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カヌーエッセイスト野田さんの本はずいぶん前からぱらぱらと読んでいて、読ん |
だ後元気は出るものの、それまで読んだものとごっちゃになってしまう。 |
これは多分読んでいないだろうと取りかかった。 |
「川」編、三冊目。 |
(途中でパニック小説を読み始めて中断した。) |
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相変わらずのすっきりした文章で、読んで元気をもらえるのは確かながら、還り |
たいと思える川はどんどん減って、その惨状を憂える文章が多い。 |
読んで楽しむだけのワタシみたいな人間にとっても、結構来るなあ。 |
だから読むのが間遠になってしまったんだけれどね。 |
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野田さんは1938年生まれとあるからこの本(単行本)時点で61-2歳。今のワ |
タシより若いが、いろいろなまった、衰えたと書いている。 |
ここではまだ犬の「ガク」が、フィラリアの末期で動くのもつらそうであるものの、 |
生きている。遠出にはもう連れて行ってもらえなくなっている。 |
(カヌー犬ガクの本は特別仕様のものを以前読んでいる。) |
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日本では、ちゃんとした川がほぼ全滅状態なので、請われて人と一緒に下るこ |
とが多いのだが、本当は一人で下りたい。 |
やっと久々に単独行ができると釧路川を下り始めたはいいが、どういうものか単 |
独でなくなってしまう。そのおかしいような悲しいような話が第二章で、この時点 |
の野田氏のジレンマが面白い。 |
面白がってちゃいけないのかもしれないし、問題も提示されてそれぞれは分か |
るけれど、楽しく読めてしまうんだから、赦してツカーサイ・・・ |
やはりこの時点でのことだけれど、四万十川の上の方は、いったん汚れてしまっ |
たのが、復活しているようだと書かれていて、ちょっとうしれくなった。ただし、下 |
の方はどんどん大きなドブ川(そんな表現はされてません)に成り下がってしま |
っているよう。 |
ごく短いエピソードに楽しいのが多い。 |
たとえば、犬ガクの子のテツのこと、親のガクと違ってクールだということ。とか、 |
嫌がるチベット人をひんむいてウェットスーツを着せて海に放り込む話とか。 |
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例によって、どこか引用してやろうと思うのは悪い癖。で、ページの角を折って |
いたら、たくさんになりすぎて、、、 短く一カ所。(解説者も引用している) |
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・・・新入生の一人は少年の頃釧路川のことを知り、この川をカヌーで下る |
のが永年の夢でした、と真剣な顔つきでいった。ぼくは自分が初心者だっ |
た頃を想い出した。彼にとって目に入る風景はすべて初めてのものである。 |
眼前に現れるあらゆるカーブと瀬と渕は未知の不安と危険に充ちている。 |
そして、そこを漕ぎ抜けていくときのスリルと喜び。ぼくはこの若い冒険者 |
たちの興奮や感動を理解した。いろいろ話しているうちに、この青年たちに |
情が移ってしまった。・・・ |
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この青年たちも野田氏の文章から影響を受けていないはずはないんだろうな。 |
ま、原文を紹介したいとつい思うのは、自分の表現力がないせいなんだけれ |
れどね。 |
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最後はユーコン行きとフィンランド行で締めている。 |
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