休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ユダヤ人の処理工場の隣に住む人々の『関心領域』

20250307(了)

映画『関心領域』

  ジョナサン・グレイザー監督/クリスティアン・フリーデル/サンドラ・ヒュラー
     音楽:ミカ・レビ
  2023年製作/105分/米・英・ポーランド合作/原題:The Zone of Interest
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  <★★★☆>

このタイトルから、なんとなく中身がわかっていたような気がします。そして
実際のところ、当たらずとも遠からずだった思います。
 
始まってしばらくは真っ暗な画面なんだが、間もなく鳥の声が聞こえ始める。
音楽は一本調子なものが弱音で鳴っていて、そのピッチが徐々に徐々に落ちて
くるのがわかった・・・ 真っ暗な画面の意味?(さぁ、なんなんでしょう)
  始めの暗闇に関して「2001年;宇宙の旅」のロードショー時を当然のよう
  に思い出した。あの長い、15分ぐらいだったかの暗闇。が、意味は違う。
  「2001年」は聖書からきているとしか考えられないが、「関心領域」のは
  聖書とは関係あるまい。ただし、暗闇の中で、徐々に音が聞こえだすの
  は似ていなくもない。「2001年」だと、鳥じゃなく、始めは荒野のコオロ
  系の虫の音だったような記憶がある。
アウシュヴィッツ」の横に豪華な邸宅を建てて住むルードルフ・ヘスとその
一家の生活状況をいろいろ見せてくれるのですな。本当かどうか知りませんが、
原作があるようです。思わず眉を顰め、唸ってしまうエグイ、いやーな切り口
です。とはいえ、映画としてものの見事に成立している・・・
 
ヘスは、この収容所長でナチスの高官なのだが、なんだか大会社の上級社員と
いう感じ。隣で実施されているユダヤ人の「処理」について十分理解している。
今の処理効率ではもう処理量が増やせないんで、もっといい方法をビジネスラ
イクに成功させ、さらなる出世にもつなげたい。家の電灯をすべて自分で消し
て回るなど、マメさは特徴的性格。
夫人も塀の向こうで何が行われているかはおよそわかっているようだが、関心
は絶対的に子供の成長や教育、この「恵まれた」環境のほう。などなど。
超の付くシチュエーションのギャップとその皮肉。言ってみりゃあそうしたも
ののみを描いているのです。
 
塀の向こうでは、常に、大きな煙突から大量の煙、パンパンという銃声、塀に
近づけば怒声や阿鼻叫喚、そして間違いなくあれは臭気(の表現)。
ヘスの邸宅に住むほとんどの人はそれらには完全に慣れてしまっている。慣れ
なかった新参の人物も描かれますが。
 

(以下ネタバレしていることになると思います、、、いや、ここまでもそうで

 すね)

 
途中で二三度、暗視ゴーグルで見るような民間人の女の子やその家族らしき人
物などが描かれる。女の子のやっていたことの意味が、恥ずかしながら、ワた
シにはよくわかりませんでしたが、なんとなくレジスタンスっぽい行動を採っ
ているような感じがしました。
その時には(その時だけではなかったかもしれません)まるでヨハン・ヨハン
ソンの作った音楽のような気色の悪い電子音がブオーンブオーンと流れる。
 
最後に、転属・昇進の決まったヘスが吐き気を覚えながら一瞬未来が見えたか
のようなシーンが挟まっていまして、ありゃあ現代?
始めは古く見えるガス室で掃除がされているが、どうも時間がたちすぎている
かもと思ったすぐ後には、蛍光灯に照らされる収容所が長ーい展示室になって
いて、ユダヤ人の遺物の山、靴の山が見える。
戻って、ヘス退場。
エンドタイトルは、上記の変な音との関連を感じさせる音(楽)のコラージュ
っぽいもので、これも気色悪い。

ともあれ、なんとも胸糞悪い映画でした。皆さん、感想文、書きたがらないみ

たいです・・・

微妙な立ち位置であるポーランドが加わって作ったのですね。