休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ALEX NORTH’S 2001

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20141021(了)
ALEX NORTH’S 2001
THE LEGENDARY ORIGINAL SCORE ・ World Premiere Recording
 ①MAIN TITLE            1:37
 ②THE FORAGING          3:44
 ③EAT MEAT AND THE KILL   3:27
 ④THE BLUFF            3:01
 ⑤NIGHT TERRORS         2:02
 ⑥THE DAWN OF MAN        3:14
 ⑦SPACE STATION DOCKING   2:22
 ⑧TRIP TO THE MOON       3:21
 ⑨MOON ROCKET BUS        5:01
 ⑩SPACE TALK            3:30
 ⑪INTERIOR ORION         1:26
 ⑫MAIN THEME            2:31
  ジェリー・ゴールドスミス指揮/ナショナル・フィルハーモニック管弦楽団
  録音:1993年1月、英、ロンドン、アビーロード・スタジオ
  1993年/CD/映画音楽/Varese Sarabande/輸入/ネット(中古)
  <★★★☆>

元はと言えば45-46年も前の話。
シネラマ映画「2001年;宇宙の旅」の音楽になるはずだったものが、キューブ
リック監督の心変わりで、リジェクトされてしまった。それがこのアレックス・
ノースの音楽。こんなものが聴けるというのも、ラッキーというか奇妙な世
界だというか、、、 ようやく(安く)入手。
立派な仕事を埋もれさせるなんてもったいないってんで、つながりが深かっ
たゴールドスミスが指揮して録音。このリジェクトの経緯は、よく覗かせても
らう映画音楽のサイトに詳しいが、なに、結局よくわからない。
わたしはゴールドスミスが好きですが、アレックス・ノースのファンでもある
ので、前々から、どんな音楽だったんだろうと気になってましてね、ま、ど
こか責任を果たすことができるとでもいうような、ほっとしたような具合。
この映画は、封切された学生時代から数えると回数もわからないぐらいバ
カみたいに繰り返して観てました。
本音を言えば、名作かどうかは怪しいところがあるけれど、ワタシにはや
っぱり名作。そして音楽も特にリゲティという作曲家を知るきっかけになっ
た。これも大きかった。
筒井康隆は大愚作と、星新一は退屈だと切り捨てていたようです。)
手に入れてから聴くまで、なにやらびくびくものでね、尻は青い(カワユイ)
のです、ハイ。
①~⑥が人類の夜明け、つまりお猿さんに知恵が付いちゃう部分。
ホルストの「惑星」の“水星”だったかのティンパニの連打を思い起こさせ
るところが多い。
どうもノースさん、事前にキューブリックと話し合いをしていて、だいたいこ
んなイメージの音楽を付けたいといったことは知っていたんじゃないかと思
うなあ。「美しく青きドナウ」は別として、R・シュトラウスツァラトゥストラ
こう語った」のオルガン、ハチャトゥリアンの「ガイーヌ」の“アダージョ”の
静かな弦など、なんとなくサントラに使われた既成の音楽と似通ったとこ
ろがなくもないものね。
お猿さんと書いたら、「猿の惑星」シリーズを連想しましてね、似てるよう
な・・・ どこか猿で繋がっているような気もした。これは「猿の惑星」の音
楽担当のゴールドスミスと親しかったからか。でも調べると、この2作、な
んと同年に製作上映されたものなのね、1968年。ということは、ノースさ
ん、ゴールドスミスの音楽を参考にした可能性は高くはないか。
で、⑦以降が宇宙時代にポーンと跳んで、モノリスが月で見つかり、木星
探査の宇宙船のシーンの音楽になる。(だと思う。)
⑦⑧は月でのシーンだろう、⑩⑪は宇宙船の中のシーンだろうか不明な
がら、これらはうんとオリジナリティを感じさせるとともに、きわめて繊細で
美しい。(ちょっと「クレオパトラ」の愛のテーマのサウンドに近い?) 
ところがリゲティの音楽がめちゃくちゃ活躍する部分、映画では木星に到
達してシッチャカメッチャカのサイケデリックなシーンが連続するところに当
たる音楽や、結びの奇妙な(ちょっと難解な)シーンに当てるような音楽が、
このCDにはないのね。
そして⑫はエンドタイトル用だろうか、ノースらしいオーケストレーション
かっこいいものの、これは、ウーン、ちょっと雰囲気がまるで合わない感じ。
映画後半のほうの音楽はどうやら書けていなかった。
で、過労で倒れたりなんかしていたところ、突然「ボツ」を宣告されて、ノー
スさん激怒。訴訟寸前までいったとか。
キューブリックももともとかなりの変人で、つまり無礼。大人げない。
リゲティの曲は現代音楽として出来立てのほやほやに近いものが多かっ
たんで、キューブリックさん、よくこんなの見つけてきたもんだよ。
  「アトモスフェール」(1961)、「レクイエム」(1965年)
  「ルクス・エテルナ」(1966)、「アヴァンテュール」(1962)
ちなみに、キューブリック監督、ずっと無断借用で通していたんだって。使
用料(著作料?)を払い始めたのはなんと1990年になってからだったとか。
この映画は他にも逸話がホントいろいろあります。
そんなところです。ノースの音楽、没にならず、音楽の続きも書かれて使
われていたら、映画自体の印象も、そしておそらく映画の出来不出来をも
左右したんじゃないかと思いますが、そんなこと考えるのはもういいでしょう。
それに、アーサー・C・クラークの世界は、人類にとっちゃあ、それがありう
ると仮定しても、内容的にはまーだまだ先のお話。