休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

『地雷グリコ』 「賞」まみれになったミステリー本

20250223(了)

『地雷グリコ』/青崎有吾

 ・地雷グリコ
 ・坊主衰弱
 ・自由律ジャンケン
 ・だるまさんがかぞえた
 ・フォールーム・ポーカー
  2023年/推理小説(連作短編集)/角川書店/単行本
  <★★★★△>

「賞」まみれになったミステリー本です。
「騙しと理詰めが勝利を導く」「究極の頭脳戦ゲーム小説」だそうです。
若者が好きそう。ワタシには似合わないよね、きっと・・・なんて思いつつ。
 
「地雷グリコ」;
こりゃあ学園ものなんですかねぇ。頬白学園高校で学園祭が催される。 代々、
一か所だけ屋上が使えることになっていて、そこがやはり代々取り合いになる。
10以上のクラブや団体が競い合い、最終的に2チームが残った。どちらかに決
めるために採られたゲームが「地雷グリコ」。ジャンケンでグリコ・チヨコレ
イト・パイナツプル、つまり、3と6と6、進めるというもの(ワタシはほぼ
知りません)。場所は近所の神社の46段の階段。代表一人づつがゲームをす

る。どっちが先に上に到達するか。ただし、もう一つルールがある。それが地

雷・・・

対決するのは勝負ごとに負けない3年生の椚(クヌギ)先輩――椚がやろうとし
ているのはカフェ――と、スパイスたっぷりのカレー屋をやろうというグルー
プを代表して一年生女子の射守矢真兎(イモリヤ マト、主人公)の二人。
主な語り部は真兎の友人(≒腰ぎんちゃく風にいる)鉱田。(女子)
雰囲気や会話がモロ劇画っぽく大仰。でも面白かった。ゲームの幕開け!
 
「坊主衰弱」;
椚(生徒会の役員なんや)と真兎・鉱田は知人として出ている。結局連作とい
うことなんやね。やはり「勝負」がかかるようになる。今度はかるた部(椚が
この部のために一肌脱ごうとするシチュエーション)が絡み、百人一首になり
そうだったが、なんと相手の提案でそれを使った「神経衰弱」ならぬ「坊主衰
弱」。初経験ゲームなのに真兎の能力は底知れない。のんびりしているので、

とてもそうは見えないのに、猛烈な観察力と可能性や確率の読みや見極めが窺

われる。

 
「自由律ジャンケン」;
真兎の小学生低学年から中学までを、「生存戦略」を絡めて大雑把に紹介した
後は、生徒会の椚のボス、つまり会長の佐分利が出場・・・錵子(ニエコ)、え
え?女?ドスを利かせて、いぎたなくからめ手で真兎を生徒会に引き込もうと
いう。理論派でもイカサマ師でもない、得体のしれない感じのズべ公。彼女が
強いてきたゲームは、自由律ジャンケン・・・7回戦。一応理屈の世界(やや
こし!)なんだが、まるで劇画。ジャン・ケン・ポン以外に、両者の独自手を
一つづつ加えて、その効果は伏せられたまま、というルール。
結局理屈の読みあいなのだが、時間のたち方も含め、ホントにずーっと劇画調
なのね。笑って唾を飛ばしそうになる。でも一つ一つは確かに推理・理屈の世
界。で、佐分利会長には勝負の先に大金が絡む目的が一つあった。超エリート
校に勝負(博打的なこと)を挑むために、戦士を一人拵えること。真兎が望む
因縁の相手と対決したいという意向にも合致し、立合うための準備が進められ
るというところで、この奇妙なジャンケンの回は幕。
 
なるほど、こういう連作もあるんやね。
次の「だるまさんがかぞえた」は「だるまさんがころんだ」のもじりで、勿論
前の3作同様、劇画タッチのとんでもないゲームになるのですが、こんなに面
白くても、5作目(タイトルで分かる通り、ポーカーのアレンジ)に至るため

の前哨戦的位置づけということになりますか。すべて、ゲームにプラスされる

「条件」がミソ。

 
ここまでで半分ぐらい。(ここまで来たら、もう読むしかない)
賞をいくつも獲っただけのことはあって、こういうものはそもそもあまり読ん
で来なかったワタシでも、楽しく読むことができました。新聞の紹介記事でち
ょっと魔が差したのです。間違いなく、若い人向き。というか、高校生ぐらい
が熱中しそうな感じ。もう、本なんて読まへんのかもしれんけどね・・・
とはいえ、読んだ人はめちゃくちゃ多そうで、紹介などというのはちょっぴり
恥ずかしい。この先は、けったいな超エリート学園と、ゲームによる果し合い
みたいなことになってゆきます。なーんとなくですが、ワタシにゃトンと分か
らない量子のこと、「量子もつれ」なんかのイメージ、あくまでアホの感じる

イメージですよ、に似ているみたいな気がかすかにしました。笑ってやってく

ださい。

 
でもまぁ、あと2篇のことはさっきの記述でやめておきます。
ページ・ターナーでした。ワタシでもオモロカッタと言うしかありません。
短いエピローグがついている・・・ ま、エピローグはエピローグ。続編も匂
う。こりゃあ、娘への贈り物の際、入れておいてもいいかもね。(送りました)