休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

佐藤雅美/ 物書同心居眠り紋蔵「一心斎不覚の筆禍」

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20140331(了)
 
佐藤雅美
  物書同心居眠り紋蔵 「一心斎不覚の筆禍」
 ①女心と妙の決心
 ②江戸相撲八百長崩れ殺し一件
 ③御奉行御手柄の鼻息
 ④文吉の初恋
 ⑤天網恢々疎にして漏らさず
 ⑥一心斎不覚の筆禍
 ⑦糞尿ばらまき一件始末
 ⑧十四の娘を救ったお化け
 2011年8月/(時代)小説/講談社文庫/(単行本2008年)/中古
 <★★★☆>
紋蔵さん、ただ一人残った形の末娘妙が、婿をもらうとして、相手がぶ男で、家を
出るなんてことをしでかしたらどうしようか、などと考え込んでいる(妄想している)。
そういう例が近くにあるもんだから。
庶民の生活や現実など、時代考証がなされているようで、ワタシにしてはめずらし
く勉強になっている感じもする。
‘そうした例’に何故かかかわることになるのが①。紋蔵一家また激変。
④はやくざとかかわりを持ってしまった文吉が戻って大苦労するとともに、初恋
のようなものも経験する。法は厳しく、別れが待っているが、幕切れの雰囲気は
いいですねえ。
⑥は、江戸時代になってから100年ぐらいは経っている頃の設定なんだけれど、
ある種の出版事情がわかって、へー、ですね。「正式」な認可を受けた本は、そ
の内容について問題があったら‘吟味’の対象になるんだが、写本みたいな裏も
のだと、元の本を改竄したような内容になって問題になっても、吟味やお咎め
対象にはならないってんで、大問題になる。それによって歴史的な事柄が捻じ曲
げられるか正されることになるかは何とも言えないところで、全く別の犯罪も絡ん
で面白い話になっている。
最後の⑧は紋蔵の知恵をもってしても解決しそうもなかったが、あたかも紋蔵の
仁徳のようにバタバタっと解決してしまうお話で、ならば余韻もあらばこその最後
かと言えばそんなことはなくて、袖の下で大口の受注をもらうことばかりしかしな
かった馬鹿な男とその娘が、最後の最後に僥倖でもって人生を取り戻すお話で、
やれよかったと胸をなでおろす。
今回はわりと地味なお話が多かったけれど、こちら、話の進み具合に何やら馴
染んでしまっていて、読んでいると幸せ!みたいな気がするから不思議。どちら
かというと不幸な話が多いのになあ。
これまでの解説者はことごとく歴史考証のすごさを書いているが、読むワタシの
ほうは、まあ勉強にはなるわけで、ヘーと思うことたびたびだけれど、読後はそ
れよりはたいてい話の進み具合のほうへ行っちゃってますねえ。