アルファベット順にネタがすっと出て来る作曲家を選んで、書いてい |
る。特にご自分の指揮者生活になじみ深い内容が中心。 |
あまり好きではない、得てではない作曲家はちゃんとバラして、極力 |
項目には入れていない。 |
指揮者ならではの好みやトリビアが多く、ヘーと思っているうちに読 |
了。それと、個人的なこと、子供の頃のことや学生時代のことに触れ |
ることたびたびであったり、脱線がやたら多い。 |
ひどいものになると、対象の作曲家のことはほとんどそっちのけで、 |
大半脱線状態のまんまというのもある。 |
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それからね、こんな感じでしたっけ、以前2冊ほど読んだときもこんな |
んだったのだろうか、歯に衣を着せない直截的表現がそこかしこにあ |
って、気が短い感じというか、もう我慢するのが嫌だというような感じ |
が、強く漂っている。 |
体の変調なんかもあったのだろうかとも思うのですが・・・ |
いや多分、状況に負けるのだけは嫌だという地が出ているだけだな。 |
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この本は結果的には最晩年のものということになるんでしょう。 |
(1932~2006)という括られた表示、こうやって長々とほったらかして |
いた中古本を読んで書くのもナンですが、なんかねえ、わりきれんも |
んですねぇ。 |
初出; 『週刊金曜日』 2001年5月18日号~2004年4月9日号 |
単行本2004年8月 文藝春秋刊 |
テレビ・ラジオ・生など、ホントにたくさん聴かせてもらった。 |
もう亡くなって8年ですか。早いもんだ。 |
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ロシア系の話2つ・・・ |
◇Tの項のチャイコフスキーだけど、同性愛者だったらしいことは知 |
っていたが、死の原因が「悲愴」交響曲の初演後10日ほどして、飲 |
んだ生水がもとでコレラになって云々というのが違うんだって。時の |
皇帝から死を賜った、つまり届けられた毒杯をあおって死んじゃった |
というのが真相なんだって? ホンマかいな。それって、自殺? |
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◇岩城さん、まだ若いころモスクワ放送交響楽団を指揮しに行った |
とき、そこの常任であったゲンナジ・ロジェストヴェンスキーにひどい |
からかわれ方をした経験をおかしく書いている。その後の付き合い |
で分かってみれば、ロジェストヴェンスキーさん、なんと、日露戦争 |
当時、日本海海戦で東郷平八郎司令長官率いる日本連合艦隊に完 |
敗したロシア・バルチック艦隊司令長官ロジェストヴェンスキーの曾 |
孫なんだって。 |
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ま、こんな風に面白いことがしこたま詰まってます。楽しかった。 |
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(追) |
◇表紙や挿絵だけじゃなく、最後の章では著者と対談までしている |
和田誠さんは1936年生まれ。年は近いんだ。 |
ここで選んでいるヤングとは、ビクター・ヤングのこと。映画音楽の |
ね。映画に詳しい和田氏を引っ張り出した企画が、シリーズの締め |
としてグッドアイデア。武満の映画音楽の指揮をいくつか担当してい |
る岩城さんもしっかりついていく。軽い読み物で、締まらない印象を |
持つ人もいるかもしれないけれど、ワタシはこちら方面も大好き。 |
後味よく読了。 |
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◇なんとタイムりーなことに、今日の新聞(朝日)の中の文化欄に、 |
この岩城より4年前に亡くなってしまった岩城の親友山本直純さん |
のことが(再評価されつつあるんだよ、と)特集されていて、山本に |
関係が深かった岩城や小澤らとの関係などについてもいろいろ書 |
かれている。 |
新聞、切り抜いておき、読んだ後はこの文庫本に挟んでおいく。 |
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どうでもいいことですが、この切抜きの裏面が「科学の扉」とい |
う紙面で、“魚たち、性の不思議” ‘オス・メス5種類 共存、繁 |
殖’という、こは最新研究成果が発表されている。フナ、アイナ |
メ、ベラなどの驚愕の繁殖方法、遺伝子伝達上の方法が載っ |
てました。この紙面もついでに挟まれて何年か残りますナ。 |