休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

新潮美術文庫 『コロー』

20250508(了)

『コロー』 (新潮美術文庫 21)

  作 品(解説 坂本 満)
  私に見える空は ・・・ コローの人と作品(坂本 満)
  年表 = コローとその時代
 
   (昭和49年12月発行/平成12年4月20日九刷)
   1974年/新潮社/絵画/中古
    <★★★☆>

ジャン=バプティスト=カミーユ・コロー(1796~1875)
 
昭和に出た本なんですね。
古臭くても、バルビゾン派の絵は好きでして、コローなら風景画もそこそこ載
っているだろうと思って手に入れてみたのですが、残念ながらわずかのみ。
人前に出す気ではあまり進んで描かなかったという人物画のウエイトが高く、
風景画が割を食っていたみたい。薄い本ですからね、しょうがない。
ワタシが観たい風景画は・・・新古典派とロマン派の間に位置するといったも
のでなく、もっと先にしか派として現れない印象派に、実際は非常に近づいて
いたモヤッとして見える「夢想の世界」ふう作品群です。解説者は、そういう
作品で人気が出てしまったために、もとめられるまま類似作を、追いかけられ
るように書いたことがいかにも気に入らない、もったいなかったなどとといっ
た感じに書いています。
 ・・・伝統的な風景画の安易で感傷的なヴァリエーションに陥っている…
 人のよいコローは客を喜ばせるための技巧を心得ていて、絵を巧みに歌わ
 せるのである
ちょっと気に食わないが、「歌わせる」なんてオモロイ表現じゃないですか。
それを見たかったんだよ。
 
生活費に困ることがなかった生涯や高い絵の技術、人格(尖ったところがなく、
やや頑迷な穏やかさだとか・・・)などが紹介された解説の文章の上にも絵は
あるのだが、小さいモノクロ写真がパラパラ。これではだめ・・・、話になら
ない。やっぱりもっとデカい本でないとだめだったのでしょう。いくら中古で
も、デカイのは高い(中古屋でもネットでもね)。二の足を踏んじゃう。
 
でもね、カラーの色は決して悪いものじゃありませんでした。

それに、初期以外の人物像は意外に素晴らしかったし・・・ この本の表紙な

んか傑作ですよね。

 

(補)
 絵が好きだった親父が、新聞社が出した美術全集のようなものを出したのを
 買い込み、それがいまだ棚に残っています。小冊子状になったものを毎月も
 らうスタイルで、10冊ごとにごつい表紙がついてくる。それが14冊。つま
 り小冊子は140冊ほどもあったことになる。(ん?いったい何年かかったの? 
 月1じゃなかったのかもな・・・) 今さらですが、10冊ごとのものを、パー
 ト仕事の職場に持ち込んで、暇なときにパラパラめくったりしています。
 中野京子さんの本みたいな「読み物」ふうな読み方はしません・・・
 これもやはり昭和のものです。色は今からすればそういいもんでもないが、
 といって悪いものでもないので、楽しんでいます。
 そういうものの「植物」篇というのもまだ残っている。同じぐらいの冊数が
 ある。こっちは中身を覗く気はほぼない。
 
 そんな中で、凝っているわけじゃないですが、元々バルビゾン派が気に入っ
 ていまして、中でもコローの風景画はそうしたものの一つ。親父の本じゃ少
 少物足りないものだから、もうちょっと多く観れないものかと思って探して
 みたのがこの本というわけです。
 薄っぺらでかわいい本でした。しかも昭和に出たもの。だから安かったんだ
 ね。