休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

エクシビション・オブ・サクソフォン/須川展也

20241008(了)

Exhibition of Saxophone

/Nobuya Sugawa

Disc1
ガーシュインラプソディ・イン・ブルー(編曲;長生淳) 15:47
ムソルグスキー展覧会の絵(編曲;長生淳
  ②プロムナード 1:36 ③こびと 2:43 ④プロムナード 0:58
  ⑤古城 4:24 ⑥プロムナード 0:29 ⑦テュイルリーの庭 1:01
  ⑧牛車 2:44 ⑨プロムナード 0:52 ⑩卵の殻をつけたひなの踊り 1:09
  ⑪サムエル=ゴールデンベルグとシュムイレ 2:24 ⑫リモージュの市場 1:26
  ⑬カタコンブ(ローマ時代の墓) 1:38 ⑭死者とともに 2:18
  ⑮バーバ・ヤーガの小屋 3:47. ⑯キエフの大門 5:36
<★★★☆>
Disc2
トマジ/バラード 14:34
ドビュッシー/ラプソディー 9:38
ミヨー/スカラムーシュ
  ③ヴィフ 2:57 ④モデレ 3:41 ⑤ブラジレイラ 2:04
ベダール/ファンタジー 6:07
ジョリヴェ/幻想即興曲 3:25
ダマーズ/ヴァカンス 2:16
クレリス/セレナード・ヴァリエ 2:35
デュボア/りす 1:05
モーリス/プロヴァンスの風景
  ⑪若い娘たちファランドール 2:24 ⑫いとしい人への歌 1:29
  ⑬ジプシーの女 1:10 ⑭アリスカンより魂は嘆きて 4:28 ⑮あぶ 3:23
ボノー/ワルツ形式によるカプリス 4:53
①-⑥<★★★★>、⑦-⑯<★★★☆>
Disc3
ベルンハルト・ハイデン(独 1910-2000)ソナタ
  ①アレグロ 5:48 ②ヴィヴァーチェ 3:05 ③アダージョ-プレスト 5:55
マルタン(スイス 1890-1974)/バラード 13:59
ポール・クレストン(米 1906-1985)ソナタ
  ⑤精力的に 4:18 ⑥静穏に 4:40 ⑦陽気に 3:37
デザンクロ(仏 1912-1971)/プレリュード、カデンツァとフィナーレ 10:06
リュエフ(仏 1922-1999)ソナタ
 ⑨アレグロ 4:33 ⑩アダージョ 3:48 ⑪プレスティッシモ 3:43
デニゾフ(露 1929-1996)ソナタ
 ⑫アレグロ 3:12 ⑬レント 3:42 ⑭アレグロモデラート 4:11
  ④、⑨-⑭<★★★△>、①-③、⑤-⑦<★★★☆>、⑧<★★★★>
 
 須川展也サクソフォン;ソプラノ・アルト・テナー・バリトン
 小柳美奈子(ピアノ)
 録音;2002年/岐阜 サラマンカ・ホール/所沢 ミューズアークホール
 2003年/CD3枚組/器楽曲/東芝EMI/邦盤/中古

ちょっと長くなってしまいますが、途中で切ってもしょうがない気もして・・・
 
サクソフォン・アラカルト」なんていうのでもかまわない感じだけれど、いや、
展覧会の絵』があるからね、やっぱりこれでいいんだ。
楽しい3枚組。
Disc1では、誰でも知っている超有名曲を二つ。Disc2ではフランスのロマン派後
半から近代を経てほぼ現代まで。(年代的には、ということですが)
Disc3では、あちこちの国の現代の作品を集めていて、知らないものばかり。
無調などはないものの、サクソフォンとピアノだけといっても、これだけは職場
ではちょっと無理か・・・
 

Disc1

ラプソディー・イン・ブルー」は、サックスとピアノ、主客を自由に交代しな

がら、でもサックスに花を持たせるといった、おそらく編曲技術の粋を凝らして
いたと思います。サックスについては、ジャズのインプロヴィゼーションを意識
したフレーズが色々出てきました。
展覧会の絵」の方はラヴェルのオケ編曲版ではなく、オリジナルのピアノ曲
ほうを使って、メロディをサックスに任せる、オーソドックスな編曲だったので、
特別新鮮というほどでもありませんでした。ただ、サックスの持ち替えがすごい!
 

