| 20260104(了) |
| 1984年11月 第1刷、2003年7月 第13刷/講談社文庫/中古 |
| <★★★★☆> |

| * |
| (ネット惹句) |
| 親しまれ続けた落語の主人公ゆかりの場所100箇所あまりを、上方諸地に訪 |
| ね、その数々を名文で語った、笑いの巡礼記ーー。古典落語の世界は、庶民 |
| がその人生の哀歓を生きた社会である。横町のきいやんや大家の娘(とう) |
| さんの姿を、「三十石船」のくだった淀川、「野崎参り」の道筋からすくい出 |
| し、彼らの息吹きをよみがえらせる。軽妙な語り口で紡がれ、かえらぬ上方 |
| のいにしえが見事に活写される、「もうひとつの落語」がここにある。稀代 |
| の名人・桂米朝の昔語りがたっぷり。落語が好きでたまらない人にも、探訪 |
| 記やエッセイを愛する人にも、かけがえのない一冊! |
| 長ーく毎日新聞に連載したものをまとめたもので、関西の場所などにかかわ |
| りのある落語のネタのことを自由に喋ったものを形にしたから、まとめるほ |
| うが大変だったろうと、米朝さんが巻頭で新聞社や記者を労っている。おし |
| まいは、司馬遼太郎さんが、非常に貴重なものになったと締めている。 |
| 上方という言い方は古くて、京都が都であったころに、「負けへんで―」と大 |
| 阪が言い出したものらしい。本来なら今は東京が上方のはずながら、それが |
| がいまだに残って、近畿一円をそう呼んで、いろんなものの名の前に上方と |
| つける。特に芸界。 |




| で、上方落語。ネタは大阪が中心。ついで京都が多いが、滋賀、兵庫、奈良 |
| 良もいくつか収められた(実に102か所!)。ただ三重は一か所のみ。と |
| ころが実は和歌山はネタ自体が少ないんだそうで、ここには一つも入れられ |
| なかったもんだから、ごめんなさいね、とばかりに始めに小話を一つ紹介し |
| ている。ごくごく短く。その部分が以下・・・ |

| ネタにまつわるものも、まつわらないものもあるが、とにかく土地や地名の |
| 紹介に始まって、関係した落語を簡単に紹介してくれる。最後に土地の補足 |
| 的説明など(を「メモ」としている)で締めて一篇。それが102篇。毎日 |
| は読めず、読むときは2‐3篇だけというような読み方だったものだから、延 |
| 延かかってしまいました。 |
| 実は大阪が終わって、滋賀からは「メモ」はしばしば飛ばして読みました。 |
| この部分だけ文字が一回り小さくて、虫メガネを使っていたのですが、これ |
| ばっかしは面倒くさぁなってしもた。(こう書くと大阪弁ぽいね) |
| 古いものでは現代では意味が通じない言葉やサゲが多く、その通じなさに重 |
| きを置いて解説してしまわざるを得ないものも結構ありましたね。 |
| 多くの落語家の名が出てきて、ダレソレしか演らなかったとか、もう今はだ |
| れも演らないとか、ダレソレが現代に合うようにアレンジして演っていると |
| か。それがまた面白いわけですが、その前には、米朝さんの、猛烈な数の噺 |
| の発掘や研究(落語にとどまらない、能、謡曲、講談等々)があったわけで、 |
| 司馬遼太郎さんの口を極めた激賞、感服、感謝も納得。 |
| どうせ読まれないでしょうから、長くなりついでに、一か所、抜き出してみま |
| すか。と「飛田」を選んではみたのですが、さすがに長くなり過ぎで、やんぺ。 |
地図だけは載せておきましょう、こんな感じです。昔のことですが、ワタシは、
飛田はヤバイところというイメージは持っていたものの、チャンスもなく、行
ったことがありません。釜ヶ崎なんていうところは、覗きましたけどね。

| カバーの惹句には「軽妙な語り口」云々、ネットの惹句には「名文」とある |
| けれど、関西弁や言いまわしなどは、記者や編集者も絡んだようなので、た |
| いそう苦労したんでしょうが完全なオリジナルではない部分もあるってこと |
| なんでしょうね。ああ、編集者のあとがきによれば、本にするにあたっては、 |
| 米朝さんが細かく補筆されたそうな。 |
| 読み終わるのにえらく日にちがかかってしまいました。 |
| 一篇一篇がごく短かく、何日かおきに二篇づつぐらい読んだら寝る、なんて |
| 調子。(ああもう書きましたね) 先に読んだもんなんて、どんどん忘れてし |
|
まうんやけど、小説なんかじゃないから気にせんで済むのも助かった。この 読み方でよかったのかも。 |
| お薦め。 |