休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

内田 樹/「呪いの時代」

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20141205(了)
内田 樹/「呪いの時代」
Ⅰ 日本のことを考える
   第1章  呪いの時代
   第2章  「祝福」の言葉について
   第3章  「後手」に回る日本
   第4章  英語が要らない奇跡の国
   第5章  「婚活」と他者との共生
   第6章  「草食系男子」とは何だったのか
   第7章  『日本辺境論』を超えて
   第8章  これからを生き延びる智恵
   第9章  神の言葉に聴き従うもの
Ⅱ 未曾有の震災の後に
   第10章 荒ぶる神を鎮める
   第11章 戦争世代と科学について
  あとがき
  2011年/評論/新潮社(単行本)/初出2008・11~2011・6「新潮45」/
   ネット(中古)
  <★★★☆>
 
日本を、世相を、細かく腑分けし、交通整理的に意味の付与や解説をしてくれる。
くどいところとか、自明のことだからとすっ飛ばされるところとかはあるものの、と
てもわかりやすい。
言葉は硬めの独特のものを使うことがたびたび。案外外国語訳は難しいかも。ご
本人は翻訳のことなんか気してはいないのでしょうね。
時事評論、哲学ふうエッセイという趣。
おっしゃりたいことは、一つ一つよくわかるんだけれど、結構話が飛ぶように思う。
理屈は一貫しているようなんですが、先へ進むと、ええっと、あれ、どういうつなが
り具合の話だっけというふうに・・・ ワタシの理解不足のせいかもしれませんが。
 ・「自分らしさ」の実体
 ・アメリカの「設計図神話」
 ・植民地主義マインド
 ・リーダビリティの本質
などなど、まあこれらの項目を見るだけでは、なんのことかわからないでしょうが、
拍手したくなったことの一部。
ご存知養老孟先生との相性も、ただ対談本が出ているだけというにとどまらず、
かなり良さそうで、養老さんの論でもって確認できたことが小さくないことを、中で
何度か書いていらっしゃる。やはり肉体や自然というものと、脳化の話。
もっとも、内田先生、頭のキレ良く、なんでもストレートにカバーないし論破してし
まうようなのだが、どうも変人。というか日本人離れしている。フランス人の屁理
屈がご専門というだけのことはあるなぁ、と思った次第。
一方、原子力は20世紀に登場した『荒ぶる神』である・・・といった譬えで始まる
第二部、第10章の導入部あたりは、ちょっと無理がないだろうか。そこから日本
原子力(発電)への対応へ話が進んでいくのだけれど、始めの譬えが強引だっ
たもので、違和感を持ったまんま読み進む。読み進んでのち納得。納得はしたも
のの、始めの譬えって、どうしてもしなきゃダメ?
一つ一つが、半端でなくびしっと決まる。
ええっ、そんなことも? なにもそこまで決めることもないんじゃないですか、という
ようなことでも容赦しない。
痛快本。
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