休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

映画『ヴェスパー』

20240716(了)

映画『ヴェスパー』

 監督&原案;クリスティーナ・ブオジーテ & ブルーノ・サンベル
 ラフィエラ・チャップマン/エディ・マーサン/ロージー・マキューアン
 音楽:ダン・レビ
 2022年製作/114分/仏・リトアニア・ベルギー合作/原題:Vesper/DVDレンタル
  <★★★>

先の世界とはいえ、うんとシチュエーションに拘ったお話。
一体どんだけ先なのか。どうせ、核戦争後、なんてことだろうから、そんなに先
ってわけでもないんじゃないか・・・と思ったが、そうでもないみたい。植物ら
しいものが異常な発達や進化を遂げていたりする。人類は生き残ったがほとんど
変わっていない。科学も残ったものの、うんと進んだとは言えない。
 
コロニー、あるいは都市国家みたいなかたまり(内側、ここで近いのはシタデル
という名の町)と、そこからはじかれ、阻害されているらし人類の小集団(外側)
という構図がある。対立し、資源を奪い合っている。外側に許されている農産物
は一年生なのはいいとして、それ以上はDNAを弄られていて何をどうしても翌

年も育てるということはできない。よって常に食糧難。外側は大半暗くじめじめ

した森や沼。

 
外側の住人、13歳の少女ヴェスパーは寝たきりの父と2人暮らしなのだが、父親
はわけあって眼球ぐらいしか動かせない。介護も食料調達も彼女一人。頭がよく、
この歳でもって(大人っぽくも)植物の実験研究をやっている。
父親は生命維持の技術で何とか生きており、宙に浮いて自由に動き回れるロボッ
ト(ドローンと言っていた)が父の目や口になり、ストレートに意志を伝えられ

るし、彼女と行動を共にすることができている。ただし、電力供給は常に不安定

なよう。

彼らが一応所属している小集団のボス的存在は彼女の父の弟(だったかな)で、
なんで?というぐらい、性悪。ジャグといったか、人そのものにしか見えないア
ンドロイドを一体使っている。アンドロイドのことはゆくゆく大事な伏線として
扱われる。
 
そこへ、シタデル側から飛んできた飛行物体が墜落。二人が乗っていたらしい。
その一人らしい女性をヴェスパーが見つけ、連れ帰って看病するのだが、そこ
からストーリーは大きく動き出す。なぜ彼らは外側にやって来たのか・・・

英語でしゃべっているんで、英語圏の作品かと思ったら、そうじゃありません
でしたね。それででしょうか、雰囲気がなんとなく違うなぁという感じがあり
ました。といっても、このシチュエーション自体がちょっと変わったものだし、
話の範囲をほとんど広げることがなかったので、そう感じたんでしょうか。
風の谷のナウシカ」からのいただきみたいな映像がちょっとあったかなぁ。
とすると核戦争なんてものを想起してもいいわけかしらん。
あんまり評判が良くないみたいですね。きっと物足りなく思った方が多いんで
しょうが、ワタシは面白く観ました。ただ、ポスターの不思議な構造物がなん
なのかについては全く触れられませんでした。聞き逃しなのかも。
音楽は不満。こっちはもっと尖らせないとダメでしょう。「ナウシカ」の名を
出したついでに言えば、久石のミニマルっぽい音楽をちょっぴりいただいただ
けのようなムード音楽。惜しい。頑張れば映画がもう少し説得力を得られたん
じゃないか。(音楽でかいな、と言われる人は必ずおられようが、そうですよ
というしかない。なんでもそう、というわけでないことは百も承知ですけどね)