休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

三浦しをん/「神去なあなあ日常」

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20141212(了)
三浦しをん/小説「神去(かむさり)なあなあ日常」
  2012年/小説/徳間文庫/単行本2009年/中古
  <★★★☆>

 

すぐに読み終えられるだろうと、流行小説を選択。
辞書作りの話は映画で観ちゃったし・・・
一人称でかわいらしく書いてある。
林業のお話。
本当に山に入った感覚があるし、深読みも一応できるエンタテインメント。
もうちょっと行けば奈良県という三重県の中西部。町へ出ると言えば、東へ行
くようで、時々はワタシも通りぬけていた久居市(今は津市の一部)のよう。ず
っと思ってきたことやけど、三重県には確かに山深いという感じを持ち続けて
きたんよ。熊野古道のとっかかりすらも歩いたことないけどさ。
この辺は、ゴルフでは何度か来ていると思うけれど、たいていはちょっと先の
「伊勢志摩」のほうに行ってしまうことが多かった。
林業なんてものに、あっけにとられるほどあっさり(≒強引に)就かされた横
浜の若者の成長に合わせて、林業の細かい具体的な作業や環境が、ごく自
然に説明されていく。高校を卒業したばかりのこのちょっとだけ不良っぽい一
人称君が語り手。勉強こそできないが、実はひねくれてもいないひがみっぽ
くもない精神の持ち主。いたってノーマルで、そこそこ天然。
天然といえば、この神去村の連中も、相当天然という言い方もできるけどねぇ。
でもって、更に言うなら彼の成長譚でないわけがない。ストーリーなんて読む
前からわかっているようなものなんだけれど、知らない世界! 読まされちゃい
ました。
跳び抜けて現実離れしていたのが「神隠し」で、これは微妙なものだったもの
の、神聖なる世界でもある「お山」を表現するには恰好のネタだったのかな。
結局“なあなあ”で通っちゃった・・・。
主人公君の口ぶりを借りた、軽い文章が、さまざまな重くなってしまっても仕
方がないような問いかけを含んでも、さわやかに読めてしまうのがよかった。
読んでお勉強になっちゃう、林業エンタテインメント!!!
林業がこれで語りつくされているはずもないだろうけれど、この本も映画化も、
目を向ける役にはきっと立つ。(、、、と思いたい。)
 
(アップする今日あたり、‘お山’はすっかり雪に覆われているんだろうな。)