休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ブルックリンでオペラを

20250228(了)

映画『ブルックリンでオペラを』

  レベッカ・ミラー監督/ピーター・ディンクレイジアン・ハサウェイ
  マリサ・トメイ/ヨアンナ・クーリグ/ブライアン・ダーシー・ジェイムズ
  2023年製作/102分/アメリカ/原題:She Came to Me/DVDレンタル
  <★★★☆>

苦労したであろう邦題。成功したとは言い難いが、原題よりはまし。
 
とても人工的だと感じられるお話。重く始まったので、どういう話なんか少し心
配したけれど、結局は収まるところに収めて、軽めにしあげた作品になっていて、
楽しみました。テンポについて不満を言う人もいそうですが、これでいいんじゃ
ないでしょうか。ストーリーを細かく書く意味はないと思いますが・・・
 
あまりうまくいっているとは言い難い、どちらも連れ子を一人持つ二つの家族と
一人の女が、まあいろいろと絡み合う、コメディ系の話。ニューヨーク。
家族(1)。主にオペラを書く作曲家だが5年も新作が書けない(書く意欲が湧か
ない)小人症の夫(ディンクレイジ)。妻(ハサウェイ)は18歳の連れ子(息子)
を持つ精神科医で、大変な潔癖症(むむむ)であるとともに、清らかなもの(カ
トリシズム)に惹かれている。
家族(2)。夫は高卒ながら裁判所の速記係で超堅物。妻は16歳の連れ子である
娘を持つどこか東欧(?)からの移民で、多分国籍は未取得。裕福ではない。

 

この二家族の接点は、どちらも成績優秀な子供が恋人同士で、まだ18歳と16歳な

のに一緒になりたがっている。家族(2)の妻が家政婦として働いているのが家
族(1)で、ある時、子供同士の付き合いがばれてしまうという流れ。
もう一つの流れは、出不精のめげた作曲家が朝、黒くてかわいいフレンチブルド
ッグと散歩をしている時、ちょいとバーに寄って一杯ひっかけるんだが、そこに
客としていた妙な女船長(トメイ)と言葉を交わすことになる。この女が恋愛依

存症(むむむ)で・・・ 作曲家はその時のことをオペラにして受ける・・・ な

んてね。

この3人+3人+1人が、へんてこりんな絡み方をしてゆくのです。
 
ハサウェイがお芝居という面では暴れている感じではあります。製作にも絡んで
張り切っていたんでしょう。でもこの作品で成功したのは、なんといってもディ
ンクレイジという役者のキャスティングでしょうね。垂れたぎょろ目で落ち込み
続けている作曲家を違和感たっぷりに演じている。またワタシには、おばちゃん
になったトメイに、ヘェー、こんな役でねえ、という感慨を持ちました。たくさ

ん観ているわけじゃないものの、でも随分前から知っていて、なんとなくファン

だったもので。(どうでもいいことですが、原題も邦題もトメイの役柄に絡んで

いると思います)

さてオペラです・・・ 身近なネタを二つオペラ化して、ちょっとづつ見せてく
れました。関係者もみんな観るのね。オペラの中身は大笑い。
やや小さめのようだったオペラハウスでの上演でした。ミュージカルみたい。で
も・・・こんなネタで? オペラってこんなに早く完成する?
そりゃあ映画なんだから、と譲っても、音楽自体がかなり緩め。だいたい今どき
オペラ専門の作曲家がいて、しかもこんな感じの音楽って、リアリズム無視が過

ぎやしないか。初めに「人工的」だと書き、笑ってもおきながら譲れないのか、

と言われると困るのですが、つい。