休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ヘンツェ/ヴァイオリン協奏曲ほか

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20150130(了)
ヘンツェ/ヴァイオリン協奏曲ほか
Hans Werner HENZE(1926-2012)/Violin Concertos
(1)ヴァイオリン協奏曲 第1番(1946)
  ①10:45 ②2:20 ③6:25 ④7:28
(2)ヴァイオリン協奏曲 第3番(1997)
  (トーマス・マン「ファウスト博士」による3つの肖像)
  ⑤エスメラルダ 10:24  ⑥木霊の子供 13:43  ⑦ルディ・S. 9:17
(3)5つの夜の小品(1990)
  ⑧悲歌 3:08  ⑨奇想曲 1:00  ⑩羊飼いの歌Ⅰ1:07 
  ⑪羊飼いの歌Ⅱ 1:20 ⑫オード 2:34
  ペーター・シェパード=スケアヴェズ(ヴァイオリン)
  (1)(2)クリストファー・リンドン=ギー/ザールブリュッケン放送交響楽団
  (3)アーロン・ショル(ピアノ)
  録音:2004年9月、独、ザールブリュッケン、大放送ホール他 Tot.69:30
  2006年8月/CD/現代音楽/協奏曲他/NAXOS/輸入/中古
  <★★★★> 
(帯紹介文) 長きにわたって、ドイツの作曲界を代表する存在の一人である、ヘン
ツェのヴァイオリン作品集です。2曲の協奏曲は、ともに演奏者に難度の高い技巧
が要求され、充実した響きのオーケストラと渡り合っていきます。ファウスト伝説は、
多くの芸術家に取り上げられた題材ですが、ヴァイオリン協奏曲第3番は、登場人
物の手になる架空のヴァイオリン協奏曲が登場する、トーマス・マンの小説「ファウ
スト博士」からインスピレーションを受けています。なお、静謐な美しさが際立つ、
ピアノとヴァイオリンための「5つの夜の小品」は、この作品の被献呈者であり、初
演者でもある二人のコンビによる演奏です。
(1)華っぽいところはほぼなく、むしろ不機嫌や怒りに近い気がする。
オケはスケール感と鋭さが混在して、深いかどうかはともかく、きわめてかっこい
い。(つまり‘好きです’と言っているわけです) 新即物主義ショスタコーヴィチ
とでもいうような。激しくなると、ちょっと暴力的でもあるかも。ピアノがちらっと聞
こえた。いっぽうヴァイオリンはソロ部分が多いように感じられ、暗い独白/お喋
りが続くイメージだ。
まあ常識的だけど、作曲年からしてどうしても戦争の影響を考えちまう。
(2)こちらはあの長たらしい、ピリオドがなかなか来ない長ーい文章ばっかりとい
う印象のマンの「ファウスト博士」だって。
まあ、易しい音楽であるはずもない。
いきなり独白で始まる。オケのほうは無調でもけっこう美しいというか、色彩をふ
んだんに感じさせる響きとマスの威力! 宇宙的といってもいいようなサウンド
規模感がある。
ヴァイオリン・ソロがやたら多いのね、これも。ややしつこい。そして難しそうっ!!! 
それに対して、オケは(1)より更に魅力いっぱいで、変な話、言葉の大伽藍のご
ときトーマス・マン(この小説、岩波の3冊本、ちゃんと読めなかった)を連想させ
て嫌味もない。
(スミマセン、それじゃイカンよね、って、ほとんど反省してない)
(3) ・・・蛙飛び込む水の音、といった俳句を音にしたような短い時間の音詩ふう。
このCDが出た時点では、ヘンツェさんはご存命だった。
さて、このヴァイオリニスト、まずまずのようだが、オケのバックアップは素晴らし
い。加えて録音がうまくいったんじゃないか。
去年何枚かヘンツェを聴いて、それまであった苦手意識がなくなってニンマリして
いたのですが、このアルバムも気に入りました。