休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

トゥリーナ: ピアノ三重奏曲全集

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20150115(了)
トゥリーナ: ピアノ三重奏曲全集
Joaquin TURINA(1882-1949): Piano Trios(Complete)
(1)ピアノ三重奏曲 第1番 ニ長調 Op.35(1926)
   ①7:08 ②8:14 ③6:49
(2)ピアノ三重奏曲 第2番 ロ短調 Op.76(1933)
   ④6:46 ⑤2:31 ⑥5:33
(3) Op.91 ヴァイオリン、チェロとピアノのための幻想曲(1936)
   ⑦夜明け  4:22  ⑧真昼  2:24  ⑨黄昏  4:15
(4)ピアノ三重奏曲短調(1904) 初録音
   ⑩8:23 ⑪7:16 ⑫2:33 ⑬6:57
   トリオ・アルボス
   録音:2000年7月、マドリッド、聖ロサのホアキン・ロドリーゴ・オーディトリオ
   2002年/CD/クラシック/室内楽/NAXOS/輸入/中古 Tot.73:17
   <★★★☆>

(帯) 冒頭でバリバリの現代音楽か?と思われた方もいらっしゃるでしょうが、ちょ
っと聴き進めると全く違うことがすぐわかります。多数のピアノ曲を残したスペイン
のトゥリーナ、そのピアノ三重奏のための作品全てを1枚のディスクに収めるのは
当盤が初めて。同時代のアルベニスグラナドスらの音楽と比較すると、スペイ
ン的色彩は薄く、室内楽の伝統を継承する力作揃いです。特にお薦めしたいの
は、これが世界初録音となる初期のピアノ三重奏曲(収録曲中では規模が最大)。
今まで無視されていたのが信じられない佳品で、ブラームスばりの真摯さに耳を
奪われずにはいられません。
(1)フランス風味だと思う。そこへちょっとスペインの翳り加減の香り。①Prelude 
and Fugue、②Theme and Variationsはそんな感じで終楽章③は快活なSonata。
フランスの巨匠たちの匂いもするものの、スペインぽさはもう少し強く出る。なかな
かいい感じです。
(2)④しめやかに始まる感じがフランクみたい。1番より流れてもうちょっと明るくロ
マンティック。もっとも、その1番よりさらに国籍不明かも。⑤は短いものの細かい
音符やピチカートがかっこいい。合間のゆっくりしたところがスペイン。⑥翳りがある
が堂々とした終楽章。
(3)これはピアノ・トリオとは謳っていないが、ピアノ・トリオそのもの。4曲の中では
一番後で書かれたもの。幻想曲と括られ、楽章にそれぞれ夜明け、真昼、黄昏と
タイトルがついている。おおらかな描写音楽。⑧⑨はスペイン色強い。
(4)問題の22歳の時の作品、初録音。⑩では無国籍というより、確かにドイツ風
で、えらく立派。⑪のAndanteもそう。いやほとんどウィーン風じゃないのかな。ブラ
インドで聴かせてトゥリーナという名は絶対に出てこないでしょうね。ロマン派のいっ
 たい誰の作品・・・。⑫Allegro alla danzaまで行けば確かにスペインがすこし臭い
ます。終楽章は少々ぶっている気もするが、堂々として音楽が大きい。
ちょっと残念なのは、この演奏団体の技量かなあ。もうちょっとびしっと決めてくれ
ると、もっと聴き映えがしたかも。素人が言うことではないかもしれませんがね。
このCD、中古屋に並んだのは勿論偶然だけど、実はネットは使わずにホントに探
していたものでね、見つけた時は「え?こんなところに?」とびっくり。ちょっとうれし
くて、だから、期待して聴いたところがあります。
(2)や(3)が音楽的には練れたものであるようには感じるものの、ワタシには(1)
がどうも一番魅力的だったみたいです。①の出だしからしばらくのところなんか、
ほんとに素敵。耳に残った。
事前の知識もなく、むしろ数少ないオーケストラ曲を先に聴いていた。次は室内楽
をと思って長らく探していたら、中古屋の棚に見つけたというわけです。
もっとローカル色が出ているんだろうと思った(≒期待した)けれど、がっちり作って
あって、いわば‘絶対音楽’狙いみたいな感じもあるものの、期待したものでないか
らって失望もしませんでした。
室内楽らしく気軽に聴けるいいアルバム。
気がむいたら本領のピアノ曲へ行きましょうか。(NAXOSではもう製造中止に近い
みたいです。)