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(帯) 冒頭でバリバリの現代音楽か?と思われた方もいらっしゃるでしょうが、ちょ |
っと聴き進めると全く違うことがすぐわかります。多数のピアノ曲を残したスペイン |
のトゥリーナ、そのピアノ三重奏のための作品全てを1枚のディスクに収めるのは |
当盤が初めて。同時代のアルベニスやグラナドスらの音楽と比較すると、スペイ |
ン的色彩は薄く、室内楽の伝統を継承する力作揃いです。特にお薦めしたいの |
は、これが世界初録音となる初期のピアノ三重奏曲(収録曲中では規模が最大)。 |
今まで無視されていたのが信じられない佳品で、ブラームスばりの真摯さに耳を |
奪われずにはいられません。 |
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(1)フランス風味だと思う。そこへちょっとスペインの翳り加減の香り。①Prelude |
and Fugue、②Theme and Variationsはそんな感じで終楽章③は快活なSonata。 |
フランスの巨匠たちの匂いもするものの、スペインぽさはもう少し強く出る。なかな |
かいい感じです。 |
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(2)④しめやかに始まる感じがフランクみたい。1番より流れてもうちょっと明るくロ |
マンティック。もっとも、その1番よりさらに国籍不明かも。⑤は短いものの細かい |
音符やピチカートがかっこいい。合間のゆっくりしたところがスペイン。⑥翳りがある |
が堂々とした終楽章。 |
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(3)これはピアノ・トリオとは謳っていないが、ピアノ・トリオそのもの。4曲の中では |
一番後で書かれたもの。幻想曲と括られ、楽章にそれぞれ夜明け、真昼、黄昏と |
タイトルがついている。おおらかな描写音楽。⑧⑨はスペイン色強い。 |
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(4)問題の22歳の時の作品、初録音。⑩では無国籍というより、確かにドイツ風 |
で、えらく立派。⑪のAndanteもそう。いやほとんどウィーン風じゃないのかな。ブラ |
インドで聴かせてトゥリーナという名は絶対に出てこないでしょうね。ロマン派のいっ |
たい誰の作品・・・。⑫Allegro alla danzaまで行けば確かにスペインがすこし臭い |
ます。終楽章は少々ぶっている気もするが、堂々として音楽が大きい。 |
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ちょっと残念なのは、この演奏団体の技量かなあ。もうちょっとびしっと決めてくれ |
ると、もっと聴き映えがしたかも。素人が言うことではないかもしれませんがね。 |
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このCD、中古屋に並んだのは勿論偶然だけど、実はネットは使わずにホントに探 |
していたものでね、見つけた時は「え?こんなところに?」とびっくり。ちょっとうれし |
くて、だから、期待して聴いたところがあります。 |
(2)や(3)が音楽的には練れたものであるようには感じるものの、ワタシには(1) |
がどうも一番魅力的だったみたいです。①の出だしからしばらくのところなんか、 |
ほんとに素敵。耳に残った。 |
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事前の知識もなく、むしろ数少ないオーケストラ曲を先に聴いていた。次は室内楽 |
をと思って長らく探していたら、中古屋の棚に見つけたというわけです。 |
もっとローカル色が出ているんだろうと思った(≒期待した)けれど、がっちり作って |
あって、いわば‘絶対音楽’狙いみたいな感じもあるものの、期待したものでないか |
らって失望もしませんでした。 |
室内楽らしく気軽に聴けるいいアルバム。 |
気がむいたら本領のピアノ曲へ行きましょうか。(NAXOSではもう製造中止に近い |
みたいです。) |