休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

C・オコンネル/小説「クリスマスに少女は還る」

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20141101(了)
キャロル・オコンネル/小説「クリスマスに少女は還る」
  JUDAS CHILD by Carol O'Connell
  1999年/ミステリー小説/創元推理文庫東京創元社)/1998年米/中古
  <★★★☆>
 
(カバー) クリスマスも近いある日、二人の少女が失踪した。刑事ルージュの悪
夢が蘇る。 十五年前に殺された双子の妹。だが、犯人は今も刑務所の中だ。
まさか? 一方、監禁された少女たちは奇妙な地下室に潜み、脱出の時をうか
がっていた・・・。一読するや衝撃と感動が走り、再読しては巧緻なプロットに唸
る。新鋭が放つ超絶の問題作!
自分の‘読んでみたいリスト’では1999年なんで、「このミス」の年度はちょうど
2000年。
この時6位ながら話題のされ方がよかったか、人気が続いた。その後2011年度
には「愛おしい骨」だったかが1位を獲得している。
さてもずいぶん前から積ん読状態(もちろん名古屋にいた時から)だった厚めの
文庫本に挑戦。
この双子の片割れたる若きルージュ刑事の立ち位置と、彼の雰囲気や頭の良
さがとりわけ魅力的なんだけれど、実は、誘拐された少女たちのキャラクターの
みならず、出て来るキャラがみんな見事にくっきりと描かれる。ま、そこんところ
がこのお話の面白さ(≒ミソ)といってもいい。
日本では通常ありえないと思えるようなオーバーなキャラも、、、
誘拐事件の関係人の相関図をうまく書けると、謎は解けるかもしれない。でも、
それはやっぱり読んでからわかることだと書いておくしかない。
原題は「囮のこども」という意味で、勿論重要な絡みがある。
誘拐監禁されたグウェンとサディーの友達づきあい、そしてとりわけホラー・フリ
ークであるサディーという女の子が印象的でしたねえ。
最初からしばらくは主役級のデイヴィッドという喋らない少年も。
エピローグはなかなか深い衝撃と余韻を伴う。
見事なエンタテインメント、楽しみました。
舞台はワシントン D.C.に近いみたいなことだったから、メリーランド州
そうそう、本筋とはあまり関係がないような文章なんですが、、、若いくせして聡
明で少々ならず虚無的なルージュ捜査官が、「女」というものに対して抱いてい
る感覚がまことに穿って面白かったので・・・
   
    ルージュの経験によれば、横目で導火線の先端を見張っていて損をする
    ことは決してない ―― そうしていれば、男はタマを吹っ飛ばされる前に、
    爆発を避けることができるのだ。女というものはみんな、ダイナマイトを持
    っている。彼女たちは生まれたときに ―― 導火線の点火に使う何箱もの
    マッチと一緒に ―― それを支給されるのである。
作者は女性なんだけどさ、言ってくれるわ。