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(帯紹介文) シカゴ出身のヴァージル・トムソンは、フランスのサティや六人組の |
思想も吸収し、20世紀前半のアメリカ作曲界をリードした、名前だけは米音楽史 |
で必ず言及される人物です。4つの収録曲は、いずれも拍子抜けする位わかり |
やすい作品。冒頭①の思わず力が抜けるお気楽な主題は驚き、これは聴き物 |
です(全曲を通じてどこかサティ的)。「第3番」は波瀾万丈を予感させる冒頭の |
割に、以下は至極普通。楽しさでは当盤の目玉、讃美歌による交響曲は実質 |
的に「第1番」になります。(3)は映画のための音楽。アメリカ音楽の知られざる |
スペシャリストの指揮で。 |
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トムソン、名前は勿論知っていたのだけど、なんだか古くさそうでね、ちゃんと聴 |
くのは初めて。三つの交響曲など。 |
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ドイツ系の古典派、ロマン派なんぞの素朴なタイプの音楽に、アメリカ味を加えた |
とでもいうような、、、などと言葉にしてみたけれど、どうもしっくりこなくて。 |
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紹介文にサティの名があって、それとはちょっと違うよなあと思いつつ、パソコン |
で再生していて、これなら少し近いかもと考えたのが、ミヨー。って、6人組の一 |
人なんだから、紹介文通りか。 |
「サティ+ミヨー」をもう少し凡庸にして、のんびりアメリカ風味を足した感じ・・・ |
どうですかね。特に(1)・・・ |
その他の特徴としては、(3)ではさすが映画音楽、ドラマとアメリカの歴史を感じ |
させることと、「シェナンドー河」なんていう知ったメロディーも聞こえること。(4)も |
その感じがある。それから全体を通じて、3拍子ないしワルツが多く出てくること。 |
木管のアンサンブル部分が時々あって、これが実に美しい。 |
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ところが、何度か聴いているうちに、捉えどころは確かにないのだけれど、脳天 |
気な部分から、ちょっと尖がってはいるものの、尖っているとは感じさせないよう |
に上手くカムフラージュしているみたいに感じさせる部分まで、なかなかに幅が |
あり、その両端を繋ぐところにいろんな工夫が凝らされているように思えてきた |
のね。脳天気も陰影の薄さも‘確信犯’なんじゃないか。ガンガン攻めてはこな |
い。爪はあくまで隠している。 |
意外に一筋縄ではいかない作曲家・・・ |
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先日のフレイタス=ブランコ、ワイスゴールでもそうだったんで、どうも書き辛い作 |
曲家が続いてしまっている。それでいいのだろう・・・ 人一人を丸裸にする気は |
なく、冒険心も当然あんまりないにしろ、知らないものをちょっとづつ楽しむという |
のが、ある種コンセプト・・・ |