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この著者の「脳を知りたい!」という本を読んだことがありまして、著者で選びま |
した。「脳-」は難しい言葉を用いないで書かれていましてね、たくさん線を引いち |
ゃいましたっけ。 |
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〈紹介文〉日本の劇団で活躍する俳優、大学教授、中国人芥川賞作家のほか、 |
留学生、日本に嫁いだ妻たち、池袋のチャイナタウンを取材し、「反中」「嫌中」が |
蔓延する日本に生きる在日チャイニーズたちのひたむきな人生模様を描く。 |
〈野村進〉1956年東京都生まれ。ノンフィクションライター。拓殖大学国際学部 |
教授。「コリアン世界の旅」で講談社ノンフィクション賞・大宅壮一ノンフィクション |
賞をダブル受賞。(1997年) |
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いきなり‘あとがき’の結論めいた部分を引用します。 |
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あえて乱暴な言い方をするが、日本人は中国人を恐れ、中国人は日本人を |
恐れているのである |
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「無知にもとづく恐怖」には、「事実にもとづく知」で対抗するしかない |
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そういうことなんでしょうね。 |
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訳の分からん多民族国家なんで、どうしても捉えきれないけれど、わけあって |
日本へきてしまったという人々に丁寧に取材して回って、国家じゃなく人を知れ |
ば、なんか見えて来るんじゃないか、というわけです。 |
日本へきて、ひどい扱いを受け、尋常じゃない苦労を強いられた人が多い、(ま |
あそればかりではないが)という内容ですが、概してこれらの人たちは、日本や |
日本人に悪感情は持っていない。ただこのひどい扱いを続けてしまったり、反 |
中・嫌中をぶつけ続けてしまったのでは、中国へ帰った方が日本のことを悪しざ |
まに伝えないとも限らない。それはまずいよね、という理屈は大切なよう。 |
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国を憎むのはある程度しょうがないかもしれないけれど、国民を憎んでしまっ |
ちゃいけないよ! ・・・うーん・・・ |
でも、この取材における中国人のひたむきさには、頭が下がります。 |
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ちょっと前に読んだ韓国本では、腹立ちは一向に収まらなかったけれど、この |
作家野村進さん(今では先生)の本を読み終えたのちも‘ムカツク’ことは多々 |
あるだろうが、それじゃイカンなと冷静になるための拠り所的材料をもらえた感 |
じ。 |
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中でも第5章にはつらいものがぎっしり。 |
山形など東北への中国人妻がいかに多いか、などぜんぜん知らなかった。 |
日本の事情も中国の事情もひどく、中間業者や通訳もひどく、ああ、なんてこと |
と思うことばかり。こんなむごい思惑のズレの重なり合い方!!! |
これが数年前の取材に基づいているのかいな。全くもう、、、暗澹。 |
疲れた、この章。(状況が全く異なるはずの、日本人同士ですらこのざまなのに |
・・・) |
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最終章を読みながら強く思ったのは、どうすべき・こうすべき、ということじゃない |
んだけれど・・・朝鮮半島からやってきた人々と中国からやってきた人たちの、立 |
ち方というか・・・構え方というか・・・、つまり対日本ということについて、ものすご |
く違っているということ。 |
そりゃ、どちらにもお互い問題はいっぱいで、一口にも言えないが、韓国は群れ |
てひたすら反日・嫌日を声高に叫び、「ほぼ感情的に」行動も起こすのに対し、 |
チャイニーズのほうは、さまざま意図はあっても日本に溶け込んで中で何とか |
していこうという「ほぼ理性的な」傾向、とでもいうんでしょうか。大づかみで表面 |
的な表れかただけのことだけど。 |
それと始めにも書いたことだけど、チャーニーズが多民族であることが、結果的 |
にそうした立ち方の傾向を産む一因であることも結構わかった気がした。まあ、 |
単一民族といっていい朝鮮半島と違って、良くも悪くもウンと奥深い国なんだワ。 |
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中国人との会話をこんな風にまとめてもらったことで分かったことは多いなあ。 |
なにしろ中国人との接点なんて、中学校以来ゼロだからね。(転校生がいたの |
です。) |
重複するがワタシの気持ちの鎮静化にはたいそう役立ったようです。中国人と |
今接点を持つことになったら、きっと恐怖感と無縁ではおれないだろうとは思い |
ますがね。 |
ともあれ、日本に住み着いた朝鮮半島の人も中国人も、おおむね日本について |
学習して、考え方が変わっていく人が多いが、それぞれの本国の人にはそれは |
あまり伝わらないようであることがあるのね。お互い様だけどさ。そっちが問題、 |
みたいだったな。ハハハ、これじゃダメか。 |
著者の‘あとがき’に、在日チャイニーズと在米ジャパニーズのこうむった手ひ |
どい苦労に共通するものとして、「無知にもとづく恐怖」をあげている。ぼちぼち |
ジョン・ダワーの本の読みごろかもしれないなどとふっと思いました。 |
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メモそのまんま。なんか、バカな読書感想文です。 |
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