Disc2

⑥以外はフランスの近・現代ものです。すべてサックスのために書かれたもの。

(サックスのために作曲者自身が書き直したものもあるということでいいんでし
ょうね)バリバリの現代(音楽)はない。ワタシ大好きなケクランもなし。
①トマジ、、、ミヨーの影響もあるかしらん、軽さと乾いた抒情、すばらしい!
ドビュッシー、、、ハバネラ部分なんか聞いたことがありますね。須川のア
レンジが加えられているらしい。
③-⑤ミヨー、、、なんにでも合う便利なこの名曲はおなじみ。最後はサンバ!
⑥ベダール、、、ほぼ現代のカナダ人だそうな。ほかのCDで聴いてますね、これ。

急・緩・急。軽妙さに挟まれたなんとも素敵なメロディ。ソプラノとあるがアル

トだろう。

⑦ジョリヴェ、、、アメリカの音楽、ブルースやジャズの感じを含む。
⑧ダマーズ、、、これからピアノ曲を聴いてみたいダマーズ。残念、短すぎ。
⑨クレリス、、、テナーの太くて愛らしいメロディ。2分じゃそこまでだけど。
⑩デュボア、、、テナーによるかわいいリス。
⑪-⑮モーリス、、、女性作曲家だそう、プロヴァンス案内。ヴァライエティがう

まくまとまっていていい。サックス奏者には人気曲だろうな。⑮のアブというの

がわからん。どんなアブなんやろう。馬や牛にたかるヤツ?違うね、こんなにの

ろくない。というか、こんなとろいスピードではどんなアブも連想できない・・・

スミマセン。

⑯ボノー、、、3拍子の奇想曲ね。めちゃ難しそう。きっとアンコール・ピース。
 
⑧以降は知らない作曲家でした。職場ではこの盤が無難だったみたい。もっとも
ごく小音量でしかかけないので、なんだってほとんど問題ないんですけどね。
 

Disc3

①-③、、、ヒンデミットに師事後アメリカに。技巧的でドライ。無調でもなく、

わかりやすく親しみやすい。
④、、、アルトやね。ハイデンと違い現代的の一歩手前。仄暗く不安なバラード。
⑤-⑦、、、交響曲しか知らない。前衛には向かわなかったのね。落ち着いた曲
で、⑥は甘ったるくたいそう美しい。これもアルト。
⑧、、、室内楽でしか知らないですが、これもそう。やっぱりフランスっぽいと
思うし、弛緩するところがまったくない。ピアノも素敵。
⑨-⑪、、、まったく知らない女流。無伴奏。非常に技巧的。⑪なんてジャズのア
ドリブふうやね。ただ、ソロはワタシは苦手。
⑫-⑭、、、知らない作曲家。この曲が3枚のディスクの中で最も、というより飛
びぬけて「現代的」でした。⑭もジャズのアドリブ風と、これは解説にあったも
のの、わたしはそんなふうには感じなかった。決して聴きづらいということもあ
りませんでしたがね。

Disc1はまあともかくとして、Disc2と3は、サクソフォンのために書かれたら
しいものばかりで、いずれもサックスの魅力いっぱい。優劣なんぞのつけよう
もない。どれもこれも、リサイタルじゃあ、よく奏されるに違いない。
少し古めな感じの「2」、やや尖り気味の、といってもその感じだけで、決し

て危なくない(?)大半いたって保守的な「3」。ああ「2」「3」はほとんど

アルトだったみたい。

これまでにもサックス主役のアルバムをいくつか聴いてきましたが、これは世
界に誇れる日本発の3枚組でした。