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(帯紹介文) 長きにわたって、ドイツの作曲界を代表する存在の一人である、ヘン |
ツェのヴァイオリン作品集です。2曲の協奏曲は、ともに演奏者に難度の高い技巧 |
が要求され、充実した響きのオーケストラと渡り合っていきます。ファウスト伝説は、 |
多くの芸術家に取り上げられた題材ですが、ヴァイオリン協奏曲第3番は、登場人 |
物の手になる架空のヴァイオリン協奏曲が登場する、トーマス・マンの小説「ファウ |
スト博士」からインスピレーションを受けています。なお、静謐な美しさが際立つ、 |
ピアノとヴァイオリンための「5つの夜の小品」は、この作品の被献呈者であり、初 |
演者でもある二人のコンビによる演奏です。 |
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(1)華っぽいところはほぼなく、むしろ不機嫌や怒りに近い気がする。 |
オケはスケール感と鋭さが混在して、深いかどうかはともかく、きわめてかっこい |
い。(つまり‘好きです’と言っているわけです) 新即物主義的ショスタコーヴィチ |
とでもいうような。激しくなると、ちょっと暴力的でもあるかも。ピアノがちらっと聞 |
こえた。いっぽうヴァイオリンはソロ部分が多いように感じられ、暗い独白/お喋 |
りが続くイメージだ。 |
まあ常識的だけど、作曲年からしてどうしても戦争の影響を考えちまう。 |
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(2)こちらはあの長たらしい、ピリオドがなかなか来ない長ーい文章ばっかりとい |
う印象のマンの「ファウスト博士」だって。 |
まあ、易しい音楽であるはずもない。 |
いきなり独白で始まる。オケのほうは無調でもけっこう美しいというか、色彩をふ |
んだんに感じさせる響きとマスの威力! 宇宙的といってもいいようなサウンドと |
規模感がある。 |
ヴァイオリン・ソロがやたら多いのね、これも。ややしつこい。そして難しそうっ!!! |
それに対して、オケは(1)より更に魅力いっぱいで、変な話、言葉の大伽藍のご |
ときトーマス・マン(この小説、岩波の3冊本、ちゃんと読めなかった)を連想させ |
て嫌味もない。 |
(スミマセン、それじゃイカンよね、って、ほとんど反省してない) |
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(3) ・・・蛙飛び込む水の音、といった俳句を音にしたような短い時間の音詩ふう。 |
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このCDが出た時点では、ヘンツェさんはご存命だった。 |
さて、このヴァイオリニスト、まずまずのようだが、オケのバックアップは素晴らし |
い。加えて録音がうまくいったんじゃないか。 |
去年何枚かヘンツェを聴いて、それまであった苦手意識がなくなってニンマリして |
いたのですが、このアルバムも気に入りました。 |