休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ルイ・フレモー CBSO全録音 7&8/12

ルイ・フレモー CBSO全録音 (12枚組)

LOUIS FREMAUX The Complete CBSO Recordings

7&8/12

CD7 77:42

Camille Saint‐Saëns 1835-1921
カミーユサン=サーンス:白鳥 
   2:36 ポール・トルトゥリエ(Vc)、ロバート・ジョンストン(Hp)
カミーユサン=サーンス(ウジェーヌ・イザイ編)カプリース, op.52-6
   8:09 ヤン・パスカル・トルトゥリエ(Vln)
カミーユサン=サーンス:《ノアの洪水》前奏曲,op45
   8:16 ヤン・パスカル・トルトゥリエ(Vln)
カミーユサン=サーンス:ウェディング・ケーキ, op.76
   6:48 マリア・ド・ラ・ポウ・トルトゥリエ(Pf)
カミーユサン=サーンスアレグロ・アパッショナート, op.43
   3:53 ポール・トルトゥリエ(Vc)
 (以上 1974年5月29-30日、レイチェスター、デ・モンフォート・ホールでの録音)
カミーユサン=サーンス交響詩《死の舞踏》, op.40
  (6:47)
Emmanuel Chabrier 1841-1894
⑦エマニュエル・シャブリエ:狂詩曲《スペイン》
  (6:42)
Claude Debussy 1862-1918
⑧クロード・ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
  (8:32)
Paul Dukas 1865-1935
⑨ポール・デュカス:交響的スケルツォ魔法使いの弟子
  (10:27)
Maurice Ravel 1875-1937
⑩モーリス・ラヴェルボレロ
  (15:29)
 (以上 1973年9月17-18日、バーミンガム大学グレイト・ホールでの録音)
 
  <★★★☆>

 

CD8 61:41

Jaques Ibert 1890-1962
①-⑥ジャック・イベール:ディヴェルティスマン (1930)12:36
 (1973年8月30-31日、バーミンガム大学グレイト・ホールでの録音)
  <★★★△>
⑦ジャック・イベール:海の交響曲 (1931)14:07
  <★★★>
⑧ジャック・イベール:バッカナール (1956)8:27
  <★★★△>
⑨ジャック・イベール:ルイヴィル協奏曲 (1953)11:26
  <★★★>
⑩ジャック・イベール:ボストニアーナ (1955)7:02
 (以上 1975年8月20-21日、バーミンガム大学グレイト・ホールでの録音)
  <★★★☆>
Arthur Honegger 1892-1955
⑪アルテュールオネゲル:パシフィック231 6:09
 (1973年8月30-31日、バーミンガム大学グレイト・ホールでの録音)
  <★★★★>
 
      ルイ・フレモー指揮/バーミンガム交響楽団(CBSO)
  CD/12枚組/クラシック/Ⓟ&ⓒ Parlophone/Warner Classic/中古

 

 

CD7/12

サン=サーンスの小品が6つ。あとはシャブリエドビュッシー、デュカス、
ラヴェルの超有名曲を一つづつ。
 
①から⑤までがひとくくりの録音。トルトゥリエ(チェロ)と息子さん(ヴァイオ
リン)と、もう一人、娘さん(ピアノ)かな、関係は知りませんが。
CD6で「動物の謝肉祭」を聴いたばかりなので、オイオイまた「白鳥」?と
ちょっと鼻じらんだが、ここでの父つぁんのチェロは①も⑤もさすがの大御
所ぶりで、CD6の演奏なんぞ足元にも及ばない立派なものでした。CD4の
(2)や(3)では若干貶し気味なこと書いてしまってごめんなさい。
⑥も併せてみれば、サン=サーンスの天才ぶり、多才ぶりがよくわかるとい
う感じ。②から⑤までは初めて聴く曲だったと思いますが、ロマン派をみご
と泳ぎ切ったプロ中のプロ。今で言えば何でも来いのポップスの売れっ子作
曲家みたいなものだったんじゃないですかねぇ。わりと長生きだったから、
おしまいはやや時代遅れといった見方をされたかもしれないな。想像だけど。
 
⑥から⑩まではひとくくりの録音。
交響詩死の舞踏》はサン=サーンスとしては極端に有名ですが、この他
に知っていると言えば「オンファールの糸車」ぐらい。
カッコイイ。やはりサン=サーンスの才能がよく表れている曲だと思います
ね。演奏はきりッとしているも、普通、かな。
「死の舞踏」はその昔、マゼールが独奏ヴァイオリンも受け持った形で指揮
をした録音を聴いたような記憶があります。
 
