休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

藤倉 大 「ミラーズ ― 作曲家の個展」

20250602(了)
DAI FUJIKURA 

/MIRRORS

――A PROFILE OF A COMPOSER

     藤倉大 1977-
(1)「トカール・イ・ルチャール」 オーケストラのための(2010) 13:14
(2)バスーン協奏曲(2012) 24:54
(3)ミラーズ ― 12人のチェロ奏者版(2009/2012) 13:57
(4)「アトム」 オーケストラのための(2009) 14:27
 
  下野竜也(指揮)、東京都交響楽団
  パスカル・ガロワ(バスーン)
  録音;2012年10月、サントリーホール〈ライヴ〉
  CD/2013年/現代音楽(管弦楽)/COMMONS//AVEX/邦盤/中古
  <★★★☆△>

  (このCD、AVEXが出してるのを見てびっくり。ふた昔前なら考えられ

   なかったこと。浜崎あゆみなんかが中心でしたもの。そりゃあジジイ

   になるわけだ)

 

今を時めく作曲家のアルバム1枚を選ぼうとは考えたけれど、現代音楽の知識が
あまりに乏しいので、通販で評価が高く、評価者がそこそこ多く、そして価格
が安いもの・・・そんな判断基準で手に入れてみたものです。
なんたって、年2回聴きに行っているいずみシンフォニエッタ大阪の音楽監督
就任されたのでね、2回ほど前のコンサートで聴いた「三味線協奏曲」が面白く
なかったと落胆していられない・・・ハハハ。
 
次のコンサートは、今度の7月で、亡くなった音楽監督西村朗さんの追悼演奏
会です。藤倉さんが顔をお見せになるかどうかは知りません。
 
ライナーにご本人や評論家らしき方の解説や作曲経緯などが載っていて、読ん
でしまいましたからね、よくわからない、ないしはチンプンカンプンですから、
覚えた言い回しなどを使ってしまいそうになる。そらぁアカンやろなと思った
んで、素人らしく大雑把な印象や妄想を書いてみることにします。
 
この4曲とも、10年ちょい前、ほぼ同時期の作曲といってもいいせいか、なんだ
か共通するものがあるように聞こえるサウンドが多かった。
それは(3)のチェロだけのものも含めて。調性などないであろう低弦中心の分
厚い弦楽がとにかく力いっぱいうねり暴れまくる感じ。ライヴだから緊張感も
あいまってのことなんだろう。その弦があまりに猛烈で、管がある曲でも管は
むしろ脇役的。音の録り方もあるかも。勿論バスーン協奏曲は事情が違うけど。
 
そこで、(2)バスーン協奏曲。
このオケのほう。映画『2001年;宇宙の旅』のおしまいのほうで、ポッドが木
星圏に到達する時、「万華鏡」のような光の中を突き進んだり、暗くて奇妙な
色彩に見える岩ごろの地形を進んでゆく時に、鳴っている音楽に結構似ている。
曲調は楽章に分かれてはいないようだけれど変わってゆく。それでも似ている。
『2001年』がワタシにいかに印象が強かったかということしか表していないの
かもしれませんし、経験不足ってことなのかもしれませんが。
この音楽と協奏しているのがバスーンで、これが様々な奏法でヘンテコリンな
音(ばかり)を出す。ちょっぴり、モンゴルの「ホーミー」を連想。
所々では『エイリアン2』などで聞こえた化け物の息のような「ハ----」という
ような「音」もあったなぁ。(これは(1)にもありました)  いやいや音楽の
サウンド的にも似たとこがいくつかありましたのでね、ひょっとして藤倉さん、
これら2作の映画観て影響受けたたんじゃない?なんてね。少なくともリゲティ
には影響を受けてたりして・・・。
ハイ、勿論みんな妄想です。
 
(1)「トカール・イ・ルチャール」 は、細かーいフレーズが寄ってたかって、
デカイ魚や鳥を表すような感じらしい。始めは海や空にあって悠然としている
ようなんだが、第二部で「春の祭典」のように暴れまくり、静かになって終わ

る。管はハーモニーの音色のためだけに奉仕している感じ。激しくも聴きやす

い音楽。

(2)のバスーン協奏曲は、その点、バスーンの奇天烈な音でとんがって始まり、
なかなか苛烈な音楽。ま、上に妄想した通り。バスーン奏者は皆これ演りたい
でしょうね。(ケクランのバスーンの曲を集めたアルバムは結構愛聴している
のですが、またなんちゅう違い!)
(3)12チェロ。(1)の弦の部分と似たところがありますね。聴きやすさもそ
う。印象的なのはピチカート。逆回しの音みたいな効果のものが多く混じる。
それがミラー、つまり鏡ということらしい。和声もそうなっているそうだがワ
タシにわかるわけもない。音が近く、チェロの音像がでかい!(元はチェロだ
けじゃないものを12チェロ用に編曲したんだって)
(4)アトム。曲調としては(1)とどこか似ているけれど、打楽器が多く、SF
っぽいかな。打楽器を聴いていて、昔の大阪万博の「鉄鋼館」の「音」を思い
出しました。(今も残っていて、何かの博物館になっているとか、最近聞きまし  
た) オケ全体が奏でる分厚い不協和音が“気色いい”。 ご本人はそれを、自分に
しては 『珍しく(?)とてもジューシーな、とても脂ののった、柔らかいけど
歯ごたえのあるテクスチャー・・・』なんだってさ。(へぇ―、フーン・・・)
 
チェロのところでも書いた通り、「音像」がでかくて、ちょっと圧迫感がありま
すが、それ以外は音楽も面白かった。いつでも聴けるとは言えないけどね。
日本人の感想文には実はあまり芳しくない、いぎたないのもあったのですが、
ワタシは嘘偽りなく、楽しく聴きましたよ。
 
15歳で渡英して勉強し、まだ40歳台だが今や人気の作曲家。私、なんでこんな
に有名になってしまったのかなぁ、なーんて書いておられるかどうか知りませ
んが、ちょい前までの自伝的(?)エッセイを手に入れています。できれば今
年中ぐらいには読めればいいな。