治大正期 ⑨残渣
 2012年7月/ホラー系小説/単行本/新潮社/中古 
  <★★★☆>
(Net内容紹介) 怨みを伴う死は「穢れ」となり、あらたな怪異の火種となるのか─。
畳を擦る音が聞こえる、いるはずのない赤ん坊の泣き声がする、何かが床下を這い
廻る気配がする。だからあの家には人が居着かない──何の変哲もないマンショ
ンで起きる怪奇現象を調べるうち、浮き上がってきたある「土地」を巡る意外な真実。
著者九年ぶりの500枚書き下ろし、戦慄のドキュメンタリー・ホラー長編。
紹介文にもあるような怪奇な現象を、作中の物書きなどが、どちらかというと片手間
的に、いたって冷静に調査を進めていくのだが、それを読むこちら側がけっこう反応
してしまう。これでもか!ではなく、調査経緯ふうに、あくまでさらっと書かれるだけな
のに。首筋や側頭部にゾワッと寒イボが駆け抜ける。‘戦慄の’ではないけどな。
文章の抑えた平静な感じがなかなかよろしい。でなきゃ「山本周五郎賞」は獲れな
いよ。 (と、これは余計なお世話です。)
紹介文にある‘ドキュメンタリー・ホラー’という言い方がちょっとおかしいが、まさに
その通り。なんだか新しい気がする。タイトル、ずばり!
ドキュメンタリー・タッチにふさわしく、実名が出てきたりする。多分ホラー小説界で
は大変なビッグネームであろう平山夢明さんがちらほら出て来る。(もう一方も知ら
れたかたかも) だから、この作品だって、作者小野不由美さんご本人の一人称み
たいなもんだと思って読んだっていっこうにさしつかえないように思う。
この小説、前に何かで紹介されて気にしていたところ、朝日の本の紹介欄で「営
繕かるかや怪異譚」という新作が書評されていて、おしまいの作者紹介欄にこれ
が載っていた。ああ、中古屋に並んでたし、仕入れてみるかぁ、っとなった。
ひょんなことから『屍鬼』という大作を読んで以来の小野不由美作品でした。
楽しませてもらいました。
ホラーとは言っても、含むものの多い超弩級のホラー作品『屍鬼』とはたいそう違っ
たもので、今度の新作なんかのほうにもろに関わりがあるような話じゃないですか
ね。この路線ではバカ受けはしない気もするが、家や土地に取り憑くモノって、考
えてみりゃあ、いたってスタンダードな気がする。
新作小説、面白そうです。
 
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