休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

岩城宏之/「音の影」

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20140526(月)
岩城宏之/「音の影」
A アルベニス  1秒間のキス
B バッハ  武満徹さんが最後に聞いた曲
B ボッケリーニ  地下鉄サリン事件と「悪魔の家」
B ベルリオーズ  五人の好きな指揮者
B ベートーヴェン  ①ぼくが苦手なベートーヴェン 
B ベートーヴェン  ②絶対音感
B ベートーヴェン  ③指揮者の鞄持ち
B ベートーヴェン  ④九つの交響曲 
B ブルックナー  巨匠になる条件
B ブラームス  ①初めて指揮した曲は?
B ブラームス  ②皇紀2600年記念式典
B ブラームス  ③ジプシーの音楽
C ショパン  ①指揮者を困らせるピアノ協奏曲
C ショパン  ②故・飛鳥田社会党委員長とショパンの関係
D ドヴォルザーク  ベストセラーとはこんなもの!?
E エルガー  武士道とジェントルマンシップ
F フォーレ  「汝の名前の意味は?」「スープです」
G ガーシュイン  夏の似合う作曲家
G グリ-グ  音楽と条件反射的アレルギー
G グリーグ  ナチス党大会で流れた曲
H ハイドン  モーツァルトベートーヴェンの“師匠”
I イヴァノヴィチ  ドナウ川のさざ波
K コダーイ  地道に調べ上げた田舎の民謡
M メンデルスゾーン 生まれてから死ぬまで裕福だった
M メシアン  ①私のベスト3
M メシアン  ②晩年の音楽家のたどる道
N ???  Nの雑学
P プロコフィエフ  水と思ったらウォッカだったこと
Q 邱捷春(Qiu Jie-chun)  「イワキ、ケシテヤル」
R ロッシーニ  フランス料理のレシピに残る名前
S シューベルト  「31年の生涯」に「882の楽曲」
T チャイコフスキー  バレた同性愛
U ウルソー  指揮の先生として有名人
V ヴェルディ  音楽史上最大のオペラ作曲家 
W ワーグナー  戦争犯罪音楽だった一曲
XYZ ヤング  作曲家トリビアの泉  対談 和田 誠
  解説  佐渡
 2007年/エッセイ/文春文庫/中古
 <★★★★>

アルファベット順にネタがすっと出て来る作曲家を選んで、書いてい
る。特にご自分の指揮者生活になじみ深い内容が中心。
あまり好きではない、得てではない作曲家はちゃんとバラして、極力
項目には入れていない。
指揮者ならではの好みやトリビアが多く、ヘーと思っているうちに読
了。それと、個人的なこと、子供の頃のことや学生時代のことに触れ
ることたびたびであったり、脱線がやたら多い。
ひどいものになると、対象の作曲家のことはほとんどそっちのけで、
大半脱線状態のまんまというのもある。
それからね、こんな感じでしたっけ、以前2冊ほど読んだときもこんな
んだったのだろうか、歯に衣を着せない直截的表現がそこかしこにあ
って、気が短い感じというか、もう我慢するのが嫌だというような感じ
が、強く漂っている。
体の変調なんかもあったのだろうかとも思うのですが・・・
いや多分、状況に負けるのだけは嫌だという地が出ているだけだな。
この本は結果的には最晩年のものということになるんでしょう。
(1932~2006)という括られた表示、こうやって長々とほったらかして
いた中古本を読んで書くのもナンですが、なんかねえ、わりきれんも
んですねぇ。
  初出; 『週刊金曜日』 2001年5月18日号~2004年4月9日号
      単行本2004年8月 文藝春秋
テレビ・ラジオ・生など、ホントにたくさん聴かせてもらった。
もう亡くなって8年ですか。早いもんだ。
ロシア系の話2つ・・・
◇Tの項のチャイコフスキーだけど、同性愛者だったらしいことは知
っていたが、死の原因が「悲愴」交響曲の初演後10日ほどして、飲
んだ生水がもとでコレラになって云々というのが違うんだって。時の
皇帝から死を賜った、つまり届けられた毒杯をあおって死んじゃった
というのが真相なんだって? ホンマかいな。それって、自殺?
◇岩城さん、まだ若いころモスクワ放送交響楽団を指揮しに行った
とき、そこの常任であったゲンナジ・ロジェストヴェンスキーにひどい
からかわれ方をした経験をおかしく書いている。その後の付き合い
で分かってみれば、ロジェストヴェンスキーさん、なんと、日露戦争
当時、日本海海戦東郷平八郎司令長官率いる日本連合艦隊に完
敗したロシア・バルチック艦隊司令長官ロジェストヴェンスキーの曾
孫なんだって。
ま、こんな風に面白いことがしこたま詰まってます。楽しかった。
(追)
◇表紙や挿絵だけじゃなく、最後の章では著者と対談までしている
和田誠さんは1936年生まれ。年は近いんだ。
ここで選んでいるヤングとは、ビクター・ヤングのこと。映画音楽の
ね。映画に詳しい和田氏を引っ張り出した企画が、シリーズの締め
としてグッドアイデア。武満の映画音楽の指揮をいくつか担当してい
る岩城さんもしっかりついていく。軽い読み物で、締まらない印象を
持つ人もいるかもしれないけれど、ワタシはこちら方面も大好き。
後味よく読了。
◇なんとタイムりーなことに、今日の新聞(朝日)の中の文化欄に、
この岩城より4年前に亡くなってしまった岩城の親友山本直純さん
のことが(再評価されつつあるんだよ、と)特集されていて、山本に
関係が深かった岩城や小澤らとの関係などについてもいろいろ書
かれている。
新聞、切り抜いておき、読んだ後はこの文庫本に挟んでおいく。
  どうでもいいことですが、この切抜きの裏面が「科学の扉」とい
  う紙面で、“魚たち、性の不思議” ‘オス・メス5種類 共存、繁
  殖’という、こは最新研究成果が発表されている。フナ、アイナ
  メ、ベラなどの驚愕の繁殖方法、遺伝子伝達上の方法が載っ
  てました。この紙面もついでに挟まれて何年か残りますナ。

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