休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

映画『ロスト・キング 500年越しの運命』

20241010(了)

映画『ロスト・キング 500年越しの運命

 監督;スティーヴン・フリアーズ//サリー・ホーキンズ/スティーヴ・クーガン
 音楽;アレクサンドル・デスプラ
 2022年製作/108分/英/原題:The Lost King/DVDレンタル
 <★★★★>

シェイクスピアの戯曲があるからといっても過言じゃないんでしょうね。英
国ならではの歴史上の有名人の墓の捜索が映画になったら、世界中で興味を
持ってもらえるなんて。
「簒奪者リチャード3世」のこと。
 
フィリッパは年かさなもんだから(らしい)、職場で軽んじられている。離
婚して男の子2人を育ててもいるので忙しい。子ども二人は物心はもうつい

ている。彼らも母親の忙しさはわかっているので、至らぬところがあること

は半ば諦めている。

が、元夫はフィリッパの方から別れられたにもかかわらず、子どもたちに会
いに来るのみならず、なにくれとなく手伝いをしている。
さて、職場でムカつくことがあった直後ではあったが、フィリッパは長男と
だったか、小劇場で『リチャード3世』を見て、ある種の啓示を受けるとと
もに、その舞台でタイトルロールを演じた役者の顔をしたリチャード3世が、
自分のそばに(≒妄想として)現れるようになる。はじめは職場での打ち合
わせ中に。啓示は、500年も見つかっていない悪辣な王リチャード3世が、
実はそんな王ではなかったはずだというようなもので、彼女は王の失地回復
と墓探しにのめり込んでいくことになる。元夫の手伝いにも頼りつつ、ファ
ンクラブのようなものから広がり、大学の研究者たちとも接点を持つように

なって・・・ というようなお話で、核心に近づく。大方実話のようです。

知りませんでした。

彼女のある種「同情」を掻き立てた理由の一つは、彼女にもあって苦しんで
もいた脊椎の疾患が、リチャード3世にもあった(同じ病気ではない)と伝
わっていたこともあるんでしょう。これもきっと本当なんでしょうね。
 
彼女にしか見えない、だんだん話せるようになる妄想キャラのリチャード
3世の存在が、この作品をとってもファンタジックにしてまして、彼女を、
そう見られてもしょうがないのに、あまり異常者っぽく見せない効果があ
ったかもしれないなぁ。(ワタシなんざ、いまだに、老母の妄想キャラに
は、いい歳をしてしょっちゅう振り回されてますが・・・)
 
はじめは、予備知識がなく、どんな方向に進むんだかわからず、あちこち
で「?」を振りまきましたが、つじつまが合い始めてからは、ぶれずにつ
いてゆけたように思います。
地味に見えるホーキンズさん、さすがに上手な方。元夫役のスティーヴ・
ク―ガンが製作者の一人だったのですな。
出てくる大学がレスターなので、フィリッパの住まいもここには近いので
しょう。英国のちょうど中心といってもいいあたり。郊外の街並みがもの
すごく美しかった。全体的にも落ち着いた色彩が気に入りました。もっと
も、そういったあたりからエジンバラまで日帰りで行ったみたいだったの
が、ちょっと引っかかりました。(いや、行けるのならいいのです)
音楽はA・デスプラ。実にセンスのいいアンダースコアを付けていました。