⑦~⑩は近代フランスの超が付く有名曲。聴いた回数も半端じゃないものだ
から、フレモー指揮で聴いたからといって、何か特別なところがあるとは思

えなかったけれど、やっぱり特になにもありませんでした。スッキリした真

面目な演奏で、十分満足。

そうですねぇ、あえて何か言うとすれば、「魔法使いの弟子」かなぁ。勢い
や熱量が感じられました。でも、どうでしょう、これは中でもワタシが好き
だから、ということを示しているだけなのかもしれません。

                            (20230124)

  

CD8/12

イベールのいろんな管弦楽曲が5曲。それと、何故かオネゲルの「パシフィ
ック231」。イベールの多分最も有名な『寄港地』が入っておれば(まあ録
音しなかったんだろうからしょうがないけれど)イベール管弦楽曲が、い
わば全方位で揃ったんじゃないかしらん。収録時間上は可能だったのに・・・
なんてね、まだCDなんて出てなかったんだし、余計なお世話かぁ。
 
①-⑥は小編成のレヴュー系の音を思わせる。場末のカンカン踊りとかね。意

図的な小編成。(調べるともともと室内楽のための、という言葉が付いてい

る。)

意図的ながさつさ、チープさでだいたいが(そうでないところもあるけれど)
通されている。その‘意図的な’という面は、フレモーの‘意図的’な指示もあるか
もしれない。サウンド自体も。(録音日が同じ⑪を聴いて、そう思いました) 
この曲は何度も聴く機会があったので、イベールのある面の代表。間の緩徐楽
章が意外に深い。レヴューなんて言葉はいらなかったですね。たとえば・・・
パリの風景や光景を題材にした喜遊曲、でいいと思う。
 
海の交響曲というぐらいだから、どうしてもドビュッシーの「海」とか、リ
ムスキー=コルサコフ「シェヘラザード」の第4楽章《バグダッドの祭り。海。
船は青銅の騎士のある岩で難破。終曲》 なんてぇのを思い浮かべるが、これ
らに比べるとかなり小ぶり。大きい表現もあるんだけれど、オケが小さめらし
く、大洋という感じはしない。編成のせいか、演奏や録音のせいかわかりませ
ん。たとえば、船客としての神経質な船旅の感覚という言い方が近いかも。さ
らに「通奏雑音」とでもいうような音(船の振動っぽい)が独特。
 
⑧酒神ディオニッソスを中心に多くの踊り手が踊って収穫を祝うのがもともと
バッカナーレで、非常ににぎやかだが巧みなオーケストレーションが冴えた
曲。中間部に緩徐な部分を挟みますが、両脇は、コサックや昔の中央アジア
蒙古の感じ。たとえば中心には刀を持った男(ユル・ブリンナーみたいなの)
がいて、周りを屈強な男たちに遠巻きに取り囲まれて勇壮に踊る、なんてな
音楽かな。素敵です。フランスの音楽なんていう言い方は全く無意味。
 
⑨タイトルからしアメリカ絡み(ケンタッキー州)だろうとは思うんだが、
ワタシの感覚では、ありはするがあまり強くない。期待するもんだから少し
はそう聞こえてしまう、てなぐらいじゃないか。
管弦楽曲として、あんまり面白味がないですね。
 
このCD、少しづつオケの規模が大きくなる感じ。
 
⑩これはもちろんボストンにちなんでいるのだろうから、アメリカがらみ。
⑨と類似点がある気がしたのは、そう思えばアメリカにちなんだ感じがする、
なんてことなんですが、この曲の場合ひとつはっきりしたのは、バルトーク
の「オケコン」に似たメロディやサウンドが聞こえること。「オケコン」も
そういや、アメリカに、それもボストン(名指揮者クーセヴィツキーにだっ
たか)に縁が深いんじゃなかったっけ。この曲は未完の交響曲の第4楽章に
あたる部分を使ったそうな。
まあ、めったに聴かないイベールがまとめて聴けただけでもよかったと思う
べきなんでしょうね。時に印象が変ったということもありませんでしたが。
このCDについては、特にイベールなんだが、オケのアンサンブルの精度がい
まいちに思えましたかね。ちょっと惜しかった。ひょっとすると、フレモー
さん、あまりお好きじゃなかったかもしれない。
 
⑪「寄港地」に替わればいい、みたいな書き方を始めにしました。オネゲル
の曲としては勿論というべきか、間違いなく初めて聴いたのがこれですね。
それだけに回数もこなしたはずです。だからもう特別に聴きたいという曲じ

ゃない、飽きました。ところがところが、これ、予想に反して楽しんだので

す。

外連味を排し、寸分たがわず楽譜通り!という感じの演奏(録音も)なのね。
外連があったほうがむしろ普通なんじゃないかと思っていたのに、こんなに
クソ真面目な演奏がアリだなんて。聴いたことあったろうか。

楽しいじゃないですか、こういうのが面白く聴こえてしまうなんて。

                            (20230203)