休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

吉野直子 ハープ・リサイタル

20250829(了)

月の光、シシリエンヌ・バリエ

  ~ハープ・リサイタル/吉野直子

シュポーア(1784-1859);ハープのための幻想曲 ハ短調 作品35 8:34
ロゼッティ(1750-92);ソナタ 変ホ長調
 ②5:10 ③2:21 ④2:03
ドビュッシー;月の光~「ベルガマスク組曲」より 5:49
プロコフィエフ(1891-1953);前奏曲 ハ長調 作品12の7 2:33
カゼッラ(1883-1947);ハープのためのソナタ 作品68 
 ⑦6:48 ⑧6:57 ⑨3:52
ダマーズ(1928-2013);シシリエンヌ・バリエ 7:17
ルニエ(1875-1956);黙想 4:29
トゥルニエ(1879-1951);ハープのためのジャズ・バンド 作品33 4:06
フォーレ;ハープのための即興曲 作品86 8:03
 
 吉野直子(ハープ)
 録音;1994年4月、スイス、ラ・ショードフォン Tot.69:20
 CD/1995年/フィリップス/マーキュリー・ミュージック/邦盤/中古
 <★★★☆>

せんだっての鈴木大介さんのギターのアルバム同様、さほど切に聴きたい
タイプの器楽曲じゃありません。ギターよりもっと聴かないのがハープで
すね。ひょっとするとハープ1台だけのアルバムは、LP時代も通じて初め
てかもしれない。ま、気まぐれです。
あまり聴くことのない作曲家の名がぽろぽろ入っているんで、その辺に惹
かれたんでしたか・・・ 当然タダ同然だったので。
 
30年前のレコード。吉野直子さんの写真、若!  お名前はずいぶん昔から
知っているはずですが、この録音は、新人時代に近かったかもしれない。
20歳台だったようです。 もっとも日本人ハーピストといったら、興味が
なかったせいか、長い間この方の名しか知らなかった。
 
シュポーア:①
 単調で少し物憂いものの、すっきりと美しい。ずばりロマン派という感
 じ。スタートで、わぁー素敵!なーんてね、入りやすそう。
ロゼッティ:②-④
 多分聴いたことのない作曲家。シュポーアより2世代ぐらい古く、古典
 的だけれど、選ばれているだけのことはあって、まるで若きモーツァル
 ト。(1756-91年の生年/没年も近い!) 指示があるのか自らなのか、吉
 野さん、いろいろ「表現」されている。意外なことに気に入りました。
ドビュッシー:⑤

 楚々とした演奏。(こんなんも入れとかんと・・・という)人気取り曲

 やね。

プロコフィエフ:⑥
 「10のピアノの小品」の第7曲。ちゃんとロシアっぽさが匂う速くてデリ
 ケートな曲。
カゼッラ:⑦-⑨
 ライナーでは、献呈された方(ハーピスト)の話の関連しか書かれていない。
 しかし、ここまでのものより、ぐっと感覚が新しく、間違いなくここま
 でで一番良かった。なにか管弦楽(確か交響曲)のアルバムを聴いたは
 ずですが、覚えてません。(どんなんやったかなぁ、気になる)
ダマーズ:⑩
 このごろ何か聴いてみたいと思っている作曲家。目標はピアノ曲なんだ
 が、いろいろなジャンルを書いていて、ハープ用も多いらしい。転調の
 多い、でも実に堂々としたたたずまいの、これはなかなかの曲。そして
 フランス! ピアノ以外も聴きたいが、手に入れにくそう・・・
ルニエ:⑪
 女性ハーピストの草分け的な方だそうな。知りませんでした。曲名から
 して静謐さのある曲。これだけでは作曲者のことはわからない。
トゥルニエ:⑫
 ハープ界の大立者だそうな。曲名の「・・・ジャズ・バンド」というの
 がふるっているが、ジャズと言っても古いジャズの感じやね。遊び回る
 ようなトリッキーな楽想がなかなか面白いけれど、ハープ含みの室内楽

 があって楽しそう。 (フルート五重奏曲を聴いたことはありますが、思

 い出せん・・・アルバムジャケットを思い出した)

フォーレ:⑬
 聴いたことはあるから、最後は有名曲で締めたのですな。難しそうだけ
 れど、大御所っぽい堂々たる曲。
 
オムニバス的小品集は、「今度はあの作曲家のああいうのを聴きたい」な
どと関心が広がるのがいい。
今回そうした候補になったのは、カゼッラ、ダマーズ、トゥルニエあたり
ですかね。
そうしたものに入らなかったけれど、モーツァルトっぽいロゼッティも素
敵でした。

 

 

まあそうは言っても、正直ハープの演奏で、「イイネ」はあっても「スゲエ
!」という感じの反応は、ワタシについてはまず起きないと思います。音
色にヴァラエティやインパクトが乏しい、なんてあたりが、ハープの独奏
のアルバムを聴くのが、この歳になって初めてだという理由の最たるもの
だと思う。「君はハープ演奏で感動できるか」(言い過ぎだね)
 
ところで、ハーピストは日本じゃ女性が断然多いが、確か西欧じゃ決して
そんなことはないはずで、ワタシだって、やわな楽器だと考えたことはあ
りませんよ。むしろハープ演奏に対する感想としては、「なよっとした」な
んて表現は言語矛盾と言ってもいいのではないか。つまり、ハープ演奏に
は生半可でないパワーが要る。
穏やかに聞こえても、音楽に芯が通った演奏でした(月並みですが)し、
吉野さん自身、実際のところ、きっとやわな方ではない。(スンマセン、し
ょうむない締めになっちゃった)