「河」もしくは「川」を三冊続けてみることにします・・・ |
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始めはアマゾン河。 |
高野氏の本、「ソマリア」のことを書いたらしい刊はまたいつか。旧作を読む。 |
もとは1991年だからね、ずいぶん前。アマゾンだってブラジルだって、だいぶん |
変わってしまっているだろうけど、だから写真に写して定着させてしまったみたい |
なもんで、情報としてはもう死んだようなものなのかもしれないけれど、写真だけ |
だと想像するのがむずかしい猥雑な雰囲気や著者の若々しい感性が息づいてい |
て、とにかく今だってやたらめったら想像力が広がる! |
一緒に旅行しているみたいに楽しい。 |
章ごとの写真は、この場合それを補って強力。写真足らんよ! |
アマゾンには行けたら行ってみたいと思ってますがね、叶わないことはまずわか |
っているわけでして、でも、こんなふうに読ませてもらえば、満足満足。 |
(まあ、需要としても、そういうことなんでしょ?) |
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サンパウロを出、リオデジャネイロ、サルバドールを経て、ベレンに着くのがいった |
い何日後なんだ。11日。これ、バスを使う距離かよ?! |
まー、懐具合もあるんだろうが、元気やなー。 |
てな具合で、大バス旅行も高野氏の記述はいきなりオモロイ。 |
たとえばバス旅行中(サルバドール→ベレン)のエピソード・・・ |
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・・・バスが小さい町のはずれに止まった。全員降ろされる。何かと思ったら、黄 |
熱病予防接種場である。ここから先は黄熱病感染ゾーンになるということで、 |
白衣の医師が自転車の空気入れのようなペダルつきの注射マシーンで、きゃ |
あきゃあ騒ぐ乗客にどんどん注射していく。犬の狂犬病予防接種会場のよう |
だ。客がぐずぐずしていると、医者はいらいらとペダルを踏んでプシュープシュ |
ーと黄熱ワクチンをまき散らして、威嚇する。・・・ |
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と、もうこれだけで、こっちはニターッと涎をこぼしそうになりますな。 |
一言付け加えておきたいのは、高野氏の文章。 |
中身でもわかるところがあるが、旅行中の著者は早稲田の6年生でまだ24歳! |
面白おかしくページターナーであるこの本は、いかにも書き馴れてバランスのい |
い、もしくは非常にノーマルな文章に支えられていること。 |
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アマゾンというと、開高健「オーパ!」のシリーズ(豪華な写真と紀行文―― とい |
っても中身は釣行がメインだけどね― の大きな本)が強烈な印象。これらを読ん |
だのはもうえらい前。筆者の疲労感や脂汗のようなものを感じさせる文章で、読 |
むワタシも、インタレストだけでなく、同じように‘疲れた’というような感覚を持っ |
たように記憶しているけれど、ここにはそんなものはほとんどない。やっぱり若さ |
なんやろね。(そうそう、「オーパ!」の本ことも出て来た。) |
旅行のスタンスが、まあ、全く違うわけで、比べるのは大して意味ありませんけど |
ね・・・。 |
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解説者によれば、落語的語り口。面白くていろんな人にあげまくったが、絶版に |
なってしまった。 |
さんざん探すという苦労もしたらしい。10年以上たって改題の上ひょっこり復刊。 |
経緯なんぞどうでもいいようなものながら、いやもう、よかったと言うしかない。 |
(集英社さん、さすが!) |
もっとも、旅行ガイドにはならん。こんな危なっかしいこと誰がしますか? |
少なくとも今のワタシにゃあくまで読み物だよ。 |
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傑作。 |
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文庫のカバーにあるこの著者の本の一覧では、最初に載っているのが、いかに |
もいかがわしいといったタイトルの『幻獣ムベンベを追え』。なんと解説者は宮部 |
みゆき! 曰く、 |
「買ってね、読んでね。・・・ ・・・今の世の中には、絶対にこういう本が必要な |
んです。」(解説) 子供の心を忘れないあなたに贈る、痛快ノンフィクション。 |
だって。読みたくなる。